| 一樹が迎えに来て、彼の実家の車での実家に向かう。 時間が遅いので墓参りは翌朝にすることにした。 電気やガス、水道は琥雪が手配して通っているはず、とのこと。 「水は最悪井戸でどうにかできるんですけどね」 家に着いてがそういいながら鍵を開ける。 「荷物、運んどくぞ」 一樹が声を掛けて車に戻り、は家の機能を確認しに先に上がった。 何だか、嫁さんの実家に来た夫婦って感じだなぁ... そんな平和なことを考えながら、一樹は車から荷物を運び出す。 も一樹も鞄はひとつで荷物は多くない。 電気が点いた。この様子だとガス、水道も問題なさそうだ。 家の中を歩いてみたが、思ったより汚れていないな、とは首を傾げていた。 もしかしたら、ここに泊まると言う話をしたから琥雪が時間を見つけて軽くでも掃除してくれていたのかもしれない。 客間の押入れから布団を出す。 布団袋に入れて収納しているから、大丈夫だと思うが... そう思って布団袋を開けるとお日様の匂いがした。やはり、琥雪が布団を干しに来てくれていたようだ。 次に会ったら御礼を言わなければ。 「おーい、。鞄はどこに置けばいいんだ?」 「あ、はーい」 玄関から一樹の声がして慌てて廊下に出た。 一樹を客間に案内した。 一緒の部屋で寝ても言いのかな、と考えていると「もこの部屋で寝るんだろう?」と一樹に言われて頷く。 家が大きいから、違う部屋に居ると何だか寂しくなりそうだと思っていたのだ。 一樹は一樹で、昨日夏凛から掛かってきた電話を思い出していた。 『ウチを大掃除するのは、許すけど。...あたしが言いたいこと、わかってるわよね?』 目の前に居たら、笑顔で胸倉をつかまれていそうなその声音に「はい」と静かに頷いた。 『てか、彼女の実家、しかも誰もいない実家に行って何する気よ。クリスマスだからって何でも許されるとか言うおめでたい頭だったら今すぐカチ割るわよ』 を一人前として見ているのではなかっただろうか... 一樹は首を傾げた。 『返事は?!』 「夏凛さんこそ、何を想像してるんですか...」 呆れ口調でそう返すと 『言ったわね?』 とこれまた低い声で彼女は言う。 暫く沈黙していると電話の向こうの夏凛は溜息を吐いた。 『ま、ももうそんなに子供じゃないし。ただ、一樹』 「何ですか?」 暫く沈黙が続き『ま、いいや』と夏凛が言う。 『あんたはガキだけど、子供じゃないしね。あんまりとやかく言うのはやめとく』 随分色々言った後のそれに一樹は苦笑した。 『なによ』 「いいえ。じゃあ」 そう言って一樹は電話を切った。 そんなことを思い出しているとの携帯にメールが送られてきたようで「お姉ちゃんからだ」と呟いている。 怖いなぁ... 一樹は苦笑した。 「明日の午後には家に居るように、って書いてあります」 「まあ、予定は午前に墓参りで、帰ったら大掃除だから大丈夫だろう」 「ですね」 夕飯はここに来る途中で食べてきたから、今から用意する必要はない。 風呂の支度を済ませて仏間で手を合わせた。 布団を並べてその日はおとなしく眠りについた。 |
桜風
14.5.16
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