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店を閉めては愛車に跨る。

今日は閉店時間には既に客がおらず、少し早めに閉めることが出来たからちょっと寄り道をして帰ろうと思っていつもとは違う道を選んでバイクを走らせた。


繁華街を歩いていると、数日前に見た子を見かけた。

しかし、あの時と雰囲気が全く違う。

他人の空似、にしては似すぎている。

おお、これがかの有名なドッペルゲンガーか...

んなワケない。

自分の飛躍した思考に釘を刺してその場を離れた。

たしか、彼は生徒会の子だった。

先日アラタが店に来ていたとき、あの商店街を巡回していた生徒会一団の中に居たのだ。

しかし、それにしては雰囲気というか印象が違う。

道行く人、しかも若者が噂をしていた。

『ダイヤモンドサイン』

最近出来たらしいチームで、勢力が広がっているとか。

そのリーダーはあまり知られていないが、結構若いとか。

チームの構成員自体が若いんだからリーダーも若いのだろうが、メンバーの掌握力がかなり高いとか。

まあ、組織力があるなら...

と思ったが、リーダーが周囲に物凄く迷惑をかけたいと思っている人なら結構迷惑な話だなと思う。

ふと、目の前に人が立ちはだかった。

あらあら...

さてさて、どうしたものか...

ほんのり困っていると彼らは『ダイヤモンドサイン』と名乗る。

うーん、今このことを考えていたからこんなことになったのかなぁ...

あまり困っている様子ではないに彼らは苛立ちを覚えたらしい。

伸して警察か...

実家に居た頃、護身術を教えてもらっていた。

が、あの師匠は複数を相手にすることは想定されていなかったはずだ。はず..だと思う。

既に記憶が遠い昔に置いてけぼりなので少々不安ではあったが、どこかの店舗に逃げ込むことが出来ればいいから完璧伸さなくても良い。


「やめておけ」

不意に声がかけられた。

目の前にした彼らは慌てた。

もそちらを見た。

リーダー格の青年が彼らを止めた。

ああ、違うのか...

先ほどの集団の様子を見たらあの生徒会の子がリーダーだと思ったが、こうして声をかけて、たぶんメンバーである絡んできた彼らを止めたのは別の子で、その子に対してに絡んできた彼らはヘコヘコしている。

つまり、この止めに入ってくれた青年がリーダーなのだろう。

「あんたも、こんな夜遅くにこういうところに来ない方が良いぜ」

リーダーらしき青年にそう言われて

「普段は避けてるんだけど..ありがとう」

と返し、バイクを置いている駐輪場に向かった。

ふと、視線を感じて振り返る。

しかし、振り返った先でと目が合う人はおらず、彼女自身知り合いらしき人物を見つけることは出来なかった。

首を傾げては足を進める。


「那智さん、アレで良かったんですか?」

青年が戻ってそう声をかけた。

「ああ。しかし、あいつら見ない連中だったな」

「最近入った奴らです」

「きちんと教育しておけよ。面倒ごとを態々作るな、って」

面倒ごとは自分が作り、楽しみたい。

このチームは退屈しのぎに作ったもので、自分のオモチャのひとつだ。

「しかし、まあ...」

意外と敏いというか...

まさかあそこで振り返るとは思っていなかった。

確かに彼女は学校の近所の喫茶店のマスターだった。

一度手を振り合った仲だ。

彼女が自分の顔を覚えていないとは思えない。あのとき、手を振り合うには結構長い時間振り合ってしまったし。

面白そうだから振ってみたら手を振り返された。

何となく自分からやめてしまうのは負のような気がして手を振り続けていたら彼女も振り続けた。

変なの、と思った。

たぶん、あそこで慧に声をかけられなかったら何の勝負か分からないけど負けるのがイヤだから手を振り続けていただろう。

「まあ、いっか」

那智は呟き、が消えた逆の方向の夜の街に消えていった。









桜風
10.2.12


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