| 休憩している間には軽食を作った。 その間も、永田と中田は力仕事などを2人で請け負ってくれた。 ご飯休憩しようとが声をかけ、彼らもそれに応じて手を止めた。 「窓ガラスは、一応電話していたが。ここら辺一帯がこうだからな...」 既にガラス屋に修理依頼の電話をしていてくれたらしい永田がそういう。 目の前にはサラダとトマトソースのパスタ。そしてスープとパンが並んでいる。 「そっか。じゃあ、どうしようか...」 さすがに窓ガラスが割れた状態で放置して家に帰ることは出来ない。 「私が泊まろう」 そういったのは永田だ。 「え!?秘書業は??」 「今日一日お休みを頂いている。明日、翼様を起こしに行くまでは一応自由だ」 「けど、急な呼び出しとかあるよね?」 在学中の指パッチンを思い出して言う。さすがの永田もそれは否定できないようで、言葉に詰まっていた。 「いいよ、わたしひとりで泊まるから。心配してくれてありがとう」 の言葉に永田と中田は顔を見合わせた。 無用心だから、永田が泊まるといったのに... 「んじゃ、俺も泊まる」 「マコ兄?!多智花君は?!」 「坊ちゃんには今から連絡する」 そう言って中田は席を外した。 「。今のこの店は鍵なんて簡単に開くし、無用心もいいところだ。お前が自分の身をある程度守れるのは知っている。お前の伯父が趣味で教えていたからな」 「師匠はトモ兄たちのお父さんだよ」 「血がつながった他人だ」 冷たく言われた。 というか、血がつながっている時点で他人ではない気がするのだが... まあ、此処で突っ込みを入れても倍返しで痛い目にあうのは分かっているので此処は言葉を呑むのが最も賢明な行為だ。 「翼様にはきちんとお話しておくからは気にするな。というか、お前は帰れ」 「えー!此処は預かっているとは言え、わたしのお店だよ!!」 永田は「まったく...」と溜息混じりに呟く。 こういうところはホントに変わらない。意地っ張りというか... 「坊ちゃんの許可はもらったぞ」 「え!?多智花君、良いって言ったの?困らないの?!」 の言葉に「他のヤツに変わって貰った」と中田が返す。 「誰にでもできる仕事なんだな」 永田の言葉に中田は彼をキッと睨んだ。 その視線を軽く流している永田。 あ、ちょっと空気が悪い。いや、重い... 「ま、窓開ける?!」 の言葉に永田は溜息を吐き、中田はぽかんとした。 「開けなくても既に空気の入替えには最適な状況だぞ」 だよねー... は大人しく引き下がった。 「あ、冷めたかも...」 2人の椅子の前に並べた昼食を指差してはシュンとした。 永田と中田は再び顔を見合わせて食事に手を伸ばした。 「コーヒーは?」 中田が問うと「2人とも食後でしょ?」とが当然のことのようにそういった。 そんな自分たちの共通点を知らなかったら2人はまたしても顔を見合わせて何だか気まずそうにしていた。 主に中田が。 昼食を済ませて再び片づけを始める。 店の中のものは殆ど壊れたものはなかったが、やはりガラス面積の大きかった壁面の破損が痛い。 「夕飯どうする?」 が問う。 どうする、というよりも「何が良い?」が正しいのだが。 「、バイクを貸してくれ」 永田がそう言って上着を着る。 「良いけど...」 「ちょっと翼様に事情を話してくる。ついでに買出しもして来よう」 買出し... 「何買うの?」 「さあ?行ってみないと分からないな」 買い物をする永田の姿を思い浮かべてみた。 ...なんかしっくり来ないというか違和感の代名詞にもなりそうだ。 ぺちんと頭を叩かれた。 「良いから、さっさと貸せ」 そう言って永田は手を差し出した。 はポケットに入れていたバイクのキーを渡す。 「裏ね」 「ああ」 のバイクが店の前の大通りに出てそのまま駆けて行く。 「相変わらず、トモ兄は何でもできるよねぇ」 が呟くと 「バケモンだからな」 と拗ねた声で中田が言う。 幼い頃から比べられて育った。 ただ、唯一比べなかった大人は自分の父親だった。 「親父、まだ外?」 「帰る前に連絡が来た例がないからわかんない。もう日本に居るかも」 苦笑して言うに「何で親父の世話になってるんだよ」と中田が問う。 「伯父さん、好きに生きれば良いって言ってくれる人だから。というか、自由な人だから、かな?」 「自由すぎると周りに迷惑かけるんだぞ?」 眉間に皺を寄せた中田がそういう。 は「肝に銘じておきます」と言って笑った。 |
桜風
10.3.5
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