HOME 17





「は!?」

世間が『夏休み』でもは夏休みではない。

当然だ。生活が掛かっている。

そんな中、親友が助けを求めて店にやってきた。

夏休み、補習組に合宿を張ることになった。手伝ってもらいたい。

一瞬何のことが分からず頓狂な声を上げたが、その言葉を咀嚼して意味を理解したは首を横に振った。

いやいや、ムリだ。

「お願いっ!!ね?」

「ムーリー」

「何で?!お願い、成績良かったんでしょ?!」

「ちょっとさー、高校って何年前だと思ってるの?卒業してどれくらい??」

は眉間に皺を寄せて目の前で未だに手を合わせたままの親友に言った。

「卒業して5年目。まだまだ現役!」

「それを公言してどれだけの人が暖かい瞳を向けてくれると思ってるのよ」

呆れた口調でが言う。

「だって...ねえ、聞いて。私自信ないのよ...」

肩を落として真奈美が言う。

ついでに、カウンターに頬を付けている。

「センセイに自信がないのに、赤の他人というか無関係な喫茶店のマスターが行ってもどうしようもないでしょ?」

が諭すように言った。

が、そうじゃないといって真奈美はガバッと起き上がる。

「あのね、B6の先生方も一緒に来てくださるの。つまり、教師陣は私とB6の先生方」

ああ、漏れなく永田智也もついてくるのだろうが...だったら心強いではないか。

「生徒は、主に私のクラスの子。あとは、生徒会」

「生徒会にも補習組が居るんだ?」

が珍しがって言うと真奈美は首を横に振った。

「あの子達は、監視というか..サポート?」

首を傾げて真奈美が応える。

いや、首を傾げて疑問系で言われても自分は分からない...

は困った。

「で、生徒の数に対して教師の数がやっぱりちょっと心もとないって言うか...」

じゃあ、同僚に頼めば良いじゃないかとが言うとやはりうな垂れる。

「合宿場所が、真壁先生の別荘..みたいなところになるらしいの。何か、真壁先生たちって近付き難いオーラって言うのかな?それがあるみたいで」

ああ、何か巻き込まれそうなオーラだよね。

口に出すことなくは納得した。

「けど、その点はもう免疫あるでしょう?」

先輩に向かってそういう表現をするとは...

真奈美が切羽詰っているというのが良く分かる表現だ。

「学年が違ったんだから免疫も何も...それに、部外者の参加ってムリなんじゃないの?今校則がだいぶ厳しくなっているって聞いたし」

「大丈夫!一応、他の先生方に確認したら校外学習だからそこまで厳しくないんだって。相手の了承を得られたらそれで良いって言われたの。だから、ね!?お願い!!」

真奈美は再びパンと手を合わせて拝んでくる。

「どれくらいの期間?」

「1週間!いける?大丈夫??ありがとうーーーー!!」

まだ返事をしていないのだが...

呆れつつも、此処まで困り顔の親友を目の前にばっさり断ることが出来ないのは自分が一番良く分かっている。

はぁ、と溜息を吐いた。

1週間+お盆の1日。

定休日を振り替えて店を開けるか...


生活が、掛かっているのだ...









桜風
10.3.26


ブラウザバックでお戻りください