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合宿参加者は学校集合。

そういわれては重い足取りで母校へと向かった。

学校の前に大きなバスが停めてある。

ああ、これが...

そう思ってバスのフロントに回ると『聖帝学園残念な成績の皆様』と書いている。

良いのか、こんなのを堂々と掲げていて。

そう思いつつも、何だか可笑しくては笑った。

「何でがここに居るんだ」

少し声のトーンを落とした永田が呟きつつ問う。

「真奈美に頼まれたの。殆ど泣き落とし」

「何面倒くさいことに巻き込まれているんだ、お前は」

永田が咎めるように言うが

「仕方ないじゃない。泣かれたら..ヤだし。親友だし。トモ兄とは会話しなきゃ良いんでしょ?大丈夫。真奈美にくっついているから」

そう言ってはその場を離れて真奈美を探し始めた。

「そうじゃない。この合宿のことだけじゃない」

の背中を見送りながら永田は溜息を吐いた。


永田が知らなかっただけで、B6と生徒会には既に真奈美がのことを話していた。

生徒会からは胡散臭げな視線を向けられて居心地の悪い思いをしたが、それはバスに乗ったほんの最初だけだった。

しかし、まあ。

在学中は遠くから見ていただけのB6と何かをすることになるとは...

共通の話題はあるものの、今彼女たちの話をするのはどうにも憚れ、結果、共通の話題がないことになる。

ふと、生徒会の中に手を振り合った子を見つけた。

「ね、あの子。名前何ていうの?」

が真奈美に問う。

「ん?ああ、方丈君。方丈那智君。あっちがお兄さんの慧君」

ああ、双子なのか。似ていないな、二卵性か...

と目があった那智はヒラヒラと手を振った。もそれに応える。

「それでぇ、何でさんも合宿参加なのですかぁ〜?」

八雲に聞かれ、真奈美にとって色々と都合の悪そうなところは端折りながらが説明する。

「まあ、理由なんてどうでも良いんだけどね。こうして、マーガレットちゃんと一緒に合宿に行けることに意義があるんだよ、やっくん?」

「そうですなぁー、楽しみですねー」

「...赤点補習合宿だけどね」

が冷ややかに突っ込みを入れると

「ダメダメ。それは言わないや・く・そ・く..ンフッ」

とアラタが言い、

「もー!せっかくの合宿なんだから勉強なんていいじゃん!ねー、ピーちゃん」

と八雲も声を上げる。

...確かに、真奈美の苦労が偲ばれる。


合宿場所に着いた、とバスが止まる。

何と、そこからは山登りが待っていた。

「うっはー。聞いてないですよ、真奈美さん」

山を見上げてが言うと

「私も初めて知ったの...」

と真奈美は申し訳なさそうに返す。

まあ、体を動かすことは嫌いじゃないけど...そう思いながら足元を見た。

山登りをするには心許ない。

しかし、これの予備とかは持っていないし...

「大丈夫?山を登るって聞いてないよね?」

不意に声をかけてきた女性教師..ではなく風門寺悟郎に驚き、一歩後ずさる。

「ああ、驚かせちゃったかな?」

肩を竦めて悟郎が言う。

「あ、すみません。風門寺先輩」

「ん?あ、そっか。センセちゃんの親友なら、聖帝出身ってことかな?」

「はい、高等部も聖帝です」

の答えに「なるほど、なるほど」と悟郎は頷く。

「で、足。それで大丈夫?」

「今の心境は、『ミュールにしなくて良かった』..でしょうか」

悟郎は「だよねー」と同意した。

「別荘と聞いたので、多少自然豊かなのかなとは思いましたが...」

「せめて山を登りきったところまで車を付けてほしいよね。まったく、ツバサったら!」

と悟郎はぷんすか怒っている。

は悟郎の足元を見た。

たしかに、彼も運動に適した靴ではない。

「ボクはまあ、センセイとして此処に来てるから仕方ないけど、ボランティアの..えーと、名前何ていったんだっけ?忘れちゃった。メンゴ」

です」

「そうそう。ちゃんは、辛いよね?ツバサにお願いしてみようか?ヘリ出してくれるかもよ?」

乗ったことがないのでヘリ自体には興味あるが、今朝、永田に会話をしない宣言をした手前、できれば真壁とは関わりあいたくない。

「大丈夫です!たぶん、行けます!!」

ムンッと気合を入れてが言い、「ホント?大丈夫??」と悟郎が確認する。

「たぶん、ミズキはヘリ組だろうし...」と呟いている。

ミズキ..ああ、斑目瑞希先輩か。

そう思いながらもは「大丈夫です!」ともう一度宣言した。









桜風
10.4.2


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