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山の麓で悟郎に大丈夫宣言をしたは良いものの、は既にへたっていた。

現在山の中腹といったところか。

ああ、どうしよう。

進むのも戻るのも大変なところでガス欠だ。

道沿いの少し大きめの岩に腰を下ろした。

何か、本気で疲れたぞ?

いつも仕事は喫茶店の中での行動が主で、こんなにも体力を使うことなんてまずない。

ああ、体力がなくなったんだな...

最近の移動は専らバイクだし。

体力づくりのためのランニングとかしたほうが良いのかな...

そう思いながら空を見上げると、木々が鬱蒼と茂っており、暑くない代わりに辺りは薄暗く空が見えない。

何故かある切り株を見て方角を割り出す。

ガサリ、と音がした。

に緊張が走る。

この山、クマが出るとかって誰かが言っていたような...

出てきたのはクマではなく、聖帝学園の制服を着た男子生徒だ。

「何だ?まだ山頂じゃないのか...」

の姿を見て彼は呟いた。

そして、彼女の足元に目が行く。

「足でも捻ったのか?」

「え?!あ、捻ってはないけど、体力の限界を感じてさてどうしたものかといった感じなんだけど...」

の言葉を聞いた彼は物凄く面倒くさそうに溜息を吐いた。

何だ、この子?

少し感じが悪いぞ?

「道は、分かっているのか?」

「ええ、地図は読めるし、方角も分かるけど...」

「それなら、丁度いい」

そう言って彼は膝をついて背を向けた。

「えーと?」

「オレがお前を運ぶ。お前は道案内をすれば良い」

が躊躇っていると

「不破千聖だ。クラスZの生徒だ」

と、いうことは真奈美の生徒だ。

「大丈夫なの?」

「早くしろ」

自分は決して軽くない。重くもないが...

しかし山道で自分を背負って移動というのは辛くないだろうか...

そう思って躊躇っていたのだが、やはり命令口調で促されて負ぶさった。

「ありがとう」

が言うと「ああ」と短く応え「で、どっちに行けばいいんだ?」と聞かれた。



ーーーー!!」

千聖の背中から降ろしてもらったところに、真奈美の熱い抱擁、寧ろ勢い余っての体当たりの歓迎があった。

まだの傍に居た千聖が彼女を支え、「おい、危ないだろう」と真奈美に言う。

「あ、うん。千聖君、ありがとう!ごめんね、。置いていって...」

そう言って半泣きでを抱きしめる。

「探しに行くって聞かなかったんだよ、センセちゃん。ちゃん。帰りはミズキと一緒にヘリ決定ね。あ、ボクもヘリだけど」

母性を湛えた笑みで悟郎が言う。

「あ、はい。すみません...」

小さくなって言うに「まあ、いいじゃねーかよ。無事だったんだし」と草薙一が言う。

「もしかして、最後だったんですか?」

「ん?あ、ああ。まあな」

苦笑して一がそういった。

「じゃあ、まずは腹ごしらえだな」

ニッと笑って翼の別荘に向かって歩き出す。

別荘の傍で生徒たちが騒ぎ始めたので真奈美は慌てて駆けて行き、悟郎も真奈美が大変だろうからと足早に別荘に向かう。

「代えの靴は持ってきていないのか?」

不意に声がして驚き振り返るといつの間にか傍に永田が居た。

「うん、こんな山だとは思わなかったから...」

困ったように笑うに「私に相談せずにやってくるからだ」と軽く説教された。

だって、何でもかんでも相談するわけにはいかないではないか...

拗ねたに永田は溜息を吐き、

「どうとでも誤魔化せるから、この合宿中に困ったことがあれば私に言え」

と言う。

「ありがとう」というの言葉と「翼様がお呼びだ」という永田の声が重なり、もしかしたら自分の感謝の言葉は永田に届いていないかもしれないと思っては口を噤んだ。

が、足早に別荘に向かう永田はの頭をさらりと撫でていく。

いつもの、軽く頭を叩くとかじゃなくて、撫でられたというのが分かるそれだ。

驚いて永田の背を見送っていると「ーーーー!」と自分も真奈美に呼ばれる。

「はーい!」と返しては別荘に向かって駆け出した。









桜風
10.4.9


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