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、どうしよう!!」

突然真奈美から電話が掛かってきた。

今の時間は彼女の勤務中のはずだ。

なのに、電話をかけてくるなんて...

「今どこ?!」

真奈美の答えた地名に小さく舌打ちをした。

そこは昼間でもなるべく近付かない方が良い。

「動いちゃダメよ」

「でも、那智君が...」

猪突猛進にがむしゃらに進むのは悪くないと思うが、時には最悪の方向にまっしぐらだ。

ちょうどお客も居ないことからは慌てて『CLOSED』を出して店の裏に出た。

永田と中田の携帯に同時にメールを送信して、はバイクに跨って真奈美がまだ居ると良いな、と思う土地へとバイクを滑らせた。



胸ポケットで震える携帯を取り出してメールを確認した永田の表情が変わった。

珍しいな、とその様子を見ていた翼が感心する。

「どうした?」

声をかけられて永田は驚いたように顔を上げて「いえ」と一度は返答に窮する。

しかし、

「今このようなメールが...」

と翼に文章を見せた。

「誰だ、この『』というのは」

「翼様、今はこちらをご覧ください」

差出人ではなく、本文を見てほしくて差し出したのだ。

「...ほう?確認を取れ」

「はい」

「で?とは誰だ?」

「従妹でございます」

『従妹』という単語で浮かんできたのは

「台風familyの...」

台風一過。『一家』ではない。

が、永田は律儀に突っ込む性質ではなく、「はい」と答えて翼の指示のあったとおり確認を急いだ。



「坊ちゃん、大変です」

携帯のメールを確認した中田が八雲にそれを見せた。

「あれ?さんからのメール、ボクに見せて良いの?..ってこれ。どういうこと?」

「わかりやせん。確認を急いだ方がよろしいかと...」

「だね。じゃあ、生徒会室に乗り込もうか」

八雲がズンズン進んで行き、中田はその後ろに従った。

しかし、待てよ。

このメールにこう書いてあるという事は、もその渦中に飛び込む気満々ということか?!

そう思うと中田も落ち着かなくなる。

八雲の大切な担任の先生が危険な目にあっているかもしれないという事実に驚いたし、心配をしたが、それプラスとなると落ちつかない。


「おい、ゴラァ!!」

ドスを効かせて八雲が生徒会室に入る。

そこには那智が居た。

「...どうしたんだよ、突然」

「あれ?ほじょおとが居るよ?」

「一緒じゃなかったということですね」

では、真奈美は何を慌てたというのだろう。

「何だ、多智花。この神聖な生徒会室に...」

慧が前に出て八雲に言う。

しかし、またしても賑やかにドアが開いた。

「おーっス!って、あれ?先生いないなぁ...」

「そだね。何処に行ったんだろうね、センセちゃん」

「多智花、いいところに居た。先生が不在でも補習はするぞ」

一、悟郎、瞬の3人だ。

真奈美が中々現れないから生徒会室にでも居るのではないかと思ったらしい。


「草薙さん、実は...」

いつの間にか現れていた永田が一に耳打ちをする。

「でも、どうやって先生を見つけたら良いんだ?!」

どうやら真奈美についてのことだと気づいた全員が永田に説明を求める。

永田は手短にから送られてきたメールの内容とそれに基づいて確認した事項を口にする。

那智が生徒会室を飛び出した。

「で、ちゃんは?」

「バイクの運転中でしょうから、連絡が取れません。彼女と先生が合流していたら彼女の携帯のGPSで確認は取れるとは思うのですが...」

「ンなのカンタンだぜェ〜!」

これまたいつの間にかドアに凭れて立っていた清春が声をかける。

「どういうこと、キヨ?」

「あの新人教師チャンのケータイに、オレっ様特製のGPSをつけてやったんダ。んだから、あの教師チャンの居場所なんてカンタンに分かるってコトだ」

「今何処に?」

永田が問う。

「んー?ああ、そうだな」

そう言って清春が自分の携帯でその場所を表示した。

「ああ?動いてるな」

このスピードは、走っているにしては速過ぎる。

つまり、と永田はすぐに指示を出した。の携帯のGPSを使っての捜索だ。

おそらく、合流できたのだろう。

そして、そのまま永田は挨拶もそこそこに生徒会室を後にした。

「...オレ、あんな慌ててる永田さん初めて見た」

「ゴロちゃんも」

「右に同じく」

「ナァナに同じく?」

呆然と見送るB4の面々に八雲は首を傾げ、このまま補習から逃げようと試みた。

がらみなら、何度かあるけどな」

ポツリと落とした中田の呟きは誰の耳にも届かなかった。









桜風
10.6.18


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