Kaleidoscope 3





昨年のの誕生日に何の予告もなく姉と兄がやってきた。

入学して、課題の多さを含めて学校生活になれてきた頃のことだ。



その日の放課後、何も知らされていないは保健室に向かっていると、廊下の向こうから「ー!」と名前を呼びながら猛然と駆けて来る長身の女性にぎょっとした。

『猛然と駆けて来る長身の女性』、つまり姉なのだが、彼女は身長が170センチあり、職業柄体格も良い。

そんな人が猛然と突っ込んできているのだ。そりゃ、知り合いでも逃げたくなる。

回れ右をしてもダッシュした。

運動神経の良いは足も速い。

そして視界にクラスメイトの姿が入った。

「犬飼くん!」

そう言ったが、その後ろにもうひとりのクラスメイトを発見する。

「じゃ、なくて。やっぱり青空くん!」

名前を呼ばれたのに『じゃなくて』と言われた犬飼は不服そうな声を上げたが、それを遮るように「琥太、掴まえなさい!」と颯斗の背後にいる琥太郎に夏凛からの命令が下った。

夏凛に逆らうと色々と面倒だと思ったらしい琥太郎はとりあえず行く手を阻もうとした。

しかし、

「青空くん、肩借りる!踏ん張って!!」

そう言ってはふわりと跳んで颯斗の肩に手を置き、その反動でさらに高く跳んで琥太郎の頭上を飛び越えた。

さすがに、跳んでいる人間に手を伸ばすと危ないと思った琥太郎はを見送ったが、「つーかまーえた!」と別の声に「やれやれ」と溜息を吐く。

「あー!アキ!!なんであんたが先にを捕まえるのよ!!」

「作戦勝ち」

誇らしげに言う兄の声が頭上高くで聞こえる。

兄も背が高い。190センチくらいあると本人は言っているし、たぶん間違いないだろうと琥太郎も言っていた。

「お兄ちゃん...」

「おい、2人とも。とりあえず校内で騒ぎを起こすのはやめてくれないか...」

「あら?琥太が先生みたいよ。記念撮影しておいた方が良いかしら?」

「成長したな、琥太」

夏凛と晴秋がそれぞれ言う。

はぁ、と深い溜息を吐いた琥太郎は「とりあえず、保健室に来てくれ。あと、それ。困ってるぞ」とが困っていることを指摘してスタスタとその場を去っていった。

「誕生日おめでとう、

と晴秋が言い

「あんた!それもあたしより先ってどう言う了見よ!」

と夏凛に叩かれた。

、誕生日おめでとう。琥太が煩いからとりあえず保健室に行くことにするわ。ほら、さっさと離しなさい!!」

夏凛はまたしても弟の頭を叩き、妹を解放させる。

「で、保健室?何、この無駄にでかい造り!!」

「じゃあなー」

文句を口にしながら先を行く夏凛に苦笑して晴秋も去っていった。


その場がざわざわと騒がしい。

というか、散らかすだけ散らかしてそのまま放置という状態だ。

...どうしよう。

この場をどうやって納めたものかと悩んでいると「大丈夫かー?」と軽く声をかけてきたのは生徒会長の不知火一樹だ。

「さっきの、お前の姉ちゃんと兄ちゃん?」

「えー...はい」

恥ずかしくて俯く。

「賑やかだな」と彼は楽しそうに言う。

「...ご迷惑をおかけしました」

「会話を聞いてたが、星月先生の知り合いなんだろう?ま、それなら先生が何とかしてくれるだろう」

苦笑交じりに彼が言う。

「ところで、前にも言ったが。やっぱり生徒会に入らないか?」

は入学したてのときに一度生徒会に勧誘されていたが断った。はっきり言って自分はあまり器用ではない。沢山のことは一度に出来ないと思ったのだ。

琥太郎に話すと

「入ればよかったのに。せっかくの高校生活だ。直獅じゃないが、お前の高校生活なんて一生に一度だろう?」

と天文科のとても熱い担任の陽日直獅を例に出してそう言い、苦笑したのだ。

ああ、断る前に琥太にぃに相談してみたらよかったなと少しだけ後悔はした。

「でも、もう時期的に遅いですよ」

が言うと

「お前が今断る理由は時期だけか?だったら、関係ない。俺が『いい』って言えばそんなのは問題じゃないんだからな」

自信に満ちた笑みで彼が言う。

ちゃん!」

振り返るとこの学校でもうひとりの女子、夜久月子が立っていた。

「大丈夫?」と気遣ってくれる。

その気遣いが今は物凄く心苦しい。単に、賑やかな身内が来ただけなのだから。

「おう!お前からも言ってやれ。生徒会に入れって」

一樹に焚きつけられて月子はの手を取った。このとき、既に月子は生徒会の書記となっていた。

ちゃん、一緒に生徒会に入ってくれるの?!」

「ええ?!」

今の話の流れはまだ決定じゃないっていう...

そう思っていると

さんはしっかりしていますから生徒会に入ってくれると心強いですよ」

と先ほど肩を借りた颯斗まで声をかけてくる。

「それに、お前さっき颯斗の肩を借りただろう。その恩を返さないつもりか?」

と悪い笑みを浮かべた一樹が迫ってくる。

「そうですね」とニコリと微笑む颯斗のそれは有無を言わせない迫力がある。

「え、と...じゃあ、頑張ってみます」

思わずそういった。

「よっし!お前は..そうだな。会計がいないけど..こいつと一緒の書記だ。ひとつの役職に大抵ひとりだが、別に2人いても良いだろう。仕事は沢山あるしな!」

ええ?!人数って決まってるもんじゃないの?!というか、会計はいた方が良いんじゃないの?!

心の中で盛大に突っ込み、しかし誰も一樹にそういったツッコミを入れていないのでも沈黙を守ることにした。









桜風
11.2.11


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