Kaleidoscope 10





課題が終了して振り返るとベンチには夏凛と琥太郎が座っているが、琥太郎は彼女の肩に頭を載せて寝ている。

「あれ?」

「これ、どうにかしてくれる?」

眉間に皺を寄せて不機嫌そうに夏凛が言う。

「おお〜!これは、中々...」

晴秋が苦笑した。

「あんた、これ運んで」

「起こしゃいいだろう」と言って「おい、琥太。姉ちゃんにぶん殴られるぞ」と起こしている。

「...ん?」とゆっくり目を開ける琥太郎の顔を「琥太にぃ?」と覗き込む。

「ああ、有李...?」

ぽかりと夏凛が琥太郎の頭に拳骨を落とした。

「寝ぼけんな!」

は少し困ったように苦笑した。

「った...」と頭を抑えながら琥太郎は覚醒した。

「ああ、終わったのか」

叩かれた箇所を擦りながらと晴秋を見上げた。

「おー、待たせたな」と晴秋が言う。

琥太郎は伸びをして立ち上がり、夏凛も同じように伸びをした。

「あんた、あたしの肩を枕代わりにするなんて良い度胸ね」

夏凛の言葉に

「ホントだな」

と本人が驚いたように呟く。

本当に良い度胸だ...


「そういえば、お姉ちゃん達は明日いつ帰るの?」

寮に戻りながらが聞いてみる。時間によっては自分のいないときだ。

「朝一の飛行機に乗らなきゃならないから...何時?」

運転手としてここまでやってきた弟に彼女が問うと少し考えて「4時に出たらたぶん間に合うけど」と彼が返した。

「4時?!」

が声を上げる。

「琥太、鍵かけて出られないけど...」

「ああ、寮だし良いよ」と面倒くさそうに琥太郎が返す。

「お姉ちゃん、忙しいのに...」

自分の誕生日のために時間を作って態々やってきてくれた。

「アキが抜け駆けするって言うからね。誰が許すかってんだ」

そう言って晴秋を睨み上げる。

彼は何処吹く風で「オレ一人でも充分だったよなー?」と妹に笑みを浮かべてそう言った。

まあ、どちらかだったら夕方のような大騒ぎにはならなかっただろう。

しかし、2人に来てもらえて嬉しかったのは嘘じゃない。

「ありがとう、お姉ちゃん、お兄ちゃん」

「いい子!」

「どうしたしまして」

2人はそれぞれの頭を撫でた。



の部屋の前で別れて晴秋は琥太郎と共に彼の部屋に向かった。

「思ったよりもごちゃごちゃしてないってのが驚きだなー、ホント」

琥太郎の部屋の感想を口にする。

「生活するのに不自由しない程度に抑えてるんだよ」

「ふーん」と気の無い返事をして借りた上着を返した。

「季節の変わり目だけどさ」と晴秋が言う。

なら、今のところ大丈夫だな。あと、生徒の方にもある程度の事情を知ってもらったほうが良いと思って話をしたヤツがいるよ」

「生徒会長か?」

晴秋の言葉に琥太郎は驚いた表情を見せたが「見えたのか?」と聞いてみる。

「いや。今日が生徒会に入ったってのを聞いたときのお前の表情を見たら、何となくな」

肩を竦めて晴秋が言う。

「なるほどな。悪いな、勝手に話したぞ」

は、昔からお前に面倒見てもらってるんだ。文句は言わないって。此処でのことにオレや姉ちゃんが口を出したって結局、口しか出せないし、何が最良かその場で選べないんだから。任せてる」

「今度は失敗しないから」

「いつ失敗したってんだよ。てか、失敗の無い子育ては無いらしいぞ」

と晴秋は苦笑した。









桜風
11.4.1


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