| 欠伸をかみ殺しては学校に向かった。 朝、一度4時前に起きて姉と兄を見送った。 2人は短い時間で深く寝ることに慣れているので起きたときにははっきりと覚醒していたし、やっぱり早朝だと言うのに賑やかにしてが慌てた。 「じゃ、夏に帰れたら日にちをあわせて帰るし。お正月は、絶対に帰るから」 助手席に乗り込んだ姉はそう言ってニコリと微笑んだ。 「別に、お正月は...」 「だーいじょうぶ!普段そういうときに休みを取らなかったから休ませてもらえると思うし」 親指を上げて彼女は満面の笑みでそう答えた。 いや、そういう意味では... 「姉ちゃん、出すよ」 運転席に座っている晴秋が声を掛けると「オッケー」と返す。 車がゆっくりと走り出し、は見えなくなるまで手を振って見送った。 「さん、おはようございます」 声を掛けられて振り返る。声をかけてきたのは颯斗だったようだ。 「おは..よ」 またしても欠伸をかみ殺す。 「寝不足ですか?」 「お姉ちゃん達が、今朝4時に帰ったから見送りしたんだけど。そのあとの眠りが浅くて...」 なるほど、と彼は頷いた。 「課題はどうでしたか?」 「内緒だけど、お兄ちゃんが手伝ってくれた」 「お兄さんは星に詳しいんですか?」 「うん。小さい頃、お兄ちゃんに色々教えてもらって星空に興味を持ったから」 「そうなんですね」と颯斗が頷く。 「おーっす!」 声を掛けられてと颯斗が振り返って、「おはよう」「おはようございます」とそれぞれが挨拶を返す。犬飼だ。 「昨日、ケーキありがとうな。美味かったぜー。宮地も喜んでたし」 「うん」 もう、昨日の一連の騒ぎは忘れてほしい。 「お前誕生日早いんだな」 「まあ、うん。大抵クラスに馴染むかどうかのときに終わるからね」 「夜久が悔しがってたぞ。知ってたらお祝いしてたのに、って」 「いいよ、別に。誕生日なんて」と少しだけ寂しそうには笑った。 **** 「そういや、そんな季節が近付いてきてな」 生徒会室の用事が一通り済んで通常の業務をしながら颯斗が一樹に昨年のことを思い出して話すと、一樹も懐かしそうに苦笑した。 あれから1年か... そういえば、季節の変わり目に体調を崩しやすいんだったか? 昨年は彼女は凄く健康そうに過ごしていたのですっかり忘れていたが、颯斗に彼女が生徒会に入ったときの話をされてあのとき琥太郎から聞いた内容も思い出す。 「今年もあの人たち、来るんだろうなぁ」 ポツリと呟くと颯斗がクスクスと笑う。 「去年のあの勢いを考えたら、そうでしょうね」 がお断りをしても「遠慮しなくて良いから」と満面の笑みで言いそうだ。 「遅くなりました」とノックをしながらが入ってきた。 「おう、もう保健係の用事は良いのか?」 「ええ、机の上を整頓しに行っただけのような気がします」 遠い目をしてが言う。 「さっき、颯斗とお前の誕生日の話をしてたんだよ」 「あー...今年もお騒がせするみたいです。釘は刺すつもりですけど」 げんなりとしたようにが言う。 「ま、頑張れ。そいや、正月も姉ちゃんと兄ちゃんに会ったって言ってよなぁ」 この話題はもう忘れたい。 親戚一同を敵に回して、彼女達は全力で楽しんだのだ。何せ、あの2人は客観的に見てパーフェクトなのだ。 だから、彼女達に指摘されてその反論が出来ないことの方が多く、お陰で親戚達はぐうの音が出なかった。それはもう、気の毒になるくらい。 「今度からこっちの親戚の集まりにはでなくて良いからね」と姉が言ってくれたが、本当に良いのだろうか... 「おーい、。そろそろ帰って来い」 遠くを見たまま帰ってこないに一樹が声をかけてきた。 「あ、ごめんなさい」 「今日、集まってもらったのは入学式の準備の関係だ。入学式前に生徒達は入寮するしな、その手伝いも頼まれてる。資料は月子が持って帰ったから夜にでも渡しに行くと思うぞ」 「来年度は、女子も入るんですか?」 が期待に満ちた瞳で一樹に問うと 「残念ながら我が星月学園の女子の人口は来年度も変わらないらしい」 と首を横に振られた。 「やっぱ、変人はわたしとつっこちゃんくらいか...」 の呟きに一樹が噴出して盛大に笑う。 「自分で言うな」と言われたが「他人に言われたらムカつくので、自分で言うんです」と返しておいた。 そんなの反応も面白いのかやっぱり一樹は笑う。 まあいいや、と肩を竦めたは颯斗の手伝いを始めた。 「そういえば、さっき職員室に行ったら転校生が来るって噂がありましたよ」と颯斗が言う。 「転校生?この時期に?」 が聞くと颯斗は頷く。 一樹を見た。 「ああ、らしいな。俺も聞いてる。たしか、天文科に来るって。お前らと同学年だと」 「てことは、つっこちゃんのクラスかー。なら、転校生くんもきっとすぐに馴染めますね」 あのクラスは担任を始めとしてみんな面倒見が良い。きっと、クラスメイト同士が仲が良いからだろうな、と思う。 |
桜風
11.4.8
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