| 学年が上がり、生徒会の新体制も早々に出来上がった。 「ぬははは〜」と楽しげに笑う後輩、宇宙科の天羽翼が生徒会に加入したのだ。 一樹は入学式で彼を会計に指名した。生徒会長様の言葉は絶対だ、と言いながら。 一度断ったことのあるはそのとき初めて『絶対』だったことを知った。 役職については、は自分が会計になって彼を書記にしてもいいのにと思ったが、できれば会計は長期間就任してもらった方がいいと一樹が言うのだ。 しかし、この翼。問題があるとしたらその発明意欲の強いところだ。 彼は発明を良くする。 そして、よく失敗してそれは爆発する。 発明が失敗して爆発なんて漫画の中だけの話だと思っていた。 にとっては非常に興味深い。 「さんは、翼君の発明を楽んでますよね」 「まあ、今まで周囲にいなかったタイプだからね。颯斗くんと一樹会長のお陰で無事に過ごすことができてるし」 颯斗の指摘に笑ってそう答えた。 無事に進級したはこれまた姉と兄からお祝いをもらった。 姉からは「寂しくないように」と大きなぬいぐるみ。ちょっと置き場に困っている。というか、何だか今更のような気もする。 兄からは天体望遠鏡。 嬉しいが、高価なものなので正直気を遣う。 から話を聞いた月子は心から羨ましがったが、にとってはその気持ちはちょっと重い。 彼岸には、一度実家に戻って墓参りをすることが出来た。 両親の墓はいつ行っても綺麗になっている。 時間を見つけて姉や兄がきているのか、それとも星月のおじさんやおばさんが来てくれているのか。 きっと両方だと思う。 「あ、書記その2!それに、そらそら〜。移動教室なのか?」 廊下を歩いていると声を掛けられた。 翼だ。その隣にはクラスメイトらしき人物がいる。彼が小さく見えるのは隣に立つ翼が大きいからだろうか。 彼のお守りをするのは大変だろうな、と思いながら軽く会釈をしてみた。 彼も会釈を返す。 卒の無い感じがした。 「ええ、翼君もですか?」と颯斗が返事をしている。 「そうなのだー」 は翼に『書記その2』と呼ばれている。しかし、月子は『書記』だ。 「会計はいつも賑やかね」 だから、は翼のことを時々『会計』と呼ぶ。 「ぬぬぬ...俺は『翼』って名前があるのだ!」 「わたしも『』って名前があるの、偶然ね」 大人気ない。 隣に立つ颯斗はクスクスと笑っている。 「翼、急がないと」 隣に立つクラスメイトにせかされて「ぬ〜」と少し不満そうに呟いた翼は「じゃあ、また放課後」と言って去って行った。 「失礼します」と翼と一緒にいた彼も挨拶をして去っていった。 「さん、大人気ないですよ」 「ははっ」 颯斗に指摘されても何処吹く風で笑って誤魔化したは、次の授業のある特別教室へと足を向けた。 今年度、月子も保健係になったと聞いた。 まだ保健係の会議は無いので、保健係として顔を合わせていないが琥太郎に確認するとその通りだと肯定された。 「どうかしたか?」 「わたしはともかく。つっこちゃんが保健室のお留守番をするときはわたしとセットにしてよ?」 「ん?ああ、そういえばそうだな」 については、そこまで気を遣っていなかったが月子は気を遣わなくてはならないことを思い出す。 「んー...はその点楽だったなぁ」 「でも、一樹会長が時々釘を刺すの。お前は女の子なんだから、って」 「ここでも兄ちゃんが出来たのか。は兄貴が増えすぎだな。アキが嫉妬するぞ」 苦笑して琥太郎が言う。 「何でだろう?皆お兄ちゃん属性なのかしら?」 何処で覚えた、『お兄ちゃん属性』なんて言葉。 夏凛が知ったら自分が叱られそうでちょっとイヤだなと思いながらも苦笑を漏らす。 「そういえば、生徒会も中々盛り上がってるじゃないか」 新入生の会計のことを指しているのだろう。 「颯斗くんの苦労が...」 「は苦労しないのか?」 「これまた颯斗くんのお陰で」とが笑う。 「、学校は楽しいか?」 「うん、楽しいよ。どうしたの、琥太にぃ?」 首を傾げてが言う。 「いや、そうか」 今のところ、ちゃんと守れている。 に気づかれないようにほっと息を吐いた。 |
桜風
11.4.29
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