Kaleidoscope 18





ジャージに着替えて準備運動も終わった。

「よっし!」

気合を入れては保健室の前で彼女達の到着を待つ。

本日、めでたく17歳になっただ。今年は朝から多くの人に「おめでとう」と祝ってもらえた。

昨年姉と兄が来て大騒ぎをしたので皆の印象に残ったらしい。

恥ずかしいような、嬉しいような複雑な気持ちになった。

そして、今回。

壮大な鬼ごっこをすることになった。

よく学校側が許可したな、と心から思う。

まあ、あの琥春なら「いいわよー」で済ませそうだが...


腕時計を見てそしてスタート。

夏凛と晴秋を相手に30分逃げ切るか、生徒会室に入ればの勝ち。

それ以外は夏凛と晴秋の勝ちである。

ただし、校舎内では1階のみ。つまり、階段を昇ればの勝ちとなる。

そんなルールで午後4時から鬼ごっこが始まった。

「あたしたち相手に体力勝負の鬼ごっこなんて、まあいい度胸ね!」

早速夏凛がやってきた。

は駆け出す。

校内の地理なら自分の方が上だ。

駆け出した先に晴秋の姿も目にする。

姿勢を低くしてかけた。

グラウンドでは部活動も行われている。だから、多少の物音では気づかれない。

つまりは、鬼ごっこをしながらかくれんぼをしているようなものだ。

校内を駆け回っているはある建物の中に入った。この時間は休憩に入っていると聞いた。

「失礼します」

ちゃん!」

道着の月子が駆け寄ってくる。

「今は休憩中?」

「うん、後どれくらい?」

は時計を見て「15分は逃げないと」と苦笑した。

まだ半分しか経っていない。

靴を持って道場の中に入った。

そして金久保に断って地面に靴を置いて履き、そして助走をつけて跳んで壁に手をかけてその壁を越えていった。

「おお〜!」と皆が声を上げる。


「失礼します」

が戻ってきたのかと皆はぎょっとしたが、彼女の姉、夏凛だった。

意外と声が似ているようである。

「あら、つっこちゃん。、来なかった?」

昨年の今日会っただけなのにと同じように『つっこちゃん』と呼ばれて少し戸惑いを見せながら月子は「い..いいえ!」と応える。

ブンブンと首を横に振る月子を見て「ふーん」と言い、「ちょっと中に入っても?」と断る。

「いいですよ、どうぞ」と金久保が頷いた。そのほうが時間稼ぎが出来ると思ったのだ。

「ああ、来てたのね」

「え?!」と月子が声を上げる横で「弓道場、壁を越えて北から逃げたみたい。オーバー」とトランシーバーらしきものを持って言っている。

「あ、あの...」

「靴のあと」

ニコリと微笑んで夏凛が指差した先には確かに靴のあとがあり、壁の手前で地面を蹴ったのが分かる。

放った矢を回収するのに態々壁の前で地面は蹴らない。

盲点だった。

「じゃあねー」

ヒラヒラと手を振って夏凛が出て行く。

ちゃん...」

「うーん、凄いなぁ」

心配そうにの名を呟く月子の隣で金久保が感心した。観察力が違う。

「さ、皆。休憩は此処まで。僕たちは僕たちのしなきゃいけないことをするよ」

金久保にそういわれて休憩を終わらせた部員達は的の前に立った。

ただ、やはり鬼ごっこの行方が気になるのか、集中力が下がっている。

鬼の副部長に叱られても皆は落ち着かない様子だ。

「ま、仕方ないよね」

金久保も気になるので思わず納得してしまう。

あと15分もすれば結果が分かるのだ。それまでは体力づくりのメニューに変えても良いかもしれない。

そんなことを思いながら金久保は壁にかけてある時計に目を向けていた。









桜風
11.5.13


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