| 「なあ、書記その2..ぬ?!ぬいぬい、そらそら。大変だ、書記その2がいないぞ」 「はあ?!」 「え?!」 気づかなかった。 は大抵こんな賑やかな中でも静かにしているので、今回も後ろをついてきているものと思っていた。 「おいおい、いくつだよ...」 そう言いながら携帯で連絡を取ろうとした。 しかし、繋がらない。 「あいつ、電源入れてないのか?」 「寮に忘れてしまったとか...」 その可能性はあるかも。 「仕方ない、探すぞ。15分後に、神社入り口の鳥居前だ。を見つけても見つけなくても集合だぞ。お前らは携帯持ってるな?」 一樹にいわれて颯斗は「はい」と頷き、翼は「ぬいぬいさー!」と返事をした。 一樹はを探しながら一応寮に電話を入れた。 はぐれて連絡手段が無かったら帰る可能性だってある。 電話に出たのは琥太郎だった。 『どうした?』 「、戻ってませんか?」 『何だ、結局迷子になったのか...』 溜息混じりに琥太郎が言う。 「どういうことです?」 『今日、アイツの出かけ際に声をかけたんだがな。は夏祭りで必ず迷子になってた。たぶん..見つけてもらいたいんだろうな。探してやってくれ。あと、寮に戻ってきたらお前の携帯に連絡入れる』 琥太郎にそういわれて一樹は自分の番号を彼に伝えて通話を終えた。 「ー!」 呼ばれたと思っては顔を上げる。 ぴょんこと跳んでみたが見えない。 気のせいかな、と思って俯いていると「見つけた!」と声が聞こえた。 顔を上げると汗だくになっている一樹の姿が目に入る。 「一樹会長」 「お前、いくつだよ。迷子になるなよ...」 肩で息をしている一樹は呼吸を整えながらそういった。 「ごめんなさい...」 しょんぼりとしてが言う。 「...お前、泣いてたのか?」 指摘されては慌てて目元を拭う。 幼いころのことを思い出して、そのまま誰にも見つけてもらえなかったらとかそういうことを思っていたら自然と涙が零れていたのだ。 「あーもー...大丈夫だって」 そう言って一樹はの頭に手を載せてポンポンと叩く。 「お前が迷子になっても俺がちゃんと見つけてやるから。ただ、まあ。できりゃ迷子にはならないでくれ。とーちゃん、走って疲れたぞ」 苦笑して言う一樹に「ごめんなさい」ともう一度謝る。 その姿に苦笑して一樹は颯斗と翼に連絡を取り、鳥居の前に一度集合するように指示をした。 「ほら、お前小さいからな」 そう言って手を差し出してくる。 きょとんとが見上げると「迷子防止だ」と悪戯っぽく笑って一樹が言う。 確かに、迷子になったと言う前科持ちの自分に拒否権は無いかもしれない。は一樹の差し出した手に自分の手を重ねた。 「そうだ、寮にはお前から電話しとけ。さっき戻ってないか確認の電話を入れたからな。まだ帰ってないって言わないと。てか、携帯は?」 「電池切れ..です」 小さくなってが言う。 「しょうがないなぁ、まったく」と苦笑した一樹の携帯を借りて寮に電話をすると琥太郎が出てきた。 『言っただろう、迷子になるなって』 「今回はなるつもりはなかったもん」 拗ねてが言うと電話の向こうで琥太郎が笑う。 『やっぱり、昔のはわざとか』 「ご..ごめんなさい」 『いいよ、それでお前が安心してたんなら。郁がうるさかったけどな。じゃあ、今度はもう迷子になるなよ』 そう言って琥太郎は通話を切った。 「ありがとうございます」と一樹に携帯を返す。 「よく迷子になってたのか?星月先生がさっきも言ってたけど」 一樹に指摘されてグッと詰まる。 「探してくれる人がいるのが嬉しかったんです。子供のとき、迷子になって必死に探してくれて... あ!でも、今回のはわざとじゃないですよ?!」 が慌てて言うと「わかってるよ。その年で迷子って相当恥ずかしいもんな」とからかわれては顔を真っ赤にした。 鳥居の前に行くと既に颯斗と翼が立っていた。 繋いでいた手を一樹が離す。迷子になって手を引かれたとか、恥ずかしいだろうから。 「さん!」 「書記その2!!」 颯斗と翼が駆け寄ってきた。 「全く、書記その2は迷子になるなんて子供だな!」 返す言葉が無い。 そして、子供に子供と言われてショックを受けているようだ。 「大丈夫でしたか?」 と颯斗に心配されては少しだけはにかみ、「ご心配をおかけしました」と頭を下げる。 「んじゃ、祭りの続きを楽しむぞ。花火もそろそろか?」 一樹に促されて翼のテンションが上がる。 「、どうする?」 そう言って一樹が手を差し出してきた。 「だ、大丈夫!もう迷子になりません!!」 が慌ててお断りした。 「ま、並んで歩きゃ気づくか」 そう言って笑い、一樹はの歩調に合わせて歩くことにした。 |
桜風
11.6.17
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