Kaleidoscope 29





夏休みも残り僅かとなったある日の午後、は実家の最寄り駅前にいた。

ちゃん!」

バスの時刻表を眺めながら待っていると声を掛けられて振り返り、「やっぱ、派手だよ」と呟く。

こんな田舎にこれだけの男子高校生がやってきたら当分噂の的だなぁ...

とはいえ、自分は普段此処にいないので噂は好きなだけしてもらえば良い。

「遠かったでしょ」

が言うと「疲れたー」と七海が伸びをする。


月子がの家に泊まってみたいと話をし、そのことについて姉に確認してみると「別に良いよ」といわれ、一応生徒会のメンバーも泊まるかもしれないって話もしてみた。

「...別に良いよ」

なぜか間が空いた。

しかし、許可が下りたので、その日の夕飯時に月子を見つけて返事をしたところ、一緒に食事を取っていた七海が「俺も行く!」と言い出したのだ。

まあ、翼が良くて七海がダメな理由が見当たらないので「別に良いと思うけど」と言うと東月も一緒に行くことになり、さらにはなぜか宮地まで加わった。

男性陣には『雑魚寝』ということを念押ししていたが、それでもやってきたのか...


「ほんとに良かったのか?」

ここまでやってきて一樹が呟く。

「まあ、保護者的に一樹会長がいてくだされば。少なくとも翼くんのブレーキをかけてもらえて非常に助かります」

何故ブレーキが要る者を家に泊める...

不思議に思いつつも、「まあ、それはそのつもりだけど」と翼のブレーキ役を買った。


バスに揺られて約1時間。

「ほんとに立地条件的に星月学園と変わらないんですね」と颯斗が感心する。

星月学園も街までバスで1時間程度かかるのだ。

「うん、不便でしょ」と笑いながらが言う。

しかし、これだけ田舎だと星が綺麗に見えるだろうと月子は期待していた。

「ねえ、何かお祭があるの?」

「うん、近くの神社でね。収穫祭にしては早いし、かといって豊穣を願うには遅いし。どういうことを目的として行われているかがさっぱりわかんないお祭りがあるよ。今晩行く?」

が言うと皆は行きたいと口々に言った。

の実家は日本家屋の様相で、その前に立った皆は声を漏らす。

「な、なあ。お前んち何坪?」

七海が問う。

「知らない」とが答えて門を開けて中に入る。

普段人が住んでいないのにもかかわらず結構整っている。

ちゃんのお父さんとお母さんは?」と月子が問う。

こんな大勢来ても大丈夫なのだろうか、と今更ではあるが心配になったのだ。

「いないよ」というに「そうなんだ」と頷き、皆も出張だとか家を留守にしているのだろうと納得したようだった。


家の中に入り、一通り説明をした。

「皆はここで雑魚寝してねー。布団は後で出すけど、人数分はないよ」

そして月子を2階の自室に案内する。

「お手洗いは2階を使ったらいいよ。下にもあるからそっちを使ってもらっても別に良いけど。つっこちゃんもわたしも体が大きくないからベッドに2人で大丈夫かと思ったんだけど、いい?」

が言うと月子は嬉しそうに頷いた。

「じゃ、降りようか」と言ったと共に1階に下りる。

1階に下りると「」と一樹に声を掛けられた。

月子は皆のいる居間に向かっている。

「はい?」

「ご両親に手を合わせさせてくれ」と言われては目を丸くする。

「星月先生から聞いてる」と言われてなるほどと納得し、「こっちです」と一樹を別室に案内した。


小ぢんまりとした部屋に仏壇がある。見上げるとの両親の遺影もあった。

「姉ちゃんも兄ちゃんも似てるなぁ」

苦笑して一樹が呟く。

「まあ、親ですから」

「お母さんと星月先生のお母さんが従妹だったっけ?」

「そうです。従妹だけど似てるって言われてたらしいです。星月先生のお母さんからそう聞きました」

「そうか」と言って一樹は仏壇の前に正座をした。

一樹の隣にが座ろうと膝を折ると不意に皆がいるはずの居間が賑やかになった。

「ろうそくの火は消してきてくださいね。お線香はそのまま火をつけた状態で大丈夫です」

そう言っては慌てて皆がいるはずの居間に向かった。

「翼のヤツ、早速やったか...?」

眉間に皺を寄せて呟いた一樹は、ともかくの両親に手を合わせることにした。









桜風
11.6.24


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