Kaleidoscope 35





夜になって、庭で花火を楽しむ。

昨日夏凛と晴秋が購入してきてたので、量は多い。

縁側に座って子供達のはしゃぐ姿を大人たちは眺めていた。

「あんなのが楽しいのよね、子供って」

コップに日本酒をなみなみとついで一口飲む。

「たぶん、あの輪に入ったら姉ちゃんも全力で楽しんでると思う」

苦笑して晴秋が言い、「だな」と琥太郎が言う。


「ねえ、琥太。あたしさ、結構本気なんだけど」

不意に夏凛が呟く。

「なにを?」

「この先、の彼氏を名乗り出る馬鹿が居ても、あたしを倒せないと交際は認める気が無いの」

野生のクマを倒せる男以外は認めないと言うのか...?!

「ああ、それならオレもだな。結婚したいとか言い出すやつがいたらオレを倒して言えって言うつもりなんだ」

「そうなると、は一生独身だぞ」

呆れたように琥太郎が言う。

「だって、何か。あの素直さ。心配じゃない?!」

「ああ。あんな素直でいい子に育ててくれた琥太や春姉、おじさんやおばさん。ちょっとだけ郁、ずいぶんと有李に感謝してるんだがな?

やっぱり、兄ちゃんは心配なんだ」

「...珍しく酔ってるな、2人とも」

呆れたように琥太郎が言う。

元々夏凛と晴秋は『ザル』とか『ウワバミ』とか言われている2人なので、酔ってる姿を見たことが無いのだが、口走っている内容を考えると酔っ払ってるに違いない。


ふと、縁側に座っている大人3人を見ると琥太郎が手招きをしている。

はそちらに向かってみた。

「どうしたの?」と首を傾げると「、お嫁に行っちゃいやだー」と夏凛に抱きしめられた。

「え?!わたし、お嫁に行っちゃうの??」

「行かない?」と上目遣いで夏凛が問う。

「う、うん...今のところ予定は無いけど?」

「だったら一安心。、あなたも飲む?」

「未成年に飲酒を勧めるなよ」と琥太郎は夏凛からを引きはがす。

「あと3年待てばだって酒が飲めるようになるんだから、待てよ。全く...」

ー、琥太がいじめる。慰めてー」

「いつも苛めてるの誰だ」

眉間に皺を寄せて琥太郎が言う。

「お姉ちゃん、夏の大三角形が見えるよ」

空を見上げてが言う。

「んー、どれ?」

「あそこの青白い星があるだろう」

突然晴秋が言葉を挟む。

「あんたにゃ聞いてない!、どれー?」

の指差す先の星を見つけた夏凛は「ああ、あれ。で、次は?」と促す。


縁側の彼らの様子を眺めながら「一樹会長はご存知だったんですか?」と颯斗が傍らの一樹に問う。

「何がだ?」

さんの..家庭の事情です」

ああ、それか。

「ま、あいつが生徒会に入った日に星月先生からある程度の話は聞いてたな。生徒側のフォローが要るときは頼むって」

「そうですか」

彼女はしっかりしていると思っていた。

ただ、そうならざるを得なかっただけなのだと今日何となく思った。

「晴秋さんが言ってたけど、今までどおりが一番だぞ」

一樹の言葉に「はい」と颯斗が頷く。

が空を指差している。

颯斗も空を見た。

「ああ、夏の大三角形...」

ポツリと呟いた颯斗につられるように一樹も空を見上げた。

「ははっ、学校と同じレベルの田舎。確かそうだな」

星空が綺麗に見える。星が多くて探すのがちょっと大変だが、星月学園に通っている自分達には見慣れた星空でほっと息をつける。

「2学期が始まったら文化祭の準備かー...」

「あっという間ですね」

「そういえば、教育実習生も来るんだったな」

星月学園は秋に教育実習生を受け入れている。

この学校は特別なカリキュラムなので教育実習も他より長く、3ヶ月という長丁場となる。

実習生は勿論、指導の先生は大変そうだ。

「2学期も賑やかになりそうですね」

クスクスと笑いながらいう颯斗に「だなー」と一樹は笑いながら返した。









桜風
11.7.15


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