Kaleidoscope 42





別室が空いているとのことなので、資材を運び出すことになった。

「そうだ、颯斗。お前クラスの当番とかあるか?」

荷物を運びながら一樹が言う。

「いいえ、僕とさんは生徒会の方に専念しても良いとクラスの皆が気を使ってくれたので。元々大掛かりなものでもないので人数は必要ありませんし」

颯斗の言葉に「そうか」と一樹は頷き、「悪いが、なるべくと一緒にいてくれ。お前がダメなときは俺が一緒に行動する」と言う。

「何かあったんですか?」

「あるかも知れん。あいつ..体育祭のときの覚えてるか?」

指摘されて少し考えた颯斗は「柔道部の?」と聞き返す。

頷く一樹に颯斗も頷いた。

「この間生徒会室を覗いてたんだ。と月子だけが部屋にいたときな。声をかけたら逃げた。用心しておくに越したことは無いだろう。月子はたぶん、クラスの方が忙しくてそっちから離れられないだろうが、はクラスがない分うろちょろ出来るからな」

「しつこいですね。一度晴秋さんにお話してもらったら諦めるでしょうけど」

「違いない」

クスクスと笑いあう。

意識してかしないでか、晴秋はのことになると迫力が割増となる。

だから、彼も晴秋と話をしたらきっと二の足を踏むだろうと思うのだ。



文化祭初日、は颯斗と共に月子のクラスに向かった。

コスプレ喫茶だからさぞかし楽しいことになっているのだろうとうきうきして行った。

ちゃん、颯斗くん来てくれたの?!」

「帰れ」

デジカメを持ったの姿を見た途端、琥太郎はそういった。

「あらヤダ。お客さんに対してそんなことを言ってもいいの?」

「じゃあ、写真は禁止だ」

「えー、いいじゃん。昔お兄ちゃんの制服着てみたことあるじゃん」

「アレは夏姉と姉さんが無理やり着せたんだろう!!」

相変わらず仲が良い。

「あ..青空?」

同じく接客をしていた天文科の担任が颯斗を見上げた。

「はい?」

「何か、機嫌悪いのか?」

「どうしてですか?」

ニコニコと笑っているがなんか寒い。

「つっこちゃん、どれがおススメ?」

席に案内されてが問う。

「あれ?なんで来てるの?生徒会って暇なんだね」

「こんな高校生がいたらとりあえず警察呼ばなきゃ」

声をかけてきた郁には笑顔でそう返す。

「何で?アキにぃだって190センチ近い身長でこれを着てたんだろう?」

「水嶋先生は、顔が胡散臭い」

の言葉に琥太郎は噴出した。

、それは言いすぎだ」

「笑いながら言っても説得力ないよ、琥太にぃ」

「ここではそう呼ぶなと何度も言ってるだろう」と琥太郎。しかし、郁はどこ吹く風だ。

月子のおススメを食した後、2年天文科を後にした。

「次何処に行こうか」

「見回りですよ?」

楽しむ気満々のに颯斗が苦笑してそう言う。

「見回るついでよ、ついで」とも笑った。


初日は見回りを行い、2日目は生徒会室で文化祭中に起こったトラブルの対処に追われたはそれなりに文化祭を楽しんだ。

「そういえば、晴秋さんたちは来なかったな」

「兄はともかく、姉は勤務地が遠いので。兄だけ遊びに来たら後日酷い目に遭うそうです」

本当に酷い目に遭わせそうなの姉の夏凛の高笑いが何故か頭に浮かぶ。

「さて、スターロードにでも行くか?」

「片付けるには早いですよ」

「ばーか、見に行くんだよ。あ、『見回り』とか言うなよ。純粋に楽しむんだ」

先回りしてそう釘を刺されたは「はーい」と笑い、一樹と共に生徒会室を後にした。

スターロードの入り口で颯斗と会い、3人でスターロードを歩く。

「翼は?」

「さっき教室を覗いてみたんですけど、いませんでした」

「生徒会室に置手紙をしてるし、大丈夫じゃないですか?」

が言うと「ま、そうだな」と一樹は頷く。

「けど、どうしてこの下を好きな人と歩いたら幸せになる、だったか?そんな伝説が作れたんだ?は知ってるか?」

「知ってますけど、聞いたら後悔するかもしれませんよ?」と言うに「いいから教えてくれ」と一樹が言う。

「最初、それで触れ込んでお客を獲得したらしいです。でっちあげの伝説ありきの企画です。それで、そんな気持ちで一緒にこの下を通れば遅かれ早かれ2人は付き合うなり何なりするもんだろって。
実際、そういうカップルが出てきて『スターロードのお陰』とか言うもんだからその噂のお陰で大盛況となったみたいです」

「聞くんじゃなかった...」

肩を落としてそう言う一樹に「だから、琥太にぃも言ってたでしょ?『ペテン』って。つっこちゃんには内緒ですよ?」が言うと「分かってるよ」と彼は頷いた。

「けど、何でさんは知ってるんですか?」

晴秋が可愛い妹の夢を壊すことが想像できない。

「その話を聞いた後に、『だから、もうっかり男と2人でスターロードを歩いてもその気になるなよ』って言われた」

ああ、なるほど...

一樹と颯斗は同時に納得した。そのために種明かしをしたのか...

こんなロマンもへったくれもない舞台裏を聞かされたら盛り上がるものも盛り上がらない。

「晴秋さん、こえぇ...」

呟く一樹に「そうですね」と颯斗も深く頷いた。









桜風
11.8.5


ブラウザバックでお戻りください