Kaleidoscope 43





文化祭が終わり、学校がいつもの落ち着きを取り戻し始めた。

「失礼します」とは保健室に入る。

「どうした?今日は大丈夫だぞ」と声をかけられて「琥太にぃ、はぴば」とは笑った。

「...ああ、すっかり忘れてたな」

「去年もすっかり忘れてたよね」

は笑う。

「もうこの年になるとなー...」

「お姉ちゃんは毎年喜ぶよ。お兄ちゃんにプレゼントを無心するくらい」

の言葉に琥太郎は苦笑する。

「夏姉は、ちょっと変わってるんだよ。女性が30代に突入したら大騒ぎするらしいぞ。姉さんも、まあ、変わってるからそういうのなかったけど」

琥太郎の言葉に「やっぱ、似たもの同士だね」とは納得した。

「で?プレゼントがもらえるのか?」

「うん、これ」

そう言って高級茶葉を差し出す。

「渋いな...」

「美味しいはずだよ?」

「味じゃなくて、好み。というか、夜久に淹れてもらったらこれも『マズイ茶』になるぞ?良いのか??」

「それを目にしたいってのもある」

そんなことを真顔で言うに琥太郎は噴出した。

「お前、夜久の親友だろう?その言い方はどうなんだ」

そう指摘されてはきょとんとした。

「え、えっと...」

急にもじもじし始めたに「どうした?気持ち悪いぞ」と琥太郎が言う。

「つっこちゃん、親友って思ってくれてるのかな??」

「はあ?!」と頓狂な声を上げて琥太郎は驚く。

あれだけ仲が良くて、何でそう思えない??

は親がいないことで苛められていることは多かったが、かといって友人がいなかったかといえばそうでもない。

公園で学校の友達と遊んでいる姿を見たことだってある。

「お前にとってはどうなんだ?」

「親友、だったらいいな...」

「何で途端に弱気なんだよ...時々のスイッチがわからないぞ」

肩を竦めて琥太郎が言う。の差し出した茶葉はありがたくもらうことにした。



翌日、神話科のクラスへ月子がやってきた。

「おはよう」と挨拶をするに「ちゃんは私の親友よ!」と高らかに宣言して抱きつき「じゃあね」と去っていった。

呆然と見送るに「どうしたんですか?」と颯斗が問う。

「えっと、うん...」

赤くなって俯くをクラスメイトは不思議そうに見守る。


「琥太にぃ、聞いて!」

「あー、良かったな。夜久に親友宣言されたのか。あー、良かった良かった」

内容を言う前に先回りされた挙句、適当に言われた。

「何で知ってるの?」

「学校中の噂だよ」と同じく保健室にいた郁が言う。

は思わず構えた。

「郁、相変わらず嫌われているな」

「子供に興味は無いって言ってるんだけどね。そういえば、ハロウィンはどうするの?も仮装するんでしょう?」

「えー、パスしたい...準備するのが面倒くさい」

心底面倒くさそうにが言う。

「じゃあ、ネコミミあげようか?」

「何でそんなものを持ってるかが甚だ疑問だけど、それだったら簡単そうだから貸して?」

が言うと「じゃあ、メイド服もね」と言う。

「郁。お前の趣味、変わったな...」

「おっさん臭い」

琥太郎とがそれぞれ言う。


ハロウィンの日、はネコミミにメイド服という出で立ちだった。

、お前思い切ったな...」

どちらかだけにしたら良いのに、と苦笑しながら一樹が言う。

「借り物です。これが終わったら返します」

「ん?ということは月子のか?」

「水嶋先生のです。変態さんになってるとは思いませんでした。水嶋先生が猫好きなのは知ってたんですけど...」

の言葉に「水嶋先輩が?!」と一樹も驚きを隠せない。

「けど、まあ...」

そう言ってをじっと見た。

悪くないよな、こういうのも...

「一樹会長、セクハラってご存知ですか?」

ニコッと微笑んで言う颯斗に「う、うん。知ってる」と一樹は頷く。

「寒くないですか?」とさりげなく自分の着ている上着をにかけて少しでも露出を減らそうと気遣う颯斗に、周囲の男子は心の中で舌打ちをしたのだった。









桜風
11.8.12


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