Kaleidoscope 48





修学旅行3日目に自由行動がある。

月子とは最初に生徒会のお土産を購入すると約束をしていたため、ホテルを出るところから一緒に街に出た。

「やっぱり、普段見ない街並みを見ると楽しくなっちゃうね」

が言うと月子も「うん!」と声を弾ませて頷く。

そんな2人の様子を微笑ましく眺めながら颯斗がその後ろを歩く。

「此処..ですね」

ホテルの職員に聞いたらしく、メモを手に颯斗がひとつのみやげ物屋を指差した。

何でも、この店にしかないものでしかも人気があるという菓子があるとか。

「どれにしようか」と月子が陳列してる菓子の箱を眺めていた。「そうですね」と颯斗も覗き込み、ふと振り返る。

が目を輝かせて何かを見ている。

ちゃーん」と月子が声を掛けると「ごめん」とが謝りながらやってくる。

店員がやってきて商品の説明をし、生徒会用の土産を買った。

「僕が持ちますよ」と言ってくれた颯斗の厚意に甘えることにする。

「ごめん、もう行くね!」

時計を見て慌てて月子が駆けていった。

「過密スケジュールだね」

が苦笑する。

「そうですね、ひとりで大丈夫でしたでしょうか...」

心配そうに言う颯斗だが他にも生徒がウロウロしているのでおそらく大丈夫だろう。


てくてく歩いて適当にみやげ物を見て回る。

「あ、これ可愛い」と言ってが手を伸ばしたのは携帯ストラップ。

色違いを3つ手に取った。

「夏凛さんと晴秋さんですか?」

「うん、3人で色違い」

そう言ってはレジに向かう。

颯斗は此処まできた道を眺める。

会計を済ませて戻ってきたに「ちょっと、待っててもらえますか?」と声をかけて店を後にした。

何だろう、とは首を傾げて言われたとおり大人しくこの店に留まることにした。

「あー、これ可愛いな...」

星型のキーホルダを見つけた。

一緒に修学旅行に行きたいと言っていた後輩の顔を思い出す。

色違いでいくつかある。

うーむ、とキーホルダの前から動けなくなった。

さん?」

「わ!あ、おかえり」

目を丸くして振り返ったが颯斗の姿にほっとする。

「キーホルダですか?」

「うん、翼くんが一緒に修学旅行行きたかったって言ってたし。色が揃ってるから色違いで生徒会皆でどうかなって思って...」

「そう..ですね」

おそらく、翼は寂しがっているだろう。

「では、お土産に買いましょうか。僕たちもお揃いだと良い思い出になりそうですし」

「うん、つっこちゃんもたぶん反対しないだろうし。そうだな、一樹会長は..このグレーとかどうかな?」

「落ち着いたいい色ですね」

「でしょ?翼君は..うーん」と悩んでいると「翼君はこのパープルはどうですか?」と颯斗が見繕う。

「あ、良い色!じゃあ、颯斗くんは...」

さんが選んでくれるんですか?」

颯斗が笑顔で問う。

「あ、自分で選びたい?」

「いいえ、どんなイメージなのか気になるので選んでください」

クスクスと笑いながら颯斗が言う。

「んー、じゃあ。これ」

「ピンク、ですか?」

「嫌い?」

「嫌い、ではありませんが...」

そんな可愛らしい色を選ばれるとは思わなかった。

「うん、優しい色。つっこちゃんは白」

「そうですね。僕もそんなイメージです。じゃあ、さんのは僕が選んで良いですか?」

颯斗が遠慮がちに言うとは笑顔で頷き「緊張するなー」と呟く。

「では、さんはこれですね。暖かい心のさんにぴったりです」

颯斗に最後の1個を選んでもらい、がレジに向かった。

会計を済ませて店の外で待っている颯斗の元へと向かう。

「次、何処行く?」

「ホテルの人に聞いた場所があるんですけど、どうですか?」

「じゃ、ついてく」

がそう言い、「では、行ってみましょうか」と店を後にした。



颯斗が連れてきてくれたのはコスモス畑だ。目の前に広がるピンクや白、赤などの色とりどりのコスモスは壮観である。

「まだ咲いてるんだ...」

「そうですね、ホテルの人ももう終わってるかもしれないけどって仰ってましたけど」

これは凄い。

「お兄ちゃんも知らないだろうなー」とが呟く。

さん」と呼ばれて見上げる。

「これ、良かったらどうぞ」と差し出された。

「なに?」

「さあ?」

「開けて良いの?」

「どうぞ」

促されては颯斗からもらった袋を開けてみる。

「あれ?なんで??」

驚いた表情で見上げるにニコリと微笑んだ颯斗は「先ほど、凄く気にされていたようなので」と答える。

星と月の飾りがついたヘアピンだ。

先ほど生徒会のお土産を購入した店に置いてあった。ハンドメイドと書いてあった。沢山ある中で、これが自分の目を引いた。

「颯斗くん、何でこれだって分かったの?」

「さあ?どうしてでしょうね」

笑みを湛えてそう言う颯斗には首を傾げた。

「もらっても良いの?」

「ええ、付けてあげますね」

そういわれて言葉に甘える。

「はい、できました」と言う颯斗に「どう?」とが感想を求める。

「可愛いですよ」と言われて「えへへ」と笑う。


暫く2人は並んでコスモスを眺めていたが、日が傾いてきた。

「そろそろ行きましょうか」

颯斗に促されては立ち上がる。

「そだね。集合時間に遅れたら大変だ」とが言い、ホテルに向かった。


「あれ、。それどうしたの?今朝はそんなのしてなかったよね?」

そう言いながらのヘアピンを指差す。

「さすが女タラシ。目ざといよね」

がそう返すと郁が不愉快そうにする。

「何で僕が女タラシになるんだよ。向こうが言い寄ってくるの。来るもの拒まず、去るもの追わずなだけ。で、そのヘアピンってどうしたの?」

「颯斗くんにもらったの。可愛いでしょ?」

ニコニコと笑ってが言う。

郁は「ふーん」と面白くなさそうに呟き特に感想も言わずに去っていった。

「何だったの...」

呟いたは首を傾げた。



学校に帰った頃には既に下校時刻も過ぎているのでそのまま寮へ直行となる。

翌日の放課後、生徒会室でお土産を翼に渡した。

「わーい、ぬいぬい。お土産をもらったのだ」

「よかったなー、翼。修学旅行はどうだった?」

一樹に聞かれて月子が楽しげに話を始める。

はそこから席を外して保健室に向かった。

「星月先生、いますかー?」

「ああ、どうした?」

ベッドもカーテンを引かれていないので、今保健室には琥太郎以外誰もいないのだろう。

「春姉ちゃんとおじさんたちにお土産買った?」

「ああ、買った。郁から聞いてる。金は良いよ、姉さんたちにはと俺と郁からって渡しておく。今度会ったら土産話をしてあげれば喜ぶだろうから、それにしなさい」

琥太郎にそう言われて「いいの?」とが確認すると「いいよ」と言われた。

此処は素直に引き下がろう。

「ありがとう」

の言葉に琥太郎は頷き、は保健室を後にした。









桜風
11.8.26


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