Kaleidoscope 54





12月に入ってすぐに雪が降り始めた。

元々この学園は山の上にあるため、雪は降りやすい場所にあると思う。

寒くなると傷が疼くとか噂で聞いたことがあるが、まさにそれではちょっと困っていた。

さん?」

手首を押さえているを見て颯斗が声をかけてきた。

「大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫」

笑顔でが答える。

「ムリしないでくださいね。辛かったら保健室に行きましょう」

これは保健室に行ってもどうなるものではないと思うのでやっぱり「大丈夫」と返す。

その言葉に颯斗の表情は曇る。

「あ、そういえば」

「はい?」

話を変える。あんまり内容的には変わっていないが。

「明後日、わたし街の病院に行く日だから生徒会の仕事が出来ないの」

「病院?手の?」

「うん、経過観察。病院が遠いのは不便だよね」

肩を竦めて言うに「星月先生が付き添いですか?」と颯斗が問う。

「うん、そうだよ。お仕事お仕事」

笑って言うに「わかりました」と颯斗が頷く。


「お疲れ様です」

颯斗に続いても生徒会室に入る。

既に他のメンバーが揃っていた。

いつもどおり仕事を淡々とこなしていく。

この12月は忙しい。

学期末と言うことで各部活からの報告が上がってくるし、イベントも目白押しだ。

だから、本当はこの時期に1日でも穴が開くのは他のメンバーに申し訳ないと思う。

つくづく、自分は下手だなとはこっそり落ち込んだ。

「ところで...」顔を上げてが言う。

「どうかしました?」

「一樹会長と翼君が消えてます」

「え?!」

月子も驚きの声を上げた。

「本当だ...どうりで静かだと思いました」

「...そっか。この方が捗るならこれでも良いか」

うんうんと話を振ったは頷く。

颯斗と月子は顔を見合わせて笑った。

「あ、そういえば。ちゃん」

「ん?」

「あとで部屋に行って良い?」

月子の言葉には不思議そうな表情を浮かべて頷く。

「課題でちょっと躓いているところがあるの」

「わたしに分かるかな?」

「ほら、時刻と星の角度からあの座標を出す..」

夏に計算を披露したあの話か。

「あ、それなら大丈夫だ。お兄ちゃんにしっかり教えてもらってるから。いいよ」

「ありがとう」

「どうしたしまして」と微笑んで頷くとクスクスと笑い声が聞こえた。

「なに、颯斗くん」

「いいえ。本当に2人は仲が良いなと思って。羨ましいです」

と月子は顔を見合わせてクスリと笑う。

「いいでしょ」とが言う。

と、それと同時にドカンと聞きなれた爆発音が耳に届く。

「あー...」

音がした方をが見る。

「仕事が捗るはずだったんですけどね...」

肩を落として颯斗が呟いた。片付けは必至だ。手伝わなくてはならない。

颯斗が立ち上がる。

「探しに良くの?」

「待ってると時間がもったいないです。どの道、もう仕事に集中できませんから」

そう言って颯斗が生徒会室を後にした。

「じゃあ、わたしたちは颯斗くんの分までこっちを頑張ろうね」

が言うと「そうだね」と月子が苦笑して頷いた。









桜風
11.9.16


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