Kaleidoscope 55





その日も朝から雪が降っていた。

「おはよう」

寮から出たところで月子に会った。

「おはよう」と彼女も挨拶を返す。

「おはようございます」と声をかけられて振り返ると颯斗だ。

と月子は口々に挨拶を返す。

「寒いねー」

吐く息が白く、空からの雪がとめどない。

「そういえば、さんは今日の放課後は病院に行くんでしたよね」

「うん、ごめんね。凄く忙しいときに」

申し訳なさそうにする

「大丈夫。ちゃん、いっつもたくさん仕事してくれてるもの。書類の整理が早いから助かっちゃってる」

「そうですよ。何かしらを爆発させて片付けと言う仕事を増やす誰かさんと違って、いつもしっかり働いてくださっていますから」

颯斗がちょっと黒い笑みでそういった。

と月子は顔を見合わせてクスクスと笑う。

「ぬははは〜!」

誰かさんの笑い声が聞こえた。

たちは顔を見合わせる。その楽しげな笑い声がするほうへと寄り道をすることにした。


「おい、翼。あんまりはしゃいでんなよ。こけるぞ」

「仕方ないな」といった表情の一樹が笑い声の主である翼に声をかけている。

「お父さんがいる」

が呟くと颯斗が小さく噴出す。

「おはようございます」と月子が挨拶をした。

「おう、お前らも来たのか。おはよう」

「わーい、そらそら、書記。書記その2。雪だぞー」

そういった翼がつるんと滑ってこけた。

「おい、大丈夫か翼」

「大丈夫ですか、翼君」

一樹と颯斗が駆け寄る。

「大丈夫?」と月子が覗き込み、「顔拭いて」とがタオルハンカチを差し出した。

「ぬははは〜、楽しいのだ」

それは良かった、とは心の中で頷く。

「翼くん、ジャージ持ってる?あんまり遊んでたら制服も濡れて風邪引いちゃうよ」

が言うと「大丈夫」と翼が言う。

「そうだ!雪合戦」

「はあ?」

一樹が声を上げた。

「雪合戦がしたい!俺、あったかいところに住んでたから雪が珍しいんだ」

そういえば、出身地とか聞いたことないなとは今更思う。

まあ、そうは言っても、彼は天真爛漫に見えて本心を見せないからおそらく彼のことはあまり分かっていないんだろうな...

「良いだろう、ぬいぬい」

「良いだろう、って...」

「翼君。今、生徒会の仕事は山積みです」

「やーりーたーいー」

大きな体でじたばたと小さい子みたいにわがままを言う。

「では、今日の仕事のノルマを終わらせたら、ということで」

「やったー!書記、書記その2。楽しみだな」

そうやって笑顔を見せる。

「うん」と月子は頷いたが「わたしは残念だけどパス」とが言う。

「ああ、そうか。その手だと無茶は出来ないよな」と一樹が納得したが「今日は街の病院に行く日なんです」とが答え、「ああ、そういえば。そんなことこの間言ってたな」と一樹がポンと手を叩いた。

「え、書記その2は今日は生徒会室に来ないのか?」

「昼休憩にちょっと仕事済ませて置こうとは思うけど。一緒にする?」

が言うと「ううん、それは遠慮する」ときっぱりと断られた。

その翼の表情が可笑しくては笑う。

「ぬ?何だ、書記その2??」

誰かが笑うと他の人も何だか可笑しくなる。

クスクスと月子が笑い、その笑いがまた伝染していつの間にか皆で笑っていた。

最初きょとんとしていた翼も笑いだし、その場が笑い声に包まれた。









桜風
11.9.23


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