Kaleidoscope 56





「今日ね、生徒会で雪合戦が行われたはずなんだよ」

街の病院に行った帰りのバスで琥太郎に言う。

「ん?雪合戦?」

うとうととしていた琥太郎が問い返す。

「うん、翼くんが言い出したんだけど。翼くんって暖かい地方出身だって。雪が珍しいって」

の言葉に「ああ、なるほど。確かにそうだろうな」と琥太郎が頷いた。

「琥太にぃは、翼くんの出身地まで知ってるの?」

も会ったことあるはずだ。4年..くらい前までウチの宇宙科の教師をしていた『天羽英空』って人、覚えていないか?家に何回か遊びにいらしたこともあるはずなんだが...」

言われては眉間に皺を寄せて唸る。

「...湯たんぽ?」

「そう、その人だ」

苦笑して琥太郎が頷いた。

に自分が発明した湯たんぽをくれたことがある。ただし、は寝ている間は自分が発熱をするので使ったことはない。

結局それは睡眠大好きな琥太郎が引き取った。

「あ、翼くんってその人と親戚関係?」

「英空さんは天羽のお祖父さんだそうだ」

頷きながら琥太郎が言い「そうなんだ」とは幼い頃の記憶を辿ってみるが、ムリだった。

思い出したのは湯たんぽのネーミングに引っかかったことくらいだけだ。

具体的にどんな名前だったかは思い出せない。


「生徒会は今忙しいだろう。無茶はするなよ」

手首を指差して琥太郎が釘を指す。

「はーい」とは間延びした返事をした。

「不知火にもちゃんと釘を刺しておこう」
態々そうやって口に出す。

一樹の目が光っているとやっぱり無茶をさせてくれないのでは肩を竦めた。

「積極的に無茶はしないよ」

「消極的にもダメだ」

しかし、今日の診察では思った以上に治りが早いと言われた。

「大人しくしてるから治りが早いんだからな」

の考えを読んだように琥太郎が言い、彼女は肩を竦めた。



生徒会室に寄ろうかと思ったが、既に下校時刻を過ぎていたのでは大人しく寮に帰ろうとした。



名前を呼ばれて振り返ると一樹だった。

「あれ?遅くまで...」

「雪合戦したからな。その後から始めたからこの時間になったんだよ」

苦笑して返す。

「真面目に仕事したら、雪合戦じゃなかったですか?」

が言うと「翼のヤツが雪合戦をしたいと言って聞かなかったんだよ」と一樹が言う。

「で、一樹会長もそれに乗っかった、と?颯斗くんが『仕方ないですね』と溜息混じりに言ったんですね?」

の言葉に「お前、エスパーか?」と一樹が笑う。

「皆は?」

「あいつらを帰した後に戻ってみた」

「一樹会長は、本当に分かりにくい人です」

が言うと「いいんだよ」と照れくさそうに笑う。

「で、お前の方はどうだった?」

「順調だそうです。予定よりも早く治りそうだって言われました。ただ、その前提条件として『安静にすること』があるみたいですけど」

「大掃除は良いが、クリスマスには間に合うと良いな」

「クリスマスの方が準備大変ですもんね」

が言うと「ばーか」と言われた。

「大掃除は、生徒会は見回りだけだけどクリスマスは生徒会も楽しめるイベントだろう?」

「でした」とは笑った。









桜風
11.9.23


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