Kaleidoscope 59





数年前からの恒例、大掃除大会。

翼が発明した『ゴリラーマン』というお掃除お助けマシーンが例の如く暴走した。

その収集に追われ、その後の結果ではやはり昨年度同じクラス、つまり2年天文科が優勝した。

東月が仕切り、七海が張り切り、そして、極め付けがお祭り男である担任の陽日。

最も盛り上がったクラスが優勝した。つまりはそういうことだった。


昨年、優勝を経験している2年天文科は慣れた手つきで餅をつき、そして食堂のおばちゃんが作ってくれた汁粉にその餅を入れて皆の疲れを癒す。

「くひひ、女神ちゃん」

声をかけられて振り返ると白銀が立っていた。

「あっちの方が取材のし甲斐があるんじゃないですか?盛り上がっていますよ?」

が指差す。

優勝クラスが皆でお汁粉を食べている。食べる餅の数を競っているようだ。

「んー、せっかくこの学園の花が2つ並ぶ画が撮れると思ったんだけどね」

肩を竦めて言う白銀に「すみません」とは小さく頭を下げる。

「ううん、いいの。さっきの、ゴリラーマンも楽しかったし」

「そうですね。白銀先輩、お汁粉を食べないんですか?」

「食べる、食べるよー。でも、女神ちゃんがちょっと寂しそうにしてたから思わず声をかけちゃったの」

「それは..失礼しました」

おどけたように言うに白銀は少し困ったように笑う。

「おーい、書記その2!お餅、全部食べるぞー」

「なくなっちゃうみたいですよ」

が白銀を見上げて言うと

「それは大変!エジソン君、そりゃないよー」

と白銀が駆けて行く。



今年の年末年始はどう過ごそうか...


ここ最近のの悩みである。

星月の家に置いてもらっても良いのだろうが、今年は三が日に本家に行かなくてはならないと琥太郎から聞いた。

その間、一人で留守番となるそうだ。

別にそれでも良いが、やっぱり人の家に一人と言うのはちょっと気になる。

数時間ではなく、数日だ。

姉が足を伸ばす気があるなら勤務地の方に来ても良いと言ってくれた。どの道、姉には進路相談する必要がある。

春休みに会えればいいのだが...姉の勤務地を考えると冬に行くのはちょっと面倒そうだし、それを考えると春休みに約束をして、来てもらうなりしたほうが良さそうだ。

ちゃん、零れるよ」

声をかけられてハッとした。

考え事をしていたら椀が傾いていたらしい。

「ごめん、ありがとう」

「大丈夫?手首が痛いの?」

「そうなのか?星月先生のところ、行くか?」

月子が心配していうと一樹もの顔を覗きこんでくる。

「あ、あそこに星月先生がいらっしゃいます。僕、呼んで来ます」

颯斗がそう言って立ち上がろうとしたが、「違う違う」とが止めた。

「痛くないのか?大丈夫なのか??」

翼も心配そうに声をかけてくる。

「大丈夫よ。ごめん、ちょっと考え事」

「何だよ、ビックリさせるなよ。さっきの翼の発明の暴走に巻き込まれたからまたどっか痛めたのかと思っただろう?」

「ぬ!ぬいぬい、その言い方は酷いのだ!」

ムキになって翼が言うと「ありうるだろうが」と一樹がからかう。

賑やかな周囲にほっと息を吐き、空を見上げた。

瞬く星、いつもの空。

何だろう、変なセンチメンタルだ...

ちゃん、零れるよ」

先ほどと同じように言われた。

「ごめん、ありがとう」

また同じ言葉を繰り返す。

とりあえず、お汁粉をなくしてしまおう。

お椀の中身を綺麗に食して心置きなく空を見上げる。

「雪が、降りそうですね」

隣に座る颯斗が言う。

「そうだね、随分と冷えてきたもんね」

が呟いたと同時に、空から白い雪が舞い降りてきた。


翌日、生徒会室の中からなにやら聞き覚えのある声が聞こえてきた。

生徒会室の前で思わず足を止めて颯斗と顔を見合わせ、同じくここに来る途中に会って一緒に来た月子と一樹にも視線を向ける。

「聞き覚え、ありますね」

が言う。

「ああ、本当に...けど」

けれど、それは昨日お別れしたはずだ。

「開けるぞ」

「どうぞ」

一樹がドアを開けるとそこには昨日よりも大きくなったゴリラーマンがいた。

昨日、ゴリラーマンは資材置き場で月子を助けて壊れたと言うのに。

「直る壊れ方だったんだ?」

が呟く。

隣では、一樹がわなわなと震えていた。

は咄嗟に耳を塞ぐ。

その直後、一樹の怒声が生徒会室に響き渡った。









桜風
11.10.7


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