Kaleidoscope 60





クリスマスイブにはクリスマスパーティがある。

大きなもみの木を飾ってクリスマスツリーを作り、ご馳走を食べる。

昨年は発注ミスで大きなもみの木ではなく大きな松の木が届き、それに飾りつけを行った。

発注ミスだが、一樹は飽くまで『和風に拘った』と主張している。

「去年のツリーも良かったよな?」

一樹に同意を求められ、「ある意味、オンリーワンでしたよね」とは苦笑する。

このクリスマスパーティの準備は各委員会に手伝ってもらう。

結構大掛かりなものだから人数が必要なのだ。

一度各委員に集まってもらい、準備進行について説明会を開いた。

てきぱきと説明を行う颯斗はさすがだな、とは納得する。

何より翼の発言をスルーするタイミングが素晴らしい。


「なあなあ、ぬくいぬくいマシーン貫井さん1号の出番必要だよな」

翼に訴えられてはちょっと困る。

貫井さんとは、彼が発明した暖房器具なのだ。爆発しない保証はまだない。

「...まだ、貫井さんの出番じゃないよ。だってほら、日本で一番寒いのは2月って言うし」

問題を先送りにしてみた。

「なるほど!良い事言うな。じゃあ、貫井さんをそれまでにバージョンアップしておくのだ!」

そう言って翼は貫井さんを持って帰った。

「おい、。それをなんと言うか知ってるか?」

「問題の先送りですか?」

「その通りだ。2月には絶対にバージョンアップした貫井さんが出てくるぞ?!」

一樹に訴えられ、は天井を見上げて、「会長、お世話になります」と言ってみた。

「何をお世話するんだ、何を!!」

盛大なツッコミを受けたが「あ、颯斗くんが呼んでるので」とその場からすたこら逃げた。




会場設営は結構順調だった。

ツリーが大きいのでそこで時間は掛かりそうだが、メインだし人数も少しずつ増えているので間に合うはずだ。

飾り付けをしていると「ちゃーん!」と少し離れたところから月子が呼ぶ。

先生方が炊き出しをしてくれていて、それを食べようと言うことらしい。

「はーい」と返事をしてそちらに足を向けようとしたところで、ツリーの傍でふざけている生徒達が目に留まった。

周囲は遠巻きに彼らを見ており、注意をしてもおそらく中々言うことを聞かないだろうと噂していた。

「すみません、危ないのでここで騒ぐのはやめてください」

が声をかけるが耳に届いていないのか先ほどと駆らないレベルの騒ぎっぷりだ。

「あの、」とさらに声をかけようとしたところで一人がツリーに強くぶつかる。

ぐらりとツリーが傾いた。

呆然とそのツリーを見上げただったが、そのツリーが倒れてくる寸前に「!」と腕を引っ張られた。

「大丈夫か」

見上げると琥太郎が青い顔をしている。

「あ、はい。ありがとうございます」

もう少しでツリーの下敷きになるところだった。

ちゃん!」

「大丈夫ですか、さん」

月子と颯斗が駆けてきて一樹はの注意を聞かなかった生徒の元へと足を向ける。

イベントは楽しむためにある。だが、誰かを怪我をさせるのは許さない、それが自分自身であっても。

そんな風に一樹が言う。

、大丈夫だな」

「はい。大丈夫です」

本番まで時間がない。だが、ツリーは倒れたから飾りつけも取れたし、電飾の配線もどうなったか確認が必要になる。

「あの、手伝わせてください」

ツリーを倒した生徒が申し出たが一樹は断った。

「こんなもん、俺達生徒会にかかれば元通りだ」

そう言って後ろに控えていた生徒会の仲間を見る。

全くの元通りにはならないだろう。だが、クリスマスツリーとしてパーティを盛り上げられる程度には修復できるはずだ。

「星月先生」

が傍にいた琥太郎に声をかける。

「ああ、許可しよう」

この後、残って作業することを許可して欲しいと申し出ようとしたが、先回りして許可された。

「さすが」と呟くと「無茶するなよ」と釘を刺された。









桜風
11.10.7


ブラウザバックでお戻りください