Kaleidoscope 61





一樹の指示で生徒会は夜通し作業を行った。

と月子は散らばったツリーの飾りを回収し、使えるものを使って飾る役を指示された。

ちゃん、本当に怪我はない?」

「琥太にぃのお陰で」

が頷く。

「心臓が止まるかと思った」

「咄嗟に動けなかった。倒れてきてて危ないのは分かってるのに」

正直、自分が今ここで飾りつけをしていることが不思議でたまらない。


徹夜で作業を行うと何とかなりそうなところまで修復できた。

「疲れたー」

壁に凭れて翼がぺたりと座る。

「琥太にぃが毛布置いていってくれたみたい」

入り口においてあった毛布に「仮眠を取るなら掛けること」とメモが置いてあった。その字は保健係なら見慣れた琥太郎の字だった。

「ちょっと休憩するか。このままだと作業は捗らないだろうし」

一樹が言う。

「翼くん、もう寝てますしね」

そう言いながらが毛布をかけてやる。

翼の隣に座った月子もうとうとしている。

「ほら、も」

そう言って一樹が自分の右側をぽんぽんと叩く。

「おじゃましまーす」

そう言ってぺたんと座った。

座った途端睡魔が手を振りながらやって来る。

の右隣には颯斗が座る。

「ふふっ」とが笑う。

「どうした?」

不思議そうに一樹が問う。

「一樹会長と、颯斗くん。あったかいと思うよ」

「はあ?」

一樹が聞き返したがは寝息を立て始めた。

「颯斗?」

知っているかと問うと

さん、眠ると体温が凄く上がるみたいなんです」

と修学旅行のときに琥太郎から聞いた話をした。

「本当か?..って本当だ。凄いな。がいたら貫井さん、要らないぞ」

「そうですね。でも、これは体に負担がかからないのでしょうか」

心配そうに颯斗が言う。

「あー、そうか。普通は負荷がかかってるはずだよな」

しかし、拙いようだったら琥太郎が何とかしようとするだろう。それをしないと言うことは『体質』でひとまず片付けて良いと言うことだ。

しかし...

「あったかいなー」

そう言いながらを抱きしめる。

「会長!」と颯斗にたしなめられるが、この暖かさのお陰で眠気が一気に高まった。

さんが起きたらどうするんですか」

「そんときゃ、俺が責任を持って寝かしつけるさ」

そう言いながら一樹も寝息を立て始める。

「まったく...」と呆れていた颯斗もいつの間にか眠りの淵へと落ちていた。



が目を覚ますと左隣の人に抱きしめられている。

「郁ちゃんみたい...」

肩を竦める。

「ん...」と隣で声がした。

首を巡らせてみると今、目を覚ましたらしい颯斗と目が合う。

「おはよう、颯斗くん」

「おはようございます。さん、早いですね」

「寝苦しかったから、かな?」

おどけて言う。

「ああ、会長。全く、さん、振りほどいて良いんですよ」

颯斗に言われたが「そろそろ平熱に戻ってるだろうし、会長も起きる頃でしょう」と言って苦笑を返すだけだった。

「あの、僕の寝顔見ました?」

「残念ながら、会長のほうに体を固定されているからそっちを見るのは難しかったのよ。颯斗くんの寝顔、見損なっちゃった」

「では、会長にほんのちょっとだけ感謝しなくては」

クスリと笑って颯斗が返す。

「ん...?」

すぐ傍で人の声が聞こえて一樹がゆっくりと瞼を開けた。

「おはようございます、一樹会長」

の声が物凄く近くで聞こえた。

「おー、おはよう。あれ、もう暖かくない」

「わたし、起きてますから」

が言うと「そっかー」とを抱きしめていた手を緩める。

やっと束縛が外れては大きく伸びをした。

やがて月子と翼も目を覚ます。

「何とかなりそうですね」

「ま、ギリギリかもだけどな」

「ギリギリでも間に合えば結果オーライでしょう」

が言う。

「そうですね」と颯斗も請け負った。

ガヤガヤと外から人の気配が近付いてきた。

皆は顔を見合わせた。

ガラッとドアが開き、多くの生徒が入ってくる。自分達にも手伝わせて欲しいと言うのだ。

「生徒会は、もうちょっと休んでてください」

そういわれた。

、月子は生徒会室で仮眠を取れ。ちゃんと鍵をかけろよ」

一樹に指示されてたちは会場を後にする。

薄っすら白んだ空が眩しかった。









桜風
11.10.14


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