Kaleidoscope 62





クリスマスは大成功を収めた。

生徒会、というか一樹と翼が企画した花火も夜空に上がり、とても幻想的な夜だった。


クリスマスの片づけが終わると、年末だ。

「そういや、。お前帰らなきゃならないのか?」

「んー、今年は実家の方は帰るなと姉に言われていますし。星月の方もちょっと年始がゴタゴタするらしいのでいっそのことここで新年を迎えようかと思っていたところです」

の言葉に一樹は深く頷き、幼馴染と帰ろうと考えていた月子には悪いがそれをキャンセルして欲しいと言う。

「年末年始、寮に残る生徒がいる。しかし、どうしても宿直が難しいらしい。そこで、大晦日から、三が日まで生徒会が先生方の代わりに宿直を引き受けることにした。いいな」

これまた突然で強引。

は全く困らないが、月子は大丈夫なのだろうかと彼女を見ると「はい」と頷いている。

まあ、三が日が終わったら地元に帰れるのだから良いのだろう...か?



保健室に行くと琥太郎が珍しく片付けをしていた。

「わー、ドカ雪が来る」

「じゃあ、に任せよう」

「たまにはドカ雪が来ても良いよ」

そう言って簡易キッチンに向かう。

「コーヒーを淹れてもいいですか?」

「俺も飲む」

「はーい」と返事をして薬缶を火にかける。

「今回の年末年始、わたしずっとこっちに残ることにしたから」

「夏姉たちには連絡したか?」

手を止めて琥太郎が言う。

「うん。実家には絶対に帰るなって言われた」

苦笑して言う。

夏のあのことがあるし、気になるのだろう。

「そうか。でも、ウチも三が日過ぎれば構わないんだぞ?」

「いいよ、ついで。期間が短いし。特に会いたい友達がいるわけでもないから」

そう言って笑う。


「今回の、一樹会長が無理やり?」

の言う『今回の』が宿直のことだと気付いた琥太郎は苦笑した。

「無理やりではないが、結構強引だったな。まあ、助かることは助かるし、あいつなら任せられると思ったからな」
そう言っての淹れたコーヒーを飲んだ。

「無理はするなよ」

ぽつりと言われる。

「最近そればっかり言われてる」

が指摘すると「言わざるを得ない場面が目白押しだったからな」と返されてぐうと唸った。



大晦日に琥太郎を見送り、は鍋の準備をする。

買出しは月子と颯斗が行ってくれた。

しっかり者の2人なので安心だ。

「おい、。お前、闇鍋食べたこと、あるか?」

寮に残っている生徒もそれなりにいるようだ。しかし、食堂には大きな鍋がいくつかある。

鍋を洗っていると一樹にそう声をかけられた。

「いえ、ないですよ」

「よーし、じゃあ今晩が初体験だ」

「はあ?ご飯は美味しく食べたいですよ。それに、今月子ちゃんたちが買いに行ってるじゃないですか」

が訴えると「あれは光鍋だ」と返されて唖然とした。

「な..『光鍋』?闇鍋の反対って意味で??」

聞き返すと「おう、鋭いな。と、言うわけで。も食材持って来い」と指示される。

食材...?

「食べられるものだぞ、良いな?サボテンはアウトだからなー!」

寮に戻る背中にそんな声をかけられた。

本日の鍋は鶏がらベースだったはず。

だったら...

は自分の部屋にある『食材』を並べ「こりゃだめだ」と呟き、適当に持ち出した。

食堂に戻ると丁度月子たちも戻ってきたようだ。

「お帰り」

「ただいま。ねえ、今一樹会長から聞いたんだけど」

「わたしもさっき聞いたばかり。闇鍋でしょう?」

「うん、ちゃんは何にしたの?」

「飴」

「...え?」

「それくらいしかなかったのよ。基本的にお菓子とか食べないし。鶏がらに合いそうなの持ってなくて、仕方ないからレモン味の星型の飴」

「それ、もらい物でしょう?」

「ご明察」

クスクスと笑ってが頷いた。









桜風
11.10.14


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