Kaleidoscope 63





さん、食べていますか?」

声をかけられて顔を上げる。

「うん、美味しいよ」

にこりと笑う。

屋上には何と、こたつがあった。

先生方の私物を無断で拝借したらしい。こたつには『陽日』と名前が書いてある。

しかし、琥太郎のこたつだけは固定してあり、運び出せなかったと白銀が言っていた。


光鍋を食し、続いてある意味メインイベントの闇鍋。

一度箸をつけたものは戻してはならないというルールに則って皆、鍋から食材を出すたびに青くなる。

、ほら。お前の番だ」

一樹に促されては迷いなく箸を鍋に突っ込み、取り出す。

「お前、少しは躊躇えよ」

呆れて一樹が言うが、躊躇ってもどうせ美味しくいただくことが出来ないならさっさと済ませてしまったほうが良いのだ。

「なに、これ...」

原型がさっぱり分からない。

「た、食べるの?」

月子が問う。

彼女は裏技発動で生徒会メンバーに食べてもらった。

「まあ、死ぬわけじゃないし。倒れたら保健係さん、あとよろしく」

そう言ってぱくりと食べる。

「あ、普通」

「何?!」

ざわりと周囲がざわつく。

まだ他の味が染みていなかったのが良かったのだろう。

「何食べたんだ?」

翼に聞かれる。

「たぶん..おせんべいじゃないかな。お米から出来ているから鶏がらスープには何とか合ったのかも。ちょっと変な味だけど」

首を傾げて言う。

「当たりもあるのか...」

しかし、その後『当たり』を手にした者はいなかった。


口直しの年越しそばを食べ、皆で新年の挨拶を済ませて解散となった。



風呂を済ませて部屋に戻るが、男性陣はまだ戻ってきていない。

今日は生徒会全員で宿直室に泊まりこみと言うことになっている。宿直を引き受けたのだから確かにそうなるだろう。

携帯がチカチカと光っている。

おそらく風呂に入っている間にでも着信があったのだろう。

「ごめん、ちょっと...」

月子に声をかけては廊下に出た。

着信は姉と兄と琥太郎からだった。

それぞれが新年の挨拶を留守電に入れてくれている。

電話を返すには時間的に躊躇われたのでメールを送った。

部屋に戻ると月子は眠ってしまっているようだった。

さすがに自分まで寝てしまうのは拙いだろうと思い、お茶を淹れて飲むことにした。


「ったく、翼。お前のせいでこんな..って」

部屋に戻ってきた一樹が苦笑した。

布団を敷いている部屋では月子が寝ており、は起きていようという努力はしたようだ。

机の上に先ほど淹れたばかりと思われるお茶が置いてある。

彼女は肘をついてこくりこくりと舟を漕いでいる。

「書記がもう寝てる。俺も寝るぞ!」

そう言って月子の隣に翼がゴロリと寝転びすぐに寝付く。

「もう、翼君...」

そう言いながら颯斗は翼に布団をかけて、眠っている月子も布団をかける。

「颯斗、も布団に運ぶからちょっと布団をめくっておいてくれ」

「はい」

をひょいと持ち上げて運んで寝かす。

「...しかし、月子と言いと言い。無防備にもほどがあるだろう」

「若しくは、僕たちが男として見られていない、ということでしょうね」

困ったように颯斗が指摘する。

「だな」と溜息をつきながらガシガシと頭を掻いた一樹はやがて苦笑した。









桜風
11.10.21


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