| 翌日、が目を覚ますと皆はまだ寝ていた。 そろりと布団から出る。 昨晩送ったメールの返事を確認すると、姉と兄のは今朝早くに受信していた。 琥太郎は、あるとしたら昼過ぎにでもあるのだろう。 ごぞり、と誰かが起きる気配がして顔を向けると颯斗だった。 「おはようございます」 「おはよ」 彼も静かに布団から出てきた。 「お茶、飲む?」 「はい」 心持ち小声で会話をする。 がお茶を淹れていると彼女の携帯のランプが点滅し始める。 「さん、携帯」 「ん?あ、お姉ちゃんだ」 「出なくて良いんですか?」 「うん、あとで電話するつもりだし」 そう言ってお茶を淹れ終わり、「ちょっとごめんね」と廊下に出て行った。 の淹れてくれたお茶を飲む。 丁度飲みやすい温度で、とても気遣いが伝わる。 暫くして月子が起きてきた。 が戻ってきて3人で話をしていると起床時刻となる。 「起きるかな?」 「寝起き、悪そうだもんね...」 と月子が困った表情をしていると「僕が起こしましょう」と颯斗が立ち上がった。 食堂に行くと、食堂のおばちゃん特製の御節が用意してあった。 翼が月子の皿に伊達巻タワーを作り、颯斗に叱られる。 「、昨日からあんまり食ってないだろう?」 驚いて顔をあげると心配そうな表情をした一樹がいた。 「あ、いえ。普通に食べてますよ?」 「しし座定食を普通に食ってるやつの食欲じゃない。どこか調子が悪いのか?」 「休みの日はこんなもんです」 が言うと「そうか?調子が悪かったらちゃんと言えよ」と引き下がってくれた。 正直、たくさんの人と鍋を囲むとかそういうのが苦手なのだ。距離感が掴めない。 御節にしたって、大勢が同じ重箱をつついているのだから鍋と同じようなものであまり得意ではないのだ。 「ところで、お前ら」 食事が終わり、この後の行動についてどうしようかと話していると一樹が徐にこれからの予定を口にする。 近所の神社の手伝いを引き受けたそうで、巫女装束も借りてきている。 「急ですね」 が言うと「ま、さっき決まったしな」と一樹がしれっと言う。 まあ、時間はたっぷりあるのだ。 生徒会役員は揃って星月学園近くの神社に向かった。 境内の掃除をしていると聞きなれた声が耳に届く。 「あれ、琥太にぃと郁ちゃん。それに陽日先生だ」 が呟くと皆も彼らに気付く。 「あ、先生達も気付いたみたい」 月子が呟くと陽日がかけてきた。 「おー、お前ら。どうしたんだ、こんなところで。あ、じゃない。あけましておめでとう。ことしもよろしくな!」 陽日にそれぞれが挨拶をしていると琥太郎と郁もやってきた。 「、どうしたのこんなところで」 「一樹会長がお手伝いを頼まれたって。郁ちゃんも何で態々こんな遠い神社に?琥太にぃ、あけましておめでとうございます。親戚の集まりは?」 琥太郎は新年の挨拶を返した後「集まりは夜からになったんだ」と今ここにいる理由を口にした。 「あれ、って今年は琥太にぃのところで厄介にならないの?」 「うん、星月の方で用事があるって行ってたから。ついでだし寮に留まることにしたの」 「そうなんだ、残念だな。お年玉あげようと思ったのに」 心にもないことを郁が言う。 「じゃあ、今頂戴」 そう言って両手を差し出す。 郁がくれたのは200円。 「これでおみくじ引いてきなよ」 「けちんぼー」と言ってはおみくじを引きに行く。 「何を引くかな?」 「また大凶だろう?が大凶以外を引いたところを俺は見たことないぞ。あと、初詣以外におみくじを引いたという話も聞いたことがない」 琥太郎の言葉に皆は言葉を失う。 「え、それは本当ですか?」 一樹が代表して聞いてみると「ああ、本当だ」と琥太郎は頷いた。 「けど、は初詣の場合は大凶が好きだからね」 郁がそう言ってフォローする。 「大凶が、好きなんですか?」 月子が心底不思議そうな表情で聞いた。 「君たちも引いてくれば?」 そう言って郁が琥太郎を振り返る。 「俺か」 「良いじゃん、宿直してくれてるんだったらそれくらい」 郁がそう言い、琥太郎は皆に200円渡した。 「いいんですか?」 「誰にも言うなよ」 そう返した琥太郎に皆は礼を言っておみくじを引きに行った。 一足先に戻ってきたはおみくじを開く。 「何だった?」 「大凶」 「...良かったな」 とても抵抗のある一言。 「うん。うわっ今回も中々前途多難だよ」 笑いながらが言い、そんな彼女を不思議そうに陽日が見ていた。 「は、何で大凶が好きなんだ?」 おみくじを枝に結びながら一樹が問う。 「だって、あとは登る以外の道がないじゃないですか。落ちようがないんですよ。特吉を引いた人を前に言うのも気が引けなくもないですけど、一番上ってあとは落ちるくらいしかないって思っちゃうから」 なるほど、そういう考えか... と同様に大凶を引いた月子は彼女の言葉を嬉しそうに聞いていた。 |
桜風
11.10.21
ブラウザバックでお戻りください