Kaleidoscope 56





翌日、たちの予想通り雪が積もっていた。

朝起きてカーテンを開けた途端眩しくて一度目を閉じ、ゆっくりと開く。

「うわぁ...」

一面の銀世界。

この学園は山の上にあるから雪は降りやすいし、昨年もこんな光景を目にした。

それでも、「すごい」と毎回思うのだから自然と言うものは本当に凄いと思う。

着替えを済ませて髪を結い、急いで食堂に向かった。


学校に着くと賑やかな声が聞こえる。

「おはよう」

賑やかな声は聞き覚えのある声で、颯斗と月子も居た。

「あ、おはよ。ちゃん」

「おはようございます、さん」

「あれ、何やってるの?」

目の前では翼がはしゃいで駆け回っており、滑って転んでいる。

「どうやら翼君は、雪を見るのが珍しいらしいです」

だから、これだけ積もった光景が珍しいということか。

「そういえば、今冬初のドカ雪だもんね」

が頷くと「ですね」と颯斗も頷いた。

「おい、翼。もう良いから校舎に入れ。ったく...」

「...お父さんがいる」

「ええ、僕達が来たときからお父さんでしたよ」

クスクスと笑いながら颯斗が言う。

「おう、も来たのか」

「聞きなれたはしゃぎ声が聞こえましたので」

が返すと「あ、書記その2も揃ったのだ。そうだ!雪合戦したい!!」と翼が言う。

「翼君、これから授業がありますよ」

諭すように颯斗が言う。

「じゃあ、放課後」

「翼君。今、生徒会がものすごーく忙しいのは翼君もよーく知ってるんじゃないんですか?」

黒い笑顔でまたしても颯斗が言う。

「う..けど、俺。暖かい地方から来たから、こんなに雪が積もってるのを見るのは珍しいのだ。雪合戦もしたことないし。やりたい!」

「だ、そうよ?」

が颯斗を見上げる。

颯斗は溜息を吐き「仕方ないですね。今日の仕事を済ませてからなら、いいですよ」と言って一樹を見た。

「そうだな。良かったな翼!」

「ありがとう、ぬいぬい。そらそら!」

「良かったね、翼君」

月子が声を掛け、「今日は急いで仕事済ませなきゃね」とも声を掛ける。



放課後の生徒会室では翼が窓にべったり張り付いている。

「翼くん、仕事が済まないと雪合戦できないよ」

が声を掛けるが

「けど、雪が溶けないか心配なのだ!」

と振り返って訴えた翼はまた窓の外を心配そうに見つめている。

「そんな簡単に溶けませんよ。寒いですし」

颯斗が言うが気が気ではないらしい。

「よし、仕方ない。先に雪合戦にするか」

「会長!」

颯斗が諌めるように呼ぶが

「だって、仕方ないだろう。よし、そうだな。負けたやつが残りの仕事を全部済ませて帰るってのはどうだ?それなら仕事も済むはずだし、颯斗も文句ないだろう?」

と言って翼と共に生徒会室を後にした。

「わたし、やっとくから颯斗くんとつっこちゃん行って来たら?」

が言うと「ちゃんも一緒に行こうよ」と月子に誘われた。

「けど、ほら」と未だに治っていない手首を見せた。

「そうですね。動けないなら寒いでしょうし...」

そう言う颯斗の声音に葛藤が見え隠れした。

「とっととケリをつけてきてよ」

笑いながらいうに「わかりました」と颯斗は頷き、尚も渋る月子を颯斗に預けては留守番に徹した。


「おい、はどうした?」

「手首の脱臼がまだ完治していないので大人しくしているそうです」

「ぬ。そ、そうか...」

普段の生活には支障がないので基本的に彼女の手がまだ完治していないことを皆はすっかり失念していた。

「そうだな...よし翼、予定変更だ」

そう言って一樹は腕まくりを始めた。

「中止じゃないんですか?」

颯斗が言うが「お前も手伝え、颯斗」と言われて首を傾げた。

「ぬいぬい、何をするんだ?」

「かまくらを作る」

「かまくら、ですか」

驚いたように颯斗が呟くと

「おう。かまくらなら出来た後に皆で楽しめる。出来あがってからは呼んでやれば良い。月子も、生徒会室に戻ってろ。俺達3人ででっかいの作ってやる」

と一樹が言う。

月子は少し躊躇った。本当は自分も加わって一緒に作りたいが、だって同じだろう。

「わかりました。物凄いの、期待してますよ」

そう言って月子は生徒会室に帰っていく。

「けど、ぬいぬい。それだと、誰の負けかがわからないのだ」

翼の指摘に

「皆で戻って仕事すりゃ良いだろう」

と言い、雪を集め始める。

「そうですね。さ、翼君。さっさとかまくらを作ってしまいましょう」

颯斗も翼を促しつつ雪を集め始めた。

「...ぬいぬいさー!」

勿論かまくらだって作ったことのない翼は張り切って雪を集め始めた。









桜風
11.12.9


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