Kaleidoscope 59





12月はとにかくイベントが多い。

今は大掃除大会の準備に追われている。

先日やっと分担を決め、今は発注をかける掃除用品を颯斗共に確認していた。

「これ、中性洗剤もうちょっとあった方が良くないかな?」

「去年のがまだ随分と残っていたはずですけど、確認した方が良いですね」

しかし、何でもかんでもイベントにするのは一樹の才能だと思う。

こうやってお祭り騒ぎにすれば参加しやすい。しかも、クラス対抗なのだからサボりづらい。

「去年はつっこちゃんところだったよね」

颯斗に声を掛けると「ええ、一樹会長が東月君を怒らせてしまったので」と少しだけ声を潜めて言う。

「今年も、かな?」

「どうでしょう?」

クスクスと笑って言う。


「そういえば、同時進行のクリスマスの準備は?」

掃除用具の確認をするために倉庫に向かいながらが言うと

「そちらも順調です」

と颯斗が応える。

「たぶん、わたしのコレは準備が始まるくらいには治ってるから」

そう言って手首を触る。

「気にしないでください。力仕事以外にもたくさん仕事はありますから。寧ろ、力仕事は僕達がします」

颯斗は控えめにそう言った。



大掃除大会では、相変わらず翼の発明品が暴走した。

その発明品のお陰で大掃除の邪魔をしてしまったことは否定できないが、それでも無事に終了し、結局今年も月子のクラス、2年天文科が優勝した。

優勝クラスには、この学園の女子生徒と餅つきがご褒美となっている。

しかし、今年はは不参加だ。残念ながら餅つきは手首を庇いながら出来るような代物ではない。

女子生徒になれている2年天文科は特にそのことに異を唱えない。他のクラスなら何かあったかもしれないが、それを思うと2年天文科が優勝してくれて良かった。

優勝クラスがついた餅は、食堂のおばちゃんが用意してくれている汁粉に入れていただく。

、餅はいくつだ?」

一樹に聞かれて「1個でいいですよ」と言う。

「お前、だから小さいんだ」

「小さくないです。標準です」

が少し踵を浮かせて抗議するが、

「くひひ。女神ちゃん。踵、浮いてるよ」

と白銀に指摘され、グッと詰まる。

「ぬははは。書記その2はちっこいのだ」

「ちっこくない!」

第一周囲が男子だらけなのだから自分が小さく見えるだけで、とは尚も言い募る。

賑やかな生徒会は珍しくないが、がこうやって賑やかなのは珍しい。

「珍しいですね、さん」

苦笑して颯斗が隣に立つ月子に言う。

「うん。ちゃんって、一歩引いてる所があるから」

月子の言葉に颯斗も「そうですね」と頷く。

そんなの様子を一樹は目を細めて見ていた。

「ちょっと、一樹会長!諸悪の根源ですよ」

が訴えると「諸悪とは何だ、諸悪とは」と笑う。

暫く賑やかにしていたが、ふと月子が空を見上げた。

「ああ、もうこんなに...」

そう言ってつられて空を見上げていた颯斗も呟いた。

「冬の星は一等星が多いからな」

空を見上げた一樹が呟いた。

それぞれが目に入った冬の夜空の一等星を口にする。

ふと横を見るとが目を細めて空を見上げていた。指差して線を引いている。

「いつかあんなでっかいダイヤモンドもらえると良いな」

一樹が声を掛けるとは驚いたように彼を見上げた。

見られているとは思って居なかったのだろう。

「あんなに大きいのは要りません」

がそう返した。

「ま、もらう方も大変だよなぁ...」

そう言って一樹は再び空を見上げた。

来年も同じ星を見たいと言われて嬉しい気持ちはあるが、卒業まで既にカウントダウンが始まっている。

「だが、そうだな。来れたら来るさ」

一樹の言葉に翼は喜び、颯斗もほっとしたような息遣いを見せた。

いつもは静かでふと見下ろすと彼女も嬉しそうに目を細めている。

一番冷静に自分の卒業を受け止めてくれているのに、やはり寂しがっているようだ。

嬉しいとは思うが、やっぱり複雑なものだ。

「お父さんは大変だね、くひひ」

白銀がそっと声を掛けてくる。

「ま、みんな可愛いわが子だよ」

苦笑して返し、立ち上がり、「よし、、もう一杯」とその場を離れていき、そんな一樹を「俺も〜!」と言った翼が追いかけていった。









桜風
11.12.30


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