Kaleidoscope 60





大掃除が終わるとすぐにクリスマスの準備が始まる。

クリスマスはイベントとして大きなものであるため、各クラスの委員にも手伝ってもらい準備を進める。

ひとまず、全ての委員を集めてスケジュールの説明を行うこととなっている。

会場の体育館に該当者には集まってもらい、颯斗から説明があった。

「質問はありませんか」

その言葉に挙手をしたのは翼だ。

皆は嫌な予感がすると囁く。

「今回は何かな?」

後ろに控えているが呟く。

「何だろうね」

と月子も興味があるようだ。

「ぬくいぬくい貫井さん1号なのだ〜!」

体育館は空調がないため、準備をするのに皆寒いだろうという翼の心遣いらしい。

だが、既にカイロを大量注文しているので防寒対策はとられている。

「...翼くんのあのネーミングセンスってどうなのかな?」

が呟く。

「結構分かりやすいと思うんだけど...」

月子が返した。

颯斗は暫しの間を置き、

「質問は内容なので、準備を始めてください」

と進めた。

見事なスルーだ。

「さすが、颯斗くん」

が頷く。

「ぬ〜...書記ぃ、いい子いい子して...」

スルーされた翼がしょんぼりしながら月子の元へとやってきた。

さーん、手伝ってください」

颯斗に声を掛けられて「はーい」と返事したは「じゃ、行ってきます」と月子たちに声をかけて駆けていった。

発注事務を行ったのはなのでが居た方が分かりやすいのだ。


手首は完治した。

と、いっても脱臼などはクセになりやすいので今後も気をつけなくてはならない。

「無理は禁物ですよ」

颯斗が事あるごとに声をかけてくる。

「わかってるって」

が返すが、「心配ですね」と颯斗は苦笑する。



クリスマスイベントのメインは何と言っても、ツリーだ。

大きなもみの木にたくさんのオーナメントを飾り付ける。

昨年はもみの木の代わりに松が届けられた。見事な発注ミス。

昨年の発注担当は一樹で、彼は「和風をテーマにだな...」と言い訳をしているが、やはり颯斗に華麗にスルーされている。

「わたしたちは、もみの木のクリスマスツリーって初めてだよね」

笑いながらが言うと「そうですね」と颯斗がクスクス笑う。

「おう、どうした?」

会場内の見回りをしていた一樹が、楽しそうに笑っているたちを見かけて声をかけてきた。

「僕達は、もみの木のツリーをこの学園で見るのは初めてですねって話をしていたんです」

「な...!け、けど。松のクリスマスツリーも見たことがないだろう?」

一樹が訴えると

「この先もなさそうですけどね」

が笑う。

「ったく、いつまでそのことを覚えている気だよ」

「忘れようったって中々忘れられませんよ」

が返すと「お前らに良い思い出を提供したってことか」と一樹が苦笑した。

「そうなりますね」と颯斗が頷き、準備中の委員に呼ばれた颯斗は「すみません」と断ってその場を離れる。

一樹は腰に手を当ててツリーを見上げた。

「デカイなぁ」

「そうですね...」

もそれを見上げる。

はちっこいから飾り付けるの大変だろう?」

「文明の利器を使うので大丈夫です」

先日から『小さい』とからかわれては少々ご機嫌斜めだ。

「文明の利器?」

「脚立です」

「なるほどな」

笑って納得した一樹は「俺も少しは飾るか」と言ってツリーに足を向け、「も」と声をかける。

「はい!」と返事をしたは置いてあるオーナメントを取り出して、キョロキョロと周辺を見渡した。

「文明の利器、誰かが使ってるなぁ...」

笑みを含んだ声で言われて「届くところに飾るので大丈夫です」とムキになって返し、背伸びをしながらツリーに飾り付けを行う。

苦笑した一樹はバランスが取りにくい背伸びでも飾れるようにの体を支えることにした。









桜風
12.1.6


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