Kaleidoscope 61





クリスマスの準備は遅くまで続き、先生方が応援の炊き出しをしてくれている。

「おーい、カレーで良いだろう?」

そう言って一樹がカレーを持ってきた。

生徒会揃って腹ごしらえをし、再び準備のためにそれぞれが持ち場に戻る。

オーナメントを探していると「!」と声をかけられて顔を上げると同時に腕を強く引かれた。

その後、ドンと重い音がし、振り返るとツリーが倒れてきていた。

顔を上げると怖い顔をした一樹が数人の生徒の集団を見ている。

、怪我はないな?」

「はい」

驚いたまま頷いたの無事を確認した一樹はその生徒達の元へと向かった。

ちゃん」

月子が駆け寄ってくる。

月子の手を借りて立ち上がったは改めて振り返って目にしたツリーの状況にちょっとへこみそうになる。

だが、これは生徒会で何とかすると言う一樹の言葉に、異を唱える気にはちっともなれない。

一樹が出来るといえば、出来る気がする。

凄く不思議だった。


とりあえず遅いので他の生徒を帰し、生徒会だけで修復をすることになった。

「とりあえず、皆でツリーを起こす。その後、翼が配線の確認。颯斗が枝の修復。月子とは飾りつけをしてくれ。俺は力仕事全般引き受ける。声をかけろよ。さ、時間がない。急ぐぞ」

「ぬいぬいさー!」

皆で力を合わせてツリーを起こし、一樹の指示通りに分担した仕事を行う。

今晩中に先ほどまでの半分まで修復できれば良いだろうと言っていた。

大変だぁ...

そう思いながら黙々と作業を行う。

暫く作業を続けていたが、疲れが見えてきたため休憩をしようと一樹が声をかけてきた。

壁際に座ると翼が寝付き、月子がその隣に座って船を漕ぎ始めた。

「毛布、取ってきますね」

が言うと「僕が行きます」と颯斗が行って体育館を後にした。

がストンと座り、その隣に一樹が座る。

「大丈夫かな」と思わず呟いたの頭を一樹が撫でる。

「大丈夫だって。俺達は最強の星月学園生徒会執行部だろう?」

一樹の「大丈夫」は本当に「大丈夫」っぽいから不思議だ。

「お待たせしました」戻ってきた颯斗から毛布を受け取った。彼は翼と月子に毛布を掛けている。

も寝て良いぞ。寝ないと集中力が落ちるしな」

「そうですね。集中力が落ちて、事故とか大変ですからね」

颯斗が頷き、彼も壁際に座った。

「寒くないか」という一樹に「大丈夫です」と答えたところまで覚えているが、それからの記憶がぷっつりとない。


消え入りそうな「大丈夫です」に苦笑して一樹はの髪を梳く。

を挟んで向こうの颯斗もどうやら寝てしまったようでこの広い体育館には4人の寝息が静かに広がっている。

「おお、ぬくいな」

苦笑した。の体温がぐんぐんと上がっている。

彼女の手に指を絡めてギュッと繋ぐ。そして慌ててそれを解いた。

「...俺はどうしたいんだ?」

ポツリと呟いた。

何となく持て余している自分の気持ちに何とか折り合いを付けたいとは思っているのだがそれが意外と難しい。

自分はもっと冷静に、自分を殺して色々と立ち回れると思っていたのに...



気が付くと空が白くなっており、そして、体育館の外が騒がしいことに気が付いた。

ドアが開き、多くの生徒が入ってくる。自分達も手伝わせてほしいと言うのだ。

生徒会執行部は皆顔を見合わせて笑顔を見せる。

「よーし、あと一息だ」

そう言って一樹が立ち上がり、倣って皆が立ち上がり、クリスマスイベントに向けて準備を再開した。









桜風
12.1.13


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