Kaleidoscope 62





クリスマスイベントは成功に終わった。

一樹と翼が内緒で企画した花火も見事に打ちあがり、翼の発明の中で数少ない成功品に皆が感動した。

本格的な片付けは明日行うが、生徒会室へ運んでおかなくてはならないものがある。

がそれに手を伸ばしていると「俺が持つ」と一樹が言う。

「いいですよ、これくらい」

が言うが「脱臼はクセになるんだろう?」と指摘されて口を閉ざした。

「ほら、行くぞ」

を促し、颯斗たちには先に帰るように言って一樹は体育館を後にした。

「待ってください」とがその後を追いかける。


生徒会室にその荷物を置いて窓の施錠の確認を行う。

「一樹会長、ありがとうございます」

そう言って用事が済んだことを告げる。

「おう、もう良いのか?」

そう言って一樹がドアに向かった。

「なあ、。もうちょっと寄り道しないか」

「いいですよ?」と首を傾げて不思議そうな顔をしたに苦笑して一樹は体育館に向かった。

ツリーを見上げる。

「クリスマスは、1年に1度。皆が幸せになるためにある日だと思ってるんだ」

不意に一樹が言う。

は彼を見上げた。

街中がキラキラと輝き、大切な人と過ごす日。

「この日だけは、誰もが幸せで居て良い日だと思ってる。いや、幸せに思える日であってほしい」

「今日、凄く楽しかったです」

が言い、一樹が見下ろす。

「いつの間にあんなサプライズを用意したんですか?」

花火のことは知らなかったし、今日は雪が降ると天気予報で言っていたから、その雪で火が消えてしまわないものを翼に頼んで開発してもらったと聞いた。

「喜ぶ顔を見たいって思ったら思いついたんだ」

予想通り、皆は感動してくれた。そして、も間違いなく。

「はい。凄く、綺麗でした。またひとつ胸に光る星が増えましたよ」

が言う。

「そういや、ふたご座流星群のときもそんなこと言ってたな」

「つっこちゃんは素敵なことを言いますよね」

そう言ってはツリーを再び見上げた。キラキラと目を輝かせている。

は、クリスマスの思い出って何がある?」

一樹が問うと

「郁ちゃんがお姉ちゃんにしばかれました」

何だそりゃ?

しかし、何と言うか...

話を振ったのは自分だが、それに応えるの返事が別の男の話から始まるのは何とも複雑なものだ。

「うーん...」

唸る一樹には首を傾げる。

「具体的にどうしばかれたか聞きたいですか?」

真顔でが言う。

「いや、いい。聞かないほうが良いことが世の中には沢山ある」

慌てて制した一樹をは笑う。

「あー、冷えてきたな。帰るか。明日は片付けもあるし」

日付がそろそろ変わる。

「はい」と頷いたの手を取った。

「行くぞ」

そう言って一樹は歩き出す。


は小さいから彼女の歩幅にあわせて歩くと寮に着くまでの時間が少し長いが、それより更にのんびり歩く。

「そういや、。お前今年の年末年始は帰省するのか?」

「実家には絶対に帰ってはならないと姉と兄に口をすっぱくして言われましたのでそっちには帰りません。星月も、ちょっと帰れそうにないので居残ろうかと思っています。陽日先生にはまだ言っていませんけど」

の言葉に「そうか」と相槌を打った一樹に「一樹会長は?」とが問う。

「うん、ちょっと考え中だ」

「...のんびりですね?」

不思議そうに見上げるに「ギリギリでも困らないからな、ウチは」と一樹が返した。









桜風
12.1.20


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