| クリスマスの片づけを終えて、生徒会室で皆は一息ついた。 そして、不意に一樹がみなの年末年始の予定を聞き始める。 「はこの間聞いたんだが、居残り組らしい」 確認のためにを見ると頷く。 「夏凛さんたちは帰ってこないんですか?」 颯斗が問うと「そうみたい」とが頷く。 「星月先生は?」 「何か用事があるんだって。来ても良いけど一人でお留守番だって言われた」 月子の疑問にも答える。 颯斗と翼は居残り組だと言い、月子は幼馴染と帰ると言っていた。 一樹は月子にそれをキャンセルするように言う。 「生徒会で宿直を引き受けたんだ」 一樹の言葉に皆は驚いた。 「初めて聞きました」 颯斗の言葉に「そりゃ、今初めて言ったからな」と一樹がさらっと返す。 皆は顔を見合わせた。 相変わらずの強引さだ。 月子は快くその提案を承諾した。皆で宿直とは楽しそうだと言う。 大晦日の午前に生徒会室に集まって軽く打ち合わせをする。 本日の夕飯は鍋だと言う。 「寮に残ってる生徒がいるだろうからそいつらにも声を掛けてくれ」 と同じく居残りをすることにした白銀に一樹が頼むと彼は快く引き受けてくれた。 鍋の材料は颯斗と月子が行ってくれることになった。 翼も行きたいと言っていたが、彼は節約して研究費に回しそうだからダメだと指摘されていた。 確かに、やりそうだ。 「普通の鍋だけだと面白くないよな...」 腕組みをして一樹が言う。 「普通で良いと思います」 が言うが「そうだねぇ、楽しくなくちゃね。くひひひ」と白銀が煽り、「面白いこと?何だ??」と翼が目を輝かせる。 「よし、闇鍋をするぞ」 「おお〜、いいね。闇鍋」 白銀が賛成の声を上げ、「闇鍋?!楽しそうだ!!」と翼も賛成した。 「と、いうわけで。食べられるものを持ち寄ってそれをぶち込むぞ」 「えー...」 全く乗り気ではないが、一樹が乗り気になった時点でそれは実行を意味する。 白銀は寮に残った生徒達に闇鍋の材料の提供を呼びかけに行った。 「ほら、も何かもってこい」 追い出すようにそういわれては渋々寮の自室へと向かった。 「食べられるもの...」 目に入った黄色い物体を手に取る。 「コレで良いか...」 そう呟き、食堂へと向かった。 が持ってきたものに皆は絶句した。 「それは、蜜柑だろう?」 「食べられますよ?あ、入れるときにはちゃんと皮はむきますよ?」 そういう問題だろうか... 「なあ、ぬいぬい。コレなんてどうだ?」 そう言って翼が持ってきたのは餃子だ。 「ああ、良いんじゃないか?」 「これ、翼くんの?」 が問うと「ううん、梓の冷蔵庫に入っていたのだ。俺が入学祝にあげたものだ」 暫しの沈黙の時間が流れ 「翼、それは没収だ」 と一樹が取り上げる。 「何でだよ!ぬ〜ん...」 「さすがに腹を壊させるわけにはいかないだろう」 「というか、木ノ瀬くん。物持ちが良いよね」 が呟き、「女神ちゃん、それって物持ちっていうレベル?」と白銀が呆れたように突っ込んだ。 そんな騒ぎの中、月子たちが戻ってきて一樹から闇鍋の話を聞いた颯斗たちは一旦寮の自室へと戻っていった。 夜は居残り組で屋上庭園で鍋パーティとなった。 なぜかコタツが置いてあり、皆が驚く。そして、そのコタツには教師の名前が書いてあった。 つまり、持ち主不在の中勝手に拝借したらしい。 「いいのかなぁ...」 が呟くと「ちゃんと返すんだから良いんだよ」と一樹が言う。 大雑把だな。 まずは、月子たちが購入してきた材料で作った鍋。『光鍋』と名づけたそれは美味しく、あっという間になくなった。 そして、もうひとつの『闇鍋』は、別の意味で盛り上がった。 「あ、一樹会長。大当たりですね!」 嬉しそうにが言う。 がぽとんと先ほど入れた蜜柑を取ったのは一樹だった。 「ちょ..。責任を持って半分食え」 「責任って何ですか。自分が取ったものは責任を持って食べるってルールはありましたけど、入れた人の責任は問われていなかったはずです」 一樹の横暴には反論する。 しかし、が取り上げたそれを見て一樹が笑った。 「それ、俺が入れた大福」 「ちょっと!溶けてるじゃないですか!!」 が抗議するが「ほら、責任を持って食べるんだろう?」と一樹が言う。 グッと詰まったは腹を括ってそれを口に運ぼうとした。 しかし、腕をつかまれてそれは一樹の口に運ばれ彼が複雑そうな顔をして咀嚼している。 「鶏がらスープに大福って合わないぞ...」 そんな感想を述べてお茶を一気飲みする。 「あの、一樹会長?」 ニッと笑った一樹はの頭をポンポンと叩いて席を外した。 除夜の鐘が鳴り、皆で新年の挨拶をしたあと片づけを済ませて宿直室へと向かった。 男女に分かれて風呂に向かう。 戻ってきたのはたち女性陣のほうが早く、一樹たちはまだ戻ってこない。 「遅いね」 が欠伸をかみ殺して言う。 「そうだね」 と月子もこくりこくりとと舟を漕いでる。 「...もう寝ちゃおうか」 「そうしようか」 2人の間でそんな話をしてもう限界とばかりに布団に入る。 暫くして戻ってきた一樹たちは苦笑した。 たちは既に布団の中で気持ちよさそうに寝ている。 「まあ、疲れたんだろうな...」 月子の隣でごろんとなった翼もすぐに寝息を立て始めた。 「僕達も寝ませんか?」 颯斗が提案し「だな」と一樹が頷いた。 それぞれが空いている布団に入って寝息を立て始めた。 |
桜風
12.1.27
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