| ダミーチョコの回収を終わらせてが生徒会室に戻ると一樹だけが居た。 「皆は?」 「各自回収を済ませて帰ったぞ。というか、明日生徒会室に持って来いって話したからな」 つまり、自分だけ別の指示を受けていたと言うことか... は回収したダミーチョコを一樹に渡した。 回収した箇所はメモをしているので、翼と颯斗には明日確認してもらうことになる。 「なあ、」 「はい!」 思わず声が裏返る。 そんなの反応に一樹は苦笑する。 「俺に渡すものあるんだろう?」 催促されては慌てて自分の鞄の隣に鎮座している小さな紙袋を取りに走った。 一樹はソファに座ってがそれを持ってくるのを待つ。 「あの、これ...」 そう言って差し出した袋は受け取らずにを抱き寄せて膝の上に載せた。 「一樹会長?!」 「俺はもう会長じゃないぞ。だから、名前で呼べよ」 「え?」 「さんはい」 促されてはしどろもどろに「かず..き...先輩」と言う。 先輩、うん。間違ってない。 は安心したが「それはダメ」と言われた。 「ダメですか?」 「おう、ダメだ」 「えっと、じゃあ...かずき..さん」 「そうだな、それで良い。2人のときは、『会長』とか『先輩』とか肩書きつけんなよ」 そう言って満足そうに笑った。 「で、。この通り俺は両手がふさがっている」 「わたしを降ろせば万事解決です」 の言葉に「ダメだ」と即反応して「で、だ。俺にそれを食べさせてくれ」と言う。 「はい?」 「ほら、袋から出して」 促されては自分が未だに持っていた紙袋から自分で包装した箱を取り出した。 「綺麗にラッピングしてあるな」 「頑張りました!」 が言うと一樹は「ありがとな」と優しく微笑み、「次、中身だ!」と指示をする。 リボンを解き、包装紙を剥がして箱を開ける。 「星型かぁ...」 微妙な声音だ。 「ダメですか?」 「ああ、いや。ハート型かなって思ってたからな」 「ごめんなさい、ハート型で割れたり欠けたらどうしようって思ったので」 が俯く。 「そっか。よし、じゃあ、それをくれ」 そう言って一樹が口をあけた。 「これ、そのまま入ります?」 が問うと口をあけたまま一樹は頷いた。 「じゃあ、どうぞ」 おずおずと差し出して一樹の口の中にチョコレートを置いた。 やはり少し大きめだったと思う。 それでも一樹はゆっくりと味わって「美味い!」と言った。 「本当ですか?」 「ああ、美味い。ありがとうな」 あと5つある。 「一遍に全部食べるのは勿体無いなぁ...」 呟く一樹に「味が落ちないうちに食べてくださいね」と言うと「そういや、もこれ食べたのか?」と言われた。 「ええ、味見をしました。一応」 「けど、俺が今食べたやつは味見してないよな?」 どういう意味だろう... が首を傾げて考えていると急に唇をふさがれた。 暫く重ねた唇が離れたときにはの口の中もチョコレートの香りがほんのり広がっている。 「美味かっただろう?」 「もう!」と拗ねたに「拗ねるなって」と一樹が苦笑した。 「一樹..さんは不意打ちばっかり」 「いつでも俺にキスされても良いように心がけて置けよ?」 一樹が余裕たっぷりにからかって言うものだからはムキになって、初めて自分からキスをした。 触れるだけのそれだったが、一樹は目を丸くして、更に意外なことに顔が赤くなっている。 「一樹さん、いつでもキスされても良いように心がけて置いてくださいね」 もう二度とする気ないけど... 自分自身が猛烈に恥ずかしかったのでは心の中で付け加えた。 「ったく、には敵わないな...」 呟いた一樹は「キスするぞ」と言って再びにキスをした。 今度は不意打ちではないのでの抗議は受けずに済んだ。 |
桜風
12.4.27
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