Kaleidoscope 78





翌朝早く、は一樹に呼び出されてバス停へと向かった。

「すまないな、朝早くに」

「気にしないでください」

首を振ってが言う。

バス停でバスの到着時刻を確認する。

「もうちょっとありますね」

そう言って見上げたに一樹がキスをした。

「一樹会長!」

「今、2人きりじゃないのか?」

そう言われては言葉につまり、「一樹さん...」と呟く。

と会って、俺は自分がこんなに弱いってのを知ったよ」

情けない顔をして笑う。

「弱い人は強くなれるんです」

が言う。

...」

再び一樹がキスをして、は彼のシャツをキュッと握る。

車の音が近付いてきてようやく2人は離れた。

バスが停車し、ドアが開く。

「じゃあ、行ってくる」

「いってらっしゃい。帰ってきたら、結果を教えてくださいね」

笑顔でが手を振り、ドアを閉めたバスは発車した。



3日後に一樹は戻ってきた。

放課後の教室でぼうっとしているとドアが開き、一樹が姿を見せる。

その姿を目にしたはにこりと微笑んだ。

「ただいま」

「おかえりなさい」

一樹は教室の中に入り、の前の席に腰を下ろす。

「どうでした?」

「おじさん、許してくれたよ。というか、みたいなことを言うんだ。両方すれば良いって。俺、思わず笑ってさ。おじさんが驚いたから学校にいる、俺の恋人も同じことを言ったって話したらおじさんも楽しそうに笑った。『素敵な恋人だな』って」

自分の居ないところで褒められてしまった。

少し照れていると

「だから、俺は『俺の恋人だから当然です』って返したよ」

と更に追い討ちを掛けられる。

「...恥ずかしいです」

苦笑するに「本当のことだから仕方ないだろう」と一樹が返した。

そしてを抱き寄せてキスをする。

あの日の朝にバス停でしたような長く深いもの。

机の上のの手に自分の指を絡め、一樹はを求め、彼女もまたそれに応える。

やがて離れた唇はすぐに触れそうなところで止まり、おでこをコツンとあわせて「なあ、」と一樹が名を呼ぶ。

「はい」

少し息が上がっているが返事をした。

「たった3日でこれだと、俺が留学から帰ってくるたびにどうなるんだろうな」

「...そのときに考えましょう」

自分も同じことを思ったが、今はちょっと考えられない。

「本当はさ、お前も一緒に連れて行きたいんだ」

は言葉を探している。

「いや、無理なのは分かってる。そんなことしたお前の姉ちゃんに吹っ飛ばされるだろうし」

確かに、とは頷いた。

「一人前になってから言いな!」

と言い放ちそうだ。

「だから、俺はお前の姉ちゃんが納得するような男になったらすぐにでもを連れ去りに来るから」

「えっと...それって......」

が考えていると「今は考えなくていいぞ」と笑われた。

ドキドキと少し早い鼓動を打つ胸を押さえて「わかりました」と頷いた。









桜風
12.4.27


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