| 引継ぎが終わってからは一樹は生徒会室に顔を出す機会が少なくなった。 既に颯斗が先頭に立って動いている生徒会に、先代の会長が顔を出すのはよくないと思っているらしい。 確かにそうだろうが、としては少し寂しいと思ってしまう。 「おー、久しぶりだな」 そう言って生徒会室に一樹が入ってきた途端にドカンと爆発があった。 「...相変わらずだな」 苦笑交じりに爆発の元へと向かう。 「ぬいぬい!」 ラボからは翼の嬉しそうな声ガで聞こえてきた。 「よし、最後の校内見回りに行こう」 一樹に誘われて生徒会執行部全員で校内の見回りに出ることになった。 翼が一樹の有終の美に相応しくなるように素晴らしい発明品を共につけるといったが一樹はそれを全力で却下し、翼を引きずって生徒会室を後にし、たちはその後について出て行った。 ゆっくりと校内を回る。 「後何日もないんだな...」 ポツリと呟いた一樹の言葉が耳に入り、その言葉に寂しさはあったがそれと同時に清々しさもあった。 おそらく、もう思い残すことはないのだろう。 「と、いうわけで!じゃじゃーん!!」 その空気をぶち壊したのは翼だ。 小型の、クマのぬいぐるみのようなもの。 「おい..翼...」 一樹がそのクマを指差し、「嫌な予感しかしません」と颯斗が溜息をつく。 と月子は顔を見合わせた。 そのクマ。困った人を発見して助けてくれるそうだ。 「...それが本当なら凄いんだけど」 が呟くと「ぬ?!書記その2は俺のことを信じていないんだな!」と翼が怒った。 「翼くんのことは信じてる。さらに、翼くんの発明品が爆発するのも何となく信じてる」 「、そんなこと信じるな!」 「そうですよ、さん。もしかしたら、万が一にも、奇跡的に成功した例かもしれないじゃないですか」 颯斗も大概失礼である。 「ぬぬぬ...みんな酷いのだ!こうなったらこれが大成功ってところを見せてやるのだ。ぽちっとな」 クマがふわりと飛んでたちの傍を離れない。 「これって、俺達が困ってるってことなのか?」 「あながち間違っていませんけど...」 困った顔をして颯斗が言う。 「じゃあ、成功例ってことだねぇ」 が頷いた。 「ぬぬ?!あー!なんでポケットにこんなものが!!」 「失敗例みたいです」 ポケットから出てきた部品らしきものを見て慌てている翼を目にしたは一樹を見上げた。 「つーばーさー!お前ほんっとうに最後まで...!!」 ゴツンと一樹がゲンコツをお見舞いし、「ごめんちゃい」と翼が謝る。 「で、どうしましょうか」 はくまを見上げた。 「害がないならこのままで...」 月子が言うと「放っておくわけには行かないだろう。絶対に爆発するように出来てるんだし」と一樹が言う。 「ぬぬっ!絶対って何だよ!!」 「じゃあ、爆発しないのか?」 「...設計段階では」 「それは、いつも翼君が言ってますよね?けど、結局は...」 「じゃあ、爆発するね」 さらっと言ったに一樹は溜息をつき、「仕方ない。こうなったら実力あるのみ!」とクマを捕まえようとした。 しかし、それを翼が止めた。 それには、迎撃機能がついているからむやみやたらと突っ込むのは危ないと言う。 「無駄な機能をつけるな!」 ゴツンとまたゲンコツ。 「どうする?」 が颯斗を見上げた。 「どうすると言われても...」 「止めるしかないだろう。、俺の後ろに隠れてろ。絶対にお前は俺が守るからな」 そんなことを言われては嬉しくなる。「はい」と言って月子と共に下がり、一樹たちの大活躍を見守ることにした。 結局爆発に巻き込まれたが全員無事で、一樹が翼に梅干をし、翼はプロレス技で反撃をする。 そんなことが繰り返され、止める颯斗の言葉は彼らの耳に届かなかったようで「仕方ないですね」と颯斗が黒い笑みを浮かべた。 「耳栓の用意は良いですか?」 たちを振り返り、2人が頷くのを見て携帯ミニ黒板を取り出して爪を立ててひっかく。 一樹と翼はその場に崩れ落ち、騒ぎが丸く収まった。 「僕達は先に帰っておきますね」 そう言って颯斗達が帰っていく。 見回りから戻った一樹は「疲れた〜」と言って生徒会室のソファで寝てしまった。 と一樹が付き合っているのは一樹から聞いているので皆は知っている。 よって、一樹の世話をに任せて皆は帰ったのだ。 眠っている一樹にそっと近付く。 おなかの上に載せている彼の手に自分の手を重ねてみた。 そして、頬に触れようとすると突然その手を掴まれて掌にキスをされた。 「起きてたんですか?」 「おう。ああ、寝込みを襲いたかったのか?じゃあ、ちゃんと寝よう」 からかうように一樹が言う。 「襲いません!一樹会長じゃないんですから。...寝てても体温変わらないんですね」 不思議そうにが言う。 「体温?まあ、お前みたいには上がらないだろうな」 と言いながら一樹は体を起こした。 しゃがんで自分の顔を覗きこんでいたを膝の上に載せる。 「あれ?そういえば、寝たフリですか?」 「そうだ」と頷く。 「どうして?」 首を傾げて言うに苦笑してキスをした。 「こうやって、お前と2人きりになりたかったからだ。分からなかったのか?」 「ごめんなさい...」 しょんぼりして言うに「いいよ」と言って頭を撫でる。 「結局、有終の美は遠い彼方でしたね」 笑いながらが言うと「まあ、翼だからな」と一樹が苦笑した。 突然がぎゅっと一樹に抱きついた。 そんな彼女の行動が珍しくて驚いていると「大好きです」と言う。その声音は「寂しいです」と言っているようで一樹は抱きしめ返した。 「俺もだよ」 優しく囁くようにそう返した一樹はに何度も優しくキスをした。 |
桜風
12.4.27
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