Kaleidoscope 59





選択授業のため、移動していると「そういやさ」と犬飼が声をかけてきた。

「なに?」

が青空と一緒じゃないと不思議だな」

指摘されてきょとんとした。

「そう?いつも一緒じゃないよ」

「や、何かセットになってるから」

「...翼くんと木ノ瀬くんみたいに?」

が問うと「ああ、あいつらもセットだよな」と頷く。

「けど、つっこちゃんでも七海くんとか東月くんとかと選択授業は違うらしいから珍しくないでしょう」

「え、あいつらも別なの?!」

「颯斗くんが言ってたよ?一緒なのはつっこちゃんだけだって」

が首を傾げて言うと「へぇ...」と心から感心したように犬飼が溜息を漏らす。

しかし、何だって選択授業も犬飼と一緒なのだろうか...

が言ってみると

は俺のこと好きだもんなー」

と返された。

「逆でしょ、まったく」

が軽く流す。

「おーい!」

手を振りながら駆けて来たのは白鳥で、彼は星座科だ。

この時間の選択授業が一緒なのでよく机を並べて授業を受けている。

「犬飼くんと白鳥くんも仲が良いじゃない。部活が同じだし」

「接点はそこだけだろ?」

少し嫌そうにいう犬飼に「何の話?」と白鳥が聞く。

「メンドくせぇ」と犬飼が説明を放棄すると「え、なんだよ」と白鳥がしつこく説明を求める。

そんな2人の様子を見ながらはクスクスと笑う。

颯斗があの性格だからクラスメイトとじゃれることはなく、こうやってじゃれている犬飼と白鳥を見ていると『可愛い』と少しだけ思うのだ。



ちゃんと一緒の授業、来年は取れるかなぁ...」

授業が終わって月子が呟いた。

「この時間の選択授業、さんも相当迷ってたんですけどね。これにするか、今とってる授業にするかって」

廊下を歩いていると少し先で賑やかな声が聞こえた。

「あ、犬飼くんと白鳥くんだ」

「じゃあ、もしかしたらさんも一緒ですね」

そう言った颯斗は少しだけ足早にそちらに向かった。

目に入ったのはの笑顔で、犬飼と白鳥と楽しそうにしている。

一瞬足が止まった。

ちゃん!」

月子が駆けて行き、颯斗はその後に続く。

「あ、つっこちゃん。颯斗くん」

「あのね、さっき颯斗くんと話してたんだけど。今日、さっきの授業で結構課題が出たから放課後図書館で勉強することにしたんだけど、ちゃんも一緒にどう?」

同じ授業は取っていなくても課題は出ているはずだ。

「あー、図書館には行こうと思ってたけど。ごめん、今日は本を借りたら寮に戻る。ごめんね、せっかく誘ってくれたのに」

両手を合わせてが言う。

「ううん」と月子が手を振り、「では、図書館までは一緒に行きませんか?」と颯斗が誘う。

「それは、勿論」

が頷いた。


その場で月子と白鳥と別れてそれぞれ教室に戻った。

「今日は何か用事があったのですか?」

颯斗に問われて「うん、ちょっとね」とが頷いた。

「お姉ちゃんから電話がある予定なの。生徒会室だったら席を外して、って出来るけど。わたし、図書館では携帯の電源を切ってるから」

夏凛の仕事から考えて、丁度良い時間に電話が出来るタイミングが中々ないのかもしれない。

「そうですか」

心なしか、寂しそうに呟く颯斗には首を傾げ、その後ろを歩いていた犬飼は盛大な溜息を吐いた。









桜風
11.12.30


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