Kaleidoscope 60





放課後、颯斗と共に月子のクラスに寄って図書館へと向かう。

ちゃんは何の本を借りるの?」

「んー、まだ未定」

部活をしていないは、寮では大抵本を読んで過ごしているそうだ。

保健係として保健室に待機しているときも本を読んで過ごしていたりするので、図書館へが足繁く通っている。

図書館に着き、月子と颯斗は自習スペース、は借りていた本を返却するために入り口で別れた。


書架の前で本を見上げる。

「んー...」

手が届かない。

は書架の上から2段目からは手が届かない。ギリギリ触れるが、本を取り出すのは至難の業で、脚立や台を使用しなくてはならない。

「あれ、さん?」

声をかけてきたのは金久保だった。

「金久保先輩。お久しぶりです」

「うん、久しぶりだね。元気だった?」

「はい。先輩は、参考書とか..ですか?」

「ううん、僕は気分転換に何か読みたいと思って」

苦笑して返す金久保に「受験生、お疲れ様です」と頭を下げた。

そんなに苦笑して「さんは?」と返される。

「わたしは、基本的に寝る前に本を読んでいるのでそのための本を借りに」

「そうなんだ」と頷いた金久保は不思議そうな顔をして書架を見た。

ここは西洋占星術に関する本が置いてある。

「この間、白銀先輩に少し西洋占星術の話をしてもらったんです。歴史を読むのも楽しそうだと思ったので、今回はこの書架の本を借りようと思って。何かお勧めの本はありますか?あまり専門的ではなく、入門的なものの方が読みやすいのかなと思うのですが」

金久保の疑問を察したが言うと

「そっか。そうだな、じゃあ...」

と書架を眺める。

さんは、これに手を伸ばしてたよね」

見られていたらしい。全く届いていないのに、どの本か分かったようだ。

「はい」

「これも、確かに入門書として丁度良いよね」

そう言って取ってくれる。

「あとは..これはどうかな?さんは神話科だし、それにちなんだ話も書かれているから馴染みやすいかも」

またしても書架の最上段から本を取ってくれる。

受け取った本をパラパラと捲る。

「ホントだ。読みやすそうですね」

「うん。とりあえずこの辺かな?それを読んで気に入ったら、この棚の本は読めるかもしれないな」

そう言って隣の書架の中段辺りを指差した。

「ありがとうございます」と礼を言い、その場で別れようとしたところで、「そういえば」と金久保が足を止めた。

「さっき、自習スペースで一樹と天羽君を見かけたよ。こそこそ何か企んでいたみたいだから気をつけて」

クスクスと笑った金久保は「じゃあね」とその場を去っていった。

「え、企んでいるんですか?」

去っていく金久保の背を見送り、は呆然と呟いた。


その後、別の本を探し、本を借りる手続きを済ませて自習スペースに向かう。

生徒会メンバーがひとつの机に座っていた。

とても楽しそうで、邪魔をするのは悪いなと思って回れ右をする。

「あ、書記その2ー!おーい!!」

ブンブンと手を振った翼が大声を出す。

隣の一樹にゴツンと叩かれ、颯斗にも叱られている。

は少し躊躇ったのち、そちらに足を向けた。

「おう、お前は課題は良いのか?」

「選択授業が違うので。あと、今日は姉から電話がかかってくる予定なんです」

が言うと「そうか」と一樹が頷く。

「書記その2。何の本を借りたのだ?」

「これ」

そう言って見せた本に皆が興味を示した。

「西洋占星術..ちゃん、西洋占星術に興味あるの?」

不思議そうな視線を向けて月子が問う。

「この間、白銀先輩から話を聞いてね。知識としてはちょっと興味が沸いたから。さっき金久保先輩に会って、選んでもらったの」

の言葉に月子が驚く。

「誉のヤツ、来てたのか」

一樹も驚き、そう呟いたが

「自習スペースに一樹会長と翼くんがいて、何か企んでいるみたいだから気をつけてって言われました」

が返すと「何だと、誉れのヤツ〜!」と苦い表情を浮かべる。

そんな一樹の反応が面白くては苦笑し、「じゃあ、課題頑張ってね」と声をかけて図書館を後にした。









桜風
12.1.6


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