| 生徒会長立候補受付最終日。 この日は生徒会役員が揃って颯斗を待っていた。 しかし、入ってきたのは白銀で颯斗からの伝言があると言う。 内容は、やはり生徒会長にはなれないというものだった。 「オレはあいつを信じる」 力強く一樹が言う。 月子が颯斗を探しにいくと言うがが止めた。 「無理やり引きずってきても仕方ないよ。本人の意思が無いと、これから1年やってくのは無理でしょう?」 「けど、颯斗くんこのままじゃ...」 「颯斗くんは、弱いらしいけど強いからきっと大丈夫だよ」 が言うと生徒会室のドアが開いた。 颯斗は生徒会長に立候補する決意を口にする。 一樹は生徒会室を飛び出し、職員室へと向かった。選挙手続きを行うためだ。 間もなく戻ってきた一樹は颯斗の立候補が受理されたことを告げる。 「みなさん、ごめんなさい。僕、遅くなりました」 颯斗が謝罪するが「遅刻じゃないんだから、良いんじゃないのかな?」とが言う。 「そうなのだ!けど、そらそら。俺凄く心配しだぞ」 翼の訴えに謝罪し、白銀にも伝言を頼んだことを謝った。 その日、やっと生徒会室の空気が明るくなった。 今日は皆で食事を取ろうと話になり、早々に生徒会室を後にする。 「さん」 「なに?」 「この間の、音楽部の人の話、覚えていますか?」 「何か頼まれ事してたんだよね?」 が問うと「そうです」と頷く。 颯斗は2月の半ばにある音楽部の演奏会でピアノの演奏を頼まれていたらしい。 それを引き受けるかどうかを悩んでいたそうだ。 「受けるの?」 「ええ。ただ、今は生徒会長選挙の方が優先事項ですけど」 それはそうだ。 「練習時間、大丈夫?」 「何とかします」 そう言った颯斗の視線の強さには嬉しそうに微笑んだ。 「それと、さんにお願いがあります」 「なに?」 「僕が生徒会長になったら、副会長になってもらえますか?」 「約束は守るよ」 笑って言うに「ありがとうございます」と颯斗も微笑んだ。 生徒会長選挙前日の移動教室の時間に音楽部の顧問に声をかけられた。 颯斗が、ではなくがだ。 「夏凛って知り合いか?」 「姉です」 不思議に思ってが彼を見上げた。 何故姉の名前を知っているのだろうか。 「そうか、お姉さんか。彼女、まだトランペットを続けていたんだな。去年、何かの演奏会でゲスト出演したんだろう?その動画がインターネットの動画サイトに投稿されていてね。音楽をやっている者達にとってはちょっとした噂になってたんだよ。 日本を代表するトランペット奏者としての期待が大きかったのに、突然音楽界から姿を消したあの夏凛が小さなホールで演奏してるじゃないか。また戻ってくると言うことなんだろう?」 期待に満ちた瞳で彼が言う。 が呆然としていると「先生、すみません。次の授業に遅れますので」と颯斗が間に入っての手を引いてその場を去っていく。 「ああ、すまんな。引き止めて」 颯斗たちの背中にそう声をかけて彼は職員室へと向かっていった。 「さん?」 「お姉ちゃん、そんなに期待されていた人なの?日本を代表するって...」 余計なことを言ってくれる。心の中でそう呟きつつも「それでも夏凛さんが決めたことですよ」と言う。 しかし、颯斗の言葉はの心に届かないようでそれからのは沈んだままだった。 生徒会の仕事はきちんとこなしていた。 ただ、いつものとは違うというのが分かる。 「どうかしたのか?」 一樹が心配そうに声をかけるが「なにがですか?」と空元気を見せるが逆に痛々しい。 「颯斗」 何か理由を知らないか、と一樹が声をかけ、今日の話をする。 「夏凛さんってそんな凄い人だったのか?」 「ええ、夏凛さんの音楽は将来を約束されていたと言っても過言ではないでしょうね」 颯斗の言葉に再び驚きの声を漏らす。 そして、その事実に対してがどう感じるかは手に取るように分かる。 「まあ、颯斗。お前は明日の選挙に集中しろ」 「はい」 集中しろと言われてもその通りには中々出来ない。 しかし、も自分に期待してくれているのだ。そして、その期待に応えようと、応えたいと思って立候補を決めた。 色んな挫折が待っていることについて覚悟もしている。 一緒に頑張ろうといってくれる仲間が居るから、きっと頑張れる。 とりあえず、まずは目の前の懸案事項を片付けての力になろうと決めた颯斗は翌日の生徒会長選挙で見事全校生徒の信任を得て生徒会長に就任した。 |
桜風
12.3.23
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