Kaleidoscope 75






窓の外を見るとぽっかりと満月が浮かんでいた。

?」

「ん?」

慌てて部屋の中に視線を戻す。

姉と話をしていても生返事ばかりになってしまう。

満月を見て浮かんできたのは颯斗の控えめな笑顔。

ここ最近、課題とかそういう必要なとき以外空を見上げていないことに気がついた。

月を見たら、彼を思い出すから。

思い出すも何も、学校に行けばいるのだが、彼のことをまっすぐ見れない。

邪魔をしたらダメだから。邪魔をして要らないって言われるのが怖いから。

俯くを見て夏凛はそっと溜息を漏らした。

あのガキ、シメる...!

心の中で密かに誓い、窓際に向かった。

カーテンを閉めて、「寝ようか?」と声をかける。

「...お姉ちゃん、先に寝てて」

泣きそうな笑顔を向けてそう言ったは、部屋を出て行った。


盛大な溜息をつき、「あのガキ、シメる」と先ほど心の中で誓った言葉を口にする。

携帯を取り出してコールした。

『はい』

「琥太、が外出した。ちょっと付いて行ってあげて」

『今?何処に??』

「...たぶん、星が良く見える場所」

この周辺ならどこでも良く見えるだろうが...

溜息を吐いて『わかった』と返す琥太郎に「よろしく」と言って通話をきろうとしたら『夏姉』と声をかけられた。

「なに?」

『手加減、してやってくれよ。ウチの大事な生徒だ』

とこれから夏凛が何処に行くのか分かっている様子で言う。

「ゲンコは譲らないよ」

『...まあ、ほどほどに』

そう言って琥太郎が電話を切った。

パチンと携帯を閉じた夏凛は軽く上着を羽織って部屋を後にする。



少し歩いた先には男子寮がある。

確か...

乙女座寮と書いてある建物の前で立ち止まった。

「さて、を泣かせた罪は重い」

低く呟き寮のドアを開けた。

「あの...」

寮監が声をかけてくる。

「青空颯斗は乙女座寮よね?」

名を名乗らず、そういう彼女に寮監は少し圧倒されたが、仕事だ。

「何の用でしょうか?」

「ああ、あたし青空の姉なの」

にこりと微笑み、嘘をいう。

下手すれば、将来は嘘じゃなくなるかもしれない。でも、現在は嘘だ。

「そうですか」

何処も似た要素がないと言うのに彼は信じた。

そういえば、『青空』は有名だったと思い出す。家族構成が周囲に知られると言うのは面倒なことだ。

「青空を呼び出しましょうか?」

寮監に聞かれて「いいえ、あまり聞かれたくない話なので」と適当に返しながら颯斗の部屋を聞き出し、夏凛は彼の部屋に向かった。


突然やってきた女性の訪問。

しかも、寮監は知らないだろうが彼女は2年神話科のの姉だ。

実物を見たことない生徒は少なくないが、見たことのある生徒が噂をすればそうなのかと信じる。

そして、そのの姉が青空の部屋の前で足を止めた。

自分に対して好奇の視線を向けている子供達ににこりと微笑み、夏凛は目の前のドアをノックした。









桜風
12.4.20


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