| 一樹からの引継ぎは一通り済み、通常営業となった。 そして、そんなある日。 は生徒会室にいる颯斗をじっと見ている。 「おいおい、そんな熱い視線を向けるなよ。見てるこっちが恥ずかしいぞー」 からかうように一樹が言う。 と颯斗が付き合っているのは生徒会の中では周知の事実で、学校内でもそれなりに認識されている。 何せ、颯斗が時々にちょっかいかけようとする男子に向かって黒い笑みを浮かべると共に恋人宣言をするのだ。 色恋沙汰なんて殆どありえないこの学校内でこんな話題はあっという間に広まる。 「んー、そんなんじゃないんですけど」 が首を傾げる。 「じゃあ、何だって言うんだよ」 「それがですね」 が返事をしようとすると「さん」と颯斗が名を呼ぶ。 「なに?」 「僕、ちょっと音楽部のほうに顔を出してきます」 「うん、いってらっしゃい」 笑顔で頷いたに颯斗が笑顔を向けた。 「な、なに?」 が聞いてみると「いえ」とやはり笑顔で言う。 そのまま腰を屈めての頬にキスをした。 「颯斗くん?!」 「では、いってきます」 上機嫌に部屋を出て行った颯斗を一樹は呆然と見送り、「おい、どうしたんだ、颯斗のヤツ」と颯斗が閉めたドアを見つめて呟いた。 「今日、ちょっと調子が悪いみたいなんです」 「ある意味絶好調なのだ...」 同じく颯斗のキスを目撃させられた翼が呆然と呟く。 「なあ、。そらそらは、俺達の知らないそらそらになっちゃったのか??」 「え?いや、それは..ないと思うよ?」 それにしても、どうしたのだろうか。今の彼が『変』という意見には賛成だ。 暫くして戻ってきた颯斗は突然を抱き寄せ、再びキスをしようとしたが、がそれを阻む。 「さん?」 悲しげな颯斗の表情を見たは非常に胸が痛んだが、「颯斗くん、ちょっと屈んで」とお願いする。 「はい」と笑顔で颯斗が屈む。 が顔を近づけ、そのことに対して一樹と翼が大騒ぎするが、はキスをするわけではなく、額をくっつけた。 「あー、熱あるよ」 「まさか。それより、キスしてくれるんじゃないんですか?」 首を傾げて言う颯斗の瞳は期待に満ちている。 「だーめ」とが返した途端、颯斗が押し倒してきた。 「おい、生徒会室でそんなこととーちゃんは許さないぞ」 「えー、と。とりあえず、颯斗くん熱にうなされています」 颯斗の下敷きになったが言うと「ぬ?!」と翼が声を上げて駆け寄り、「ホントだ。そらそら、苦しそうなのだ」と一樹に報告する。 「何?!翼、颯斗を背負うから手伝ってくれ。、颯斗の下から這い出して保健室に一足先に行ってくれ」 一樹の指示通り颯斗の下から何とか這い出したは保健室に向かった。 「失礼します」と声をかけてドアを開けると琥太郎が驚いたように振り返る。 「どこか具合が悪いのか?」 「わたしじゃなくて、颯斗くんです。一樹会長が背負ってきます」 「青空が?どうしたんだ??」 「熱が高いんです。疲れがたまっての発熱か、それとも風邪か...」 の言葉を聞いて琥太郎は頷き、「水枕の用意をしてくれ」と言われた。 水枕を作っていると颯斗を背負った一樹が保健室にやってきた。 熱を計ると結構高い。 「颯斗くん、大丈夫?」 「が寝てるときより少し高いくらいだ。疲れもあるだろうし、寝ていれば落ち着く」 琥太郎の言葉に皆は安堵の息を漏らした。 「星月先生、わたしここにいて良いですか?」 が問うと一樹や翼。一緒にやってきた月子も留まりたいという。 「構わない。じゃあ、俺は理事長の仕事をしているから、保健室を出て行くときには連絡をくれ。戻ってくるから」 「はい」とが返事をし、琥太郎は白衣を脱いで保健室を後にした。 暫くすると颯斗が目を覚ます。 彼は生徒会室に入ってからの記憶が曖昧であると言う。 「颯斗、今日はゆっくり休め。生徒会の仕事は俺が片付けておくから」 一樹の言葉に首を傾げつつも「ありがとうございます」と礼を言う。 「そ..そらそら?もう大丈夫か?にキスとかしないか?」 恐る恐る翼が聞くと 「さんに、キスですか?僕以外の人にあんな可愛いさんを見せたくないので、皆さんの前ではしませんよ?あとで、ゆっくり..ね?」 にこりとに笑顔を向ける。 「ぬいぬい!そらそらがまだ大変なのだ!」 「そ..そうだな。颯斗。良いから寝ろ。寝て、元気になってくれ。いつもの颯斗に俺は会いたい!」 そう言って体を起こしていた颯斗を寝かす。 「はあ...」 曖昧に頷いた颯斗がを見た。 「手を繋いでいてくれませんか?」 少しだけ心細そうな表情を見せて言うものだから「よろこんで」とが颯斗の手をそっと握る。 それに安心したのか、再び颯斗の寝息が聞こえ始めた。 日か沈み、下校時刻となったため、颯斗を起こすと随分と疲れた取れたのかスッキリした表情を浮かべていた。 「あれ?僕..どうして保健室に?」 「生徒会室で倒れて、一樹会長が背負って降りてきてくださったの。わたしが付き添うって話をしたら星月先生は理事長の仕事をしに出て行ったから、帰るときには連絡しないと」 の言葉に颯斗は恐る恐る聞いてみた。 「僕、何かご迷惑をおかけしませんでしたか?」 「まあ、そんなには...颯斗くんのお陰で今、一樹会長と翼くんがもりもり仕事をしてくれてるし」 「僕のお陰ですか?」 首を傾げる颯斗にが笑顔で頷いた。 「ところで、今保健室には誰もいないんですか?」 が「うん、そうだよ」と頷き、それを受けて颯斗はにこりと微笑んだ。 「では」と言ってを引き寄せてキスをした。 「僕が目覚めたとき、あなたの顔を一番に見れたのがとても嬉しかったです」 「颯斗くん、最近キスしてばかり」 が言うと「嫌でしたか?」と不安げに返す。 「嫌じゃないけど..やっぱり恥ずかしいよ」 「僕たち以外、この部屋にいないんですよね?」 だから確認したのか。 「けど、そろそろ琥太にぃが戻ってくるよ」 がそういった途端、ドアがガラリと開いた。 「、青空の具合はどうだ?」 そう言いながらカーテンを開ける。 体を起こした颯斗の姿を見て、「まだ少し顔色が悪いな。今日は寮に帰って大人しく寝なさい」と言った。 「はい、お世話になりました」 颯斗はベッドから降り、一樹が持って降りてくれた鞄を手に取る。 服装を整えて琥太郎に礼を言い、保健室を後にする。 「...確かに、夏姉にはきついかもな」 ドアが閉まる寸前に颯斗と手を繋ぐの手が見えた。 それなりに来るものだ... 白衣を着た琥太郎は苦笑をひとつして、今度は保健医の仕事を片付けはじめた。 |
桜風
12.4.27
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