| はっと目を覚ます。 「僕はなんて...」 浅ましいのだろうか。 くしゃりと前髪を握ってそう呟いた。 少し気持ち悪くて、洗面所に向かう。 手を洗いながら顔を上げると鏡に自分が映っている。 先ほど見た夢を思い出していた。こんなにも愛おしいと思っている彼女を同時に汚したいと思っている自分。 最近大きくなってきて持て余すこの感情を少し怖いと感じている。 「おはよう、颯斗くん」 の寮に毎朝颯斗が迎えに行く。 大抵は準備を済ませて寮の前に立っており、颯斗を待たせることはない。 逆にを待たせる形になる颯斗が気にしているのだが、「颯斗くんと同じくらいの時間に部屋を出てるだけじゃない」と言われた。 「ねえ、颯斗くん」 「何ですか?」 ここ最近、ずっと後ろめたさが着いて回る。だから、彼女とも距離を保ちたいと思いつつも、離れられない自分が女々しく、颯斗は自分が嫌になる。 笑顔で会話をしていても自分の浅ましさが気になり、彼女の言葉が頭に入らない。 「颯斗くん?」 「すみません、ちょっと寝不足なもので」 「あ、そうなんだ。ごめん、静かにしておくね」 そういったは控えめに笑った。 「、どうしたー?」 休憩時間に窓の外をぼうっと眺めていたら声をかけられた。 振り返ると、犬飼だ。 「どうした、って?」 「いや、休憩時間に青空と一緒にいないじゃないか」 「うーん...」 何となく、避けられている気がする。 こういうのは結構敏感だから間違いない。 だが、理由が分からない。 「もしかして!」 ガタン、と立ち上がりは呆然とした。 「ど..どうした?」 今度こそ何かやらかしたのだろうか。寝不足なのを気付かずに延々と話をしたのは、気遣いがなかった。 他にも、何も気付かず颯斗の優しさに甘えていることが多々あるはずだ。 彼は優しいからそういうことを口に出さないけど、実は嫌なことがたくさんあったのかもしれない。 嫌われちゃったのかな... 「いやいや、大丈夫..だと思う。ちゃんと口を利いてくれてるもん」 「お前、一人で会話するのやめね?」 呆れたように犬飼が言い、席を外していた颯斗が戻ってきたのを見てから離れた。 颯斗は中々のやきもち焼きだから、彼女と話をしていたら少し不愉快そうにする。 それはそれで、大変だなぁ... に対して同情していたが、本人はそういうのが全く分かっていないのか、気にしていないようだ。 「まあ、平和なのが一番だけどな...」 ポツリと呟いた犬飼が席に着いたらチャイムが鳴った。 |
桜風
12.8.24
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