月光 3




「あれ?月子さんだけですか?さんは?」

一緒に出て行ったの姿はなく、戻ってきたのは月子だけだった。

「星月先生に声を掛けられたから先に戻ってきたの」

「そう..ですか」

他の男に声を掛けられ、それについていく

琥太郎がにとって兄で、教員であることは重々承知だ。

それでも、面白くない。

「ねえ、颯斗君」

月子が覗うように声をかけた。

「何ですか?」

書類をチェックする手を止めて颯斗は会話に応じることにした。

「さっきね、ちゃんに聞いたんだけど。喧嘩、したことないの?」

言われて、「そういえば、そうですね」と頷いた。

喧嘩はしても面白いものではないので、積極的にしようとは思わないが、気が付かなかった。

「それが、どうかしたのですか?」

颯斗の言葉に月子は難しそうな表情をして「ちょっと寂しそうだったよ」と言う。

喧嘩をしないのが寂しい?

不思議なことがあるものだ。

「わかりました。気に留めておきます」

留めておいてどうするんだろう、と思いつつも月子は心配してくれているようなのでそう返しておいた。


暫くしてが戻ってきた。

「遅かったですね、さん」

何処となく元気がないように思える。

月子を見たら彼女もそんな感じに思えたのか少し心配そうにしている。

「うん、ごめん。星月先生に呼ばれて」

「ええ、月子さんに聞きましたよ」

そう言って颯斗は頷き、やっぱり首を傾げた。

「そういえば、その星月先生から聞いたんだけど。生徒会に入りたいって考えている子がいるんだって1年生で」

「本当?」

月子が嬉しそうな声を上げ、「星月先生が嘘をついていないならね」とは笑う。

「嬉しいね、颯斗君」

月子が声をかけると「ええ」と颯斗は頷いた。

今の生徒会執行部は先代の会長、不知火一樹が無理やり引き込んだ。

今回、颯斗はどうするのかと聞いてみたら「やりたいと思う人が必ずいるはずです」と言って、一樹とは同じやり方を取らなかった。

まあ、颯斗にあんな強引なのは無理だろうし。キャラではない。

「けど、何で星月先生に?」

「わたしが良く保健室で留守番してるから生徒会の顧問だと思ってたみたい」

なるほど...

月子は心から納得し、颯斗はその言葉に引っ掛かりを覚えた。

「ぬ〜ん!」

ガラッとドアが開く。

「遅くなったぬー」

「実習が長引いたんですよね、お疲れ様です」

「そらそら、知ってたのか?!」

「ええ、ここに来るときに翼君の担任の先生に聞きましたから」

颯斗の言葉に「良かったぬ〜ん」と翼は胸を撫で下ろす。

たちとは学年が違うので、中々情報が届かないだろうと思っていたようだ。

「ちゃんと、担任の先生は、翼君のことを気にかけていらっしゃいますよ」

「ぬ〜...ちょっと照れくさいのだ」

はにかんでいう翼は言葉の通り照れくさそうで、小さくなっている。

「そういえば、さん。さっきの生徒会に入りたいって言っている生徒のクラスと名前は?」

「それが、星月先生が自分が生徒会顧問じゃないって答えたら保健室を出て行ったんだって」

「そうでしたか」

ネクタイの色を見れば学年が分かる。つまり、判断できた材料がそれしかないようだ。

「本当にやる気があるなら、ここに来るでしょうね」

颯斗はそう言って頷いた。









桜風
12.8.31


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