| 欠伸を必死にかみ殺してはいつものように寮の前に立っていた。 「よー、!」 颯斗と共に歩いている人物が手を上げて声をかけてくる。 「一樹会長!」 は嬉しそうに彼に駆け寄った。 「どうしたんですか?」 「昨日ちょっとな。お前、休みだったって聞いたけど、どこか調子を崩したのか?」 「...はい」 「その間は何だ、その間は」 半眼になって一樹が言う。 「まあ、色々とあったんですよ」と返したは「颯斗くん、おはよう」と声をかける。 「おはようございます、さん」 「一樹会長は、もう帰るんですか?」 「大学生も暇じゃないんだよ」と苦笑した彼は頷き、「じゃあなー」と軽く手を振ってバス停に向かっていった。 「さん」 一樹の背を見送っていると隣に立つ颯斗が名を呼ぶ。 「なに?」と顔上げるとキスされる。 「颯斗くん!」 「これからは、我慢しないことにしました。ダメだったらダメって言ってくださいね」 「じゃあ、キスする前に言って」 が抗議すると 「では。キスをしても良いですか?」 「今はダメ」と返されて肩を竦める。 「では、いつなら?」 「2人きりのとき..なら。むしろ、嬉しいし」 最後はポツリと颯斗には聞こえない方向で呟いてみたが、彼の耳には届いていたようで、「昨日も言いましたよ。あまり可愛いことを言わないでください」と言って、掠めるようにキスをする。 「颯斗くん!」 が声を上げ、「さ、行きましょう」と颯斗は彼女の手を引いて学校に向かった。 「あっれ、仲直りしたのかよ」 教室に入ると朝練があったらしい犬飼が言う。 「なに?」 首を傾げるに「夫婦喧嘩は犬も食わないっていう意味が何となく分かった気がしたわ、俺...」と言い残して犬飼が離れていく。 チャイムが鳴り、ホームルームが始まった。 体育祭までの時間は、月子には部活動の方を優先してもらった。 今年もインターハイの出場を決めているし、部活対抗リレーがある。あれは昨年弓道部が優勝し、今年も優勝を狙っているらしい。 是非とも弓道部に優勝してもらいたいのは颯斗だ。 あそこならに対して無理難題は言わないだろう。 そこらへんは気にしていないは純粋に部活と生徒会の掛け持ちは本当に大変だろうからと心配して颯斗の言葉に同意し、お陰で最近は月子は普段の生活の廊下でしか顔を合わせることはない。 「でも、ちょっと寂しいよね...」 がポツリと呟くと「俺もー!」と最近は颯斗にみっちり教育されている翼が激しく同意した。 「しかし、月子さんはさらに受験勉強も加わってるんですよ」 と颯斗が言う。 その通りだ。 しょんぼりしている副会長と会計を見て会長は嘆息を吐き、「忙しい時期ではありますけど、ちょっと校内の見回りに行きましょうか」と提案をした。 「さんせーなのだ!」 「大丈夫かな?わたし、お留守番しようか?」 「いいえ、校内の見回りは生徒会執行部の仕事だそうなので、皆で行きましょう。月子さんは、部活動なので、仕方ありません」 颯斗の言葉に頷いては席から立った。 不知火生徒会執行部のときほど見回りには出ていない。 あれは多少サボることの口実だったりするところがあったから。 校舎の中の見回りが終わり、外に出る。 ふと翳った。 見上げると颯斗が歩く位置をかわって日陰を作ってくれている。 「颯斗くんが暑いでしょう?」 が困ったように笑うと「いいえ?」と肩を竦められる。 弓道場の傍に行くと、リレーのバトン練習をしていた。二人三脚なのでこれまた難儀している様子だ。 「あずさー!」と翼が従兄弟の木ノ瀬の邪魔をしに行く。 「翼君、邪魔をしてはいけませんよ」と颯斗がたしなめるが、聞く耳を持たない。 「どうしたの?」 「校内の見回り。というのが建前で、つっこちゃんに会いに来たの」 「私?何かあったの?」 驚いた月子に「ううん、ちょっと寂しかっただけ」とが笑うと「颯斗君、良く許してくれたね」と月子も笑う。 「青空、そろそろ練習を再開させたいんだが」と申し出たのは部長の宮地で、「すみません」と謝った颯斗が「翼君、ほら。行きますよ。木ノ瀬君や月子さんの邪魔をしに来たんじゃないのでしょう?」と促す。 「ぬー...寂しいのだ」 しょんぼりした翼に「翼君、今日は練習が終わったら生徒会室に行くから」と月子が声を掛ける。 「大丈夫?」とが聞くと「私も気になってるもの」と月子が頷く。 「そうか!書記は後で来るんだな!よし!じゃあ、素敵な発明を」 「しなくて良い!」「ダメです」 木ノ瀬と颯斗の声が重なり翼はしょんぼりした。 「ぬ〜、...撫で撫でしてぇ...」 に向かって甘えようとする翼の首根っこを掴んだのは颯斗で「翼君?見回りの続き、行きましょうね?」と笑顔で促してそのまま引きずっていく。 「お騒がせしましたー」とはペコリと頭を下げて2人の後を追った。 |
桜風
12.10.26
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