月光 20





体育祭まであと3日。

颯斗はちょっと困っていた。

その原因は、目の前の喧嘩腰の後輩である。


「今日のお昼は生徒会室で通常業務で溜まってる書類をやっつけたいんだけど」と今朝一緒に登校しているとが言った。

実は颯斗も気になっていたので「僕もお付き合いします」と返したのだ。

元々昼食は一緒に食べているので異存は無い。

「じゃあ、今日のお昼前の授業。わたし、終わるのたぶんちょっとフライングで早いはずだからお昼買いに行くよ」

がそう申し出て颯斗はお願いすることにした。

今年も、選択科目でと一緒に取れないものがあった。それが本日の昼前の授業で、が言うにはチャイムの2〜3分前に大抵終わるのだという。

しかも、教室が購買に近いのでパンを買いに行くには打ってつけだそうだ。

そして、昼になり、教室に教科書等を置いて生徒会室でを待っていると青いタイをした男子が2名入ってきた。

一人は温和そうだが、もう一人が入ってきた瞬間からけんか腰なのだ。

「どうかしましたか?」と声を掛けると「は?!」と睨まれる。

颯斗は、自分の恋人を呼び捨てにされて黙っていられないと思ったが、隣に立つ温和そうな方が喧嘩腰の彼のわき腹に容赦のない肘鉄をお見舞いして颯斗の闘争心が萎えた。

何か、この組み合わせって2年宇宙科の従兄弟たちのようだな、と思った。

さんなら、今購買部で昼食を買いに行ってくれています」

「お前がパシらせたのか...ッ!」

今度は足を思い切り踏まれた。彼は蹲っている。

「すみません、まずは自己紹介をしてから話をするようにってさっき何度も確認したんですけど」

彼が言った途端ドアが開く。

「遅くなっちゃったー」と言って入ってきたは颯斗以外が生徒会室にいることに驚いた様子だ。

そして、蹲っている男子を見て、温厚そうな男子生徒を見た。

「お久しぶりです、さん」

さん、知り合いですか?」

「弟弟子、っていうのかな?道場の知り合い」

そう答えて「久しぶり」と挨拶を返す。

「颯斗くん、野菜サンドとクリームパンだったよね」

そう言って袋からその2つを出して渡す。

「俺は無視かぁーーーー!」

蹲っていた生徒が復活した。

「あの子、師範のところの次男。長男よりかは、強くなると思う」

が颯斗に短く情報提供して自分の食べる卵サンドとゼリーを取り出した。

さん、ぼく達もここで食事にさせてもらっても良いですか?さんを見つけるまで食べないってこいつが言うから弁当は持参しているんです」

そんなことを言われては颯斗を見上げた。

「別に構いませんよ」と颯斗が言い、「良いって」と返す。

「何で姉は、そいつの意見を聞くんだよ!」

「だって、ここは生徒会室で、颯斗くんは生徒会長だもん」

が返すと「何だと?!」と頓狂な声を上げた。

入学式は出席していなかったのだろうか。

他のメンバーはともかく、颯斗は挨拶をしたと言うのに...

は呆れながら卵サンドにかぶりついた。


「そういえば、どっちか。というかヤマナシ弟って保健室に行った?ひと月くらい前かな?」

「名前で呼べよ!俺は月見山融って名前だ!!」

「ヤマナシ?」

「漢字は珍しいよ。道場の看板にもちゃんと書いてあったでしょう?」

別の読み方を想像していたので颯斗は驚いた。

「ぼくは1年宇宙科の陽条譲です。で、この煩いのが、1年星詠み科の月見山融です」

「星詠み科、ですか?」

颯斗が驚きの声を上げると

「わりぃかよ」

とそっぽを向く。

「だからこの学園に入れたんだね」とが言うと月見山は「どう言う意味だよ!」とムキになる。

「学力だけだとちょっと色々とアレだってことを優しくオブラードに包んでもらえたんだから流せよ」

陽条がツッコミ、食事を始めた。

「あ、宇宙科は食事も管理されてるんでしたね」

颯斗が問う。

「ええ」

苦笑して彼が頷く。

そして、月見山が広げたお弁当は美味しそうなお弁当である。

「それは、月見山君が作ったんですか?」

「無理」と月見山が返す。

「ぼくが作りました。こいつは家事が全くダメなので。幼馴染ゆえの悲しい性ですね」

「うっせー」と言ってガツガツとお弁当を食べ始めた。

「お茶、淹れましょうか」

颯斗が立とうとしたが、「わたしが淹れる。その間に用件聞きだしておいて」と席を立った。

そういえば、用件をまだ聞いていなかった。

おそらく、が思ったとおりに生徒会執行部に入りたいと言う話なのだろうが...

中々話を進められなかった自分を反省し、颯斗は彼らの用件を改めて聞くことにした。









桜風
12.10.26


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