月光 22





体育祭も無事終了し、今は試験期間である。

部活動対抗二人三脚リレーでは今年も弓道部が優勝した。

優勝クラブには生徒会からご褒美、というのを知らなかった月見山が大騒ぎしたが、どの道空手部には難しい話ではあったので関係のないことだ。

「譲くんも空手部に入ると思ってた」

が職員室に書類を届けに行く途中、譲が声をかけてきた。結構大量なので「手伝いますよ」と声をかけてもらったのはありがたい。

「ぼくは、自分より下手な人が偉そうにしているのが我慢ならないので。それに、ぼくは大きくない方だから、それだけで下に見られることもあったし。それもムカつくんです。体育会系の部活動って上下関係が無駄に面倒じゃないですか」

という。

なるほど...

体育会系の部活動といえば、上級生が絶対であることが多々ある。

先輩は?」

「女子は珍しがられるからね。色々と面倒くさそうだったのと、わたしはそこまで器用じゃないからつっこちゃんみたいに沢山のことにチャレンジしようと思っていなかったの。

生徒会執行部も最初は断ったくらいだもの」

の言葉に譲は驚く。

「じゃあ、何で入ったんですか?」

「何となく。けど、入ってよかったよ。毎日充実してるもん」

「ふーん」と相槌を打った譲だったが、「先輩って」と見下ろしてきた。

背が大きくない方だといっても譲のほうが断然大きい。

「なに?」

「颯斗先輩と付き合ってるって本当ですか?」

「うん、そうだよ」

さらっと肯定された。

部活動で先輩が言っていた。せっかく女子がいるのに、片方は彼氏がいてそれが生徒会長。片方は幼馴染がガードしてるから結局彼女達とお近づきになれる機会なんてそうそうないぞ、とか何とか。

生徒会執行部に入りましたと話をすれば、彼女達を紹介しろと煩かった。

「いつからですか?」

「半年くらい前からかな?」

そんな話をしていると職員室の前に着く。

テスト期間中なので、職員室の中には入れない。

入り口に近い教師に声をかけて用事のある教師を呼んでもらい、書類を渡す。

「ありがとう、助かった」

「いいえ。では」

そう言って譲はぺこりと頭を下げて正面玄関へ向かっていった。



生徒会室に戻ると颯斗がいた。電話中だった彼はの存在に気付いたようで、「また夜に電話します」と言って通話を終える。

先ほどホームルームが終わると颯斗が担任に呼び止められていたので、は一人生徒会室に来た。

書類を確認して提出する準備が出来たので、颯斗の到着を待つことなく提出してきたのだった。

おそらく、颯斗は進路のことで呼び止められたのだろう。

いつ言ってくれるのだろうか...

待つと決めているので自分からは話を振らない。しかし、何も言わずにいなくなるのだけは勘弁してほしいと思っている。

さん。書類、ひとりでは重くありませんでしたか?」

「途中で譲くんが手伝ってくれたから」

「...そうですか」

少し沈んだ声のトーンで颯斗が相槌を打つ。

「とりあえず、試験前だし帰ろうか」とが言うと「そうですね」と颯斗は頷いた。

片付けたい仕事はが片付けてくれたので、後は試験期間が明けてからでも構わない。

鞄に手を伸ばしながら「帰りに図書館寄る?」と颯斗を見上げると目の前に颯斗の顔が迫っており、そのまま唇を重ねられる。

体を引こうとしたら腰を支えられて動けない。

解放されたと同時に「颯斗くん!」とが抗議の声を上げる。

「ここ最近忙しかったので」と突然キスをした理由を口にした。

は深い溜息とともに「もう!」と膨れる。

「2人きりのときなら良いのではなかったのですか?」

そう言ったけど...!

は返事をせずに鞄を持ってドアに向かった。

さん」

少し不安そうに颯斗が名を呼ぶ。

颯斗くんはずるいな、と思いながら振り返ったは「早く図書館に行こうよ」と声を掛けた。

「はい、少し待ってください」と頷いた颯斗は窓の鍵が閉まっているかのチェックをしてドアに向かった。









桜風
12.11.2


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