月光 23





夏休みはどうしよう...

最近ずっと悩んでいた。

出来れば実家の方に帰りたい。だが、姉や兄が夏は無理と言っていたのでひとりでの生活になる。

別に一人で生活をするのは構わないが、おそらく今回も親戚から攻撃される。

この1年でそれなりに強くなったとは思う。

思うが、苦手意識があるのでその分こちらが不利だなと自分で分析している。

さん?」

頭を抱えて唸っている自分の恋人に颯斗が声を掛けた。

「あ、お疲れ」

先ほどは選択授業の試験だったので別々だった。

「ごはん、食べに行きませんか」

「そうだね。あ、先に行って席を取っておけば良かったね」

そう言いながらが立ち上がる。


お互い本日の昼食をトレイに載せて席を探す。

「先ほどの試験は如何でしたか?」と話をしていると「おーい」と手を振っている人がいた。

融だ。

「ここ空いてるぜー」

「2つ?」

「おう」

頷く融の好意に甘えることにした。

融の隣には譲がいた。

「宇宙食って、あまり美味しくないよね」

が言う。

「食べたことがあるんですか?」

「翼くんが宇宙科でしょう?去年の今頃にちょっともらって食べてみた。栄養はありそうな味だったけど」

の言葉に譲は苦笑する。

姉は、夏休みに帰省するんだろう?」

「...悩み中。その前に、会計が書類をきちんと作成してくれないと生徒会活動が夏休みに入れないしね」

融をじっと見ながら言う。

予想通り、翼と融の相性はあまり良くなかった。

ただ、翼の背が高くて良かったなとは思った。

融は自分より背の高い人の話は聞こうと決めているらしいと譲から聞いた。

どういう理屈か分からないが、そう言うことにしているらしい。

よって、颯斗の話も比較的聞いてくれる。の場合は、小さい頃の彼を知っているのでそれをちらつかせて言うことを聞かせているのだ。

「つーか、会計の仕事って多くね?」

「溜めてるからね」

「書記とか、副会長の仕事の方が楽に見えるんだけど」

膨れっ面で言う融の脳天にゲンコツが落ちる。譲だ。

「確かに、普通なら書記はもう少し楽だったかもしれないけど、ぼくはお前のフォローで思い切り煽りを食ってるんだよ!」

その通りである。

更に月子がインターハイ出場なので、部活を優先としているので書記の仕事も彼の肩に掛かっている。

勿論、は昨年書記だったので仕事の事が分かっており、彼女が譲に仕事を教えているような状況が今の生徒会執行部だ。

そして、書記は副会長の補佐と言う一面もあるから、サボっている会計以外は今みんな忙しい。

「試験明けから頑張ってもらいますからね」

颯斗がそう言い、にこりと微笑む。

最近、この笑顔の意味を覚えた融は震え上がり、「がんばりまーす」と返事をした。



試験が終了し、予告どおり颯斗が会計の尻を叩いたこともあって、8月を目前に何とか生徒会活動も夏休みに入ることが出来るようになった。

「颯斗くんは、夏休みはどう過ごすの?」

「...実家に帰ります」

颯斗の答えは意外だった。しかし、話が進んでいるならそうなるだろうなとも思った。

そういえば、翼も今年は帰ると言っていた。

さんはどちらに帰るんですか?」と聞かれて「実家かな?」と答えた。

星月の家には何日か泊まろうとは思うが、実家に帰りたい。

「その..大丈夫ですか?夏凛さんとか晴秋さんとか...」

こそっと颯斗が問うがは苦笑してどうとも言わなかった。


ちゃん、またね」

帰るとき、寮の玄関まで月子が見送りに来てくれた。

「うん、またね。インターハイ頑張ってね」

そう言ってはバス停に向かった。









桜風
12.11.9


ブラウザバックでお戻りください