| 今年のスターロードも昨年とはデザインが違う。 一樹が言ったようにデザインを変えない手もあると思ったが、既に美術部が沢山デザインを考えてくれていた。 彼らにとってもこのスターロードのデザインは目標の一つになっているようだ。 だから、その楽しみを奪うわけにはいかない。 文化祭を翌日に控えて見回りなどを含めたミーティングを行っていると融がどこかそわそわしていて落ち着かない。 「融君?」 颯斗が声をかけると「すんません」と謝罪し、慌てて資料を手にして睨みつけるように目を通す。 が譲に視線を向けるが彼は首を横に振った。良く分からないらしい。 一通り話が済み、解散となった。皆で寮に向かう。 「文化祭って盛り上がるんですか?」 寮への帰り道、譲が問う。 「そうですね。珍しいことばかりですから、この学校」 颯斗が返す。 西洋占星術科は占いの館だし、宇宙科は3学年合同で体験型の催し物をするのが伝統だ。 「翼くんと譲くんは一緒だね」とが言うと「うぬ!」と翼が頷く。 「ぼく、木ノ瀬先輩の気持ちがよーくわかります」と苦笑しながら譲が言う。 そういえば、揃うんだった... 月子はクスクスと笑う。 「融くん?」 が振り返って少し後ろを歩く融に声をかける。 「え?あ、うん。何??」 「何か気になることでもあるの?」とが問うと「い、いや!何でもない」と言って駆け出し、たちを抜かして寮に向かっていった。 「今日は、何かおかしいよね?」 譲に向かってが言うと「此処2、3日ですけど、そわそわしっぱなしですね」と彼が返す。 「そんなに文化祭が楽しみなのかな?」と月子が呟く。 「俺、去年初めての文化祭楽しかったぞ。融も楽しめると良いな」 翼がポツリと呟く。 「翼くんは良い子だね」 が歌うようにそう言う。 「ぬ?!今、子ども扱いしたな!!」 抗議する翼に「そんなことないよ」とが笑う。 1日目が終了し、一旦生徒会室に集まる。 明日の確認をして颯斗が解散を口にした。 「僕はもう一度見回りをして帰ろうと思います」 「付き合おうか?」 が言うと「いいえ、大丈夫です」と颯斗が断った。 では、帰ろうと支度をして廊下に出ると「姉」と声を掛けられた。 「どうしたの、融くん」 「ちょっと、いい?」 何だろう、と思いつつも頷いたは融の後を歩く。 融が向かったのはスターロードだった。 「夜はやっぱ綺麗だね」 スターロードを歩きながらが見上げる。 「う..うん」 「ねえ、融くん。ここ最近ちょっとなんか変だけど。どうかしたの?悩みごと??」 「悩み..か...」 溜息混じりに融が言う。 「姉、知ってる?スターロードの伝説」 でっちあげた本人から聞いているのだから、これは否定した方が良いのだろうか... 悩んでいると突然ガシッと両肩をつかまれた。 「好きな人に、キスをしたら幸せな結末が待ってるって」 はぁ?! 思わず声を上げそうになり、そして、今の体勢が何を意味しているかを気付いて慌てた。 「俺、姉が好きなんだ」 そう言って融の顔が近付いてくる。 両腕は封じられているに等しいが、足は自由だ。だが、此処で蹴っ飛ばしていいものかと逡巡していると「さん!」と引き寄せられた。 自分を抱き寄せている颯斗の息が上がっている。 「さんは誰にも渡しません。それが、どんなに可愛い後輩のあなたでも」 射竦めるような眸で宣言された融はそのまま逃げるようにスターロードを後にした。 「颯斗、くん?」 「さん」 責めるような声音で颯斗が名を呼ぶ。 「何故、融君を拒否しなかったんですか」 先ほど校内の見回りをしているとと融の背中を見つけた。何か嫌な予感がして慌てて追うと融がにキスをしようとしている。そして、がそれをさほど拒否していないのだ。 酷く抉られた。 「ごめん...」 「融君にキスされたいって思ってたんですか?」 「ちがう!」 思わず声を上げる。 「違うよ...」 俯いて言う。とても悲しい。 頭上で颯斗が溜息を吐いた。 「すみません、あなたを泣かせたいと思ったわけではありません。けど、僕も傷つきました」 そう言って両膝をついて俯いているの顔を覗きこむ。 「さんは、融君の気持ちに気付いていなかったんですか?」 その問いにはきょとんとした。 少しだけ融に同情して小さく溜息をつく。 彼が初めて生徒会室にやってきたときから自分は気付いていた。 だから、心が狭いと思いつつも彼とがペアで何かをすることがないように仕事の振り分けをしていたのだ。 「さん、仲直りのキスをさせてください」 こくりと頷いたのを確認した颯斗はほっとしながらにキスをした。 唇が重なる寸前に「ごめんなさい」とが呟く。 その全てを飲み込むように、颯斗は長く深いキスをした。 |
桜風
12.12.21
ブラウザバックでお戻りください