| 「ー」 声を掛けられて顔を上げる。 休憩時間、次の授業の教科書を眺めていると犬飼に声を掛けられたのだ。 「なに?」と立ち上がって、教室の入り口に見慣れた少年が居ることに気がついてはそちらに向かった。 「どうしたの、譲くん」 自分を呼んでくれた犬飼に礼を言って訪ねてきた後輩に用件を聞く。 「あの...ちょっと相談があるんですけど」 「融くん?」 の言葉に譲は驚く。 「何で?」 「何となく。様子がおかしいって言うか...この間、颯斗くんとつっこちゃんと話してたの。理由は?」 「はっきり聞いたわけじゃないんですけど。あいつ、星詠みの力が強くなってるみたいで。それに戸惑ってるのかな、って」 なるほど、とは頷く。 「一樹先輩に連絡とってみようか?」 の言葉に譲が不思議そうにした。 「颯斗くんの前の会長は、星詠み科で、しかもその力はクラスでは強い方だったんだって」 「さん?」 颯斗が声を掛けてきた。 先ほど席を外していたのだが、教室に戻ると譲とが話をしている。 「颯斗くん」 は譲を見て、先ほどの話をして良いかと確認した後に颯斗に事情を説明する。 「そうですね、一樹会長。もしくは、晴秋さんはどうでしょう?」 「お兄ちゃんは、どうだろう。連絡をしてみても良いけど...」 「お兄ちゃん、ですか?」 不思議そうに譲がの言葉を繰り返す。 「さんのお兄さんはここのOBなんですよ」 驚いて譲がを見下ろす。 「ただ、今の仕事が色々とあるから」 とが返す。時間が取れるかどうか分らない、ということらしい。 「お願いしても良いですか?」 「うん、お兄ちゃんにはわたしから連絡する」 「では、一樹会長には僕から連絡してみましょう。おそらく、あとひと月位したら遊びに来てくださるとは思いますけど」 と颯斗が言う。 「ああ、ふたご座流星群?」 「ええ、たぶん覚えてくださっていると思いますよ」 2人がなんだか自分の知らない話をしている。譲は何となく居心地が悪かった。 「あの、じゃあ。ぼく失礼します」 そう言って3年神話科の教室を後にした。 放課後、翼が上機嫌に生徒会室に入ってきた。 「なあなあ、書記。これ見てくれー」 見せてきたのは修学旅行の行程表だ。 「あ、懐かしい...」 月子が捲りながら呟く。 「わたしにも見せて」とが翼に言うと「いいぞー」と言う。 行程表を月子から受け取っては「あれ?」と呟く。 「どうしたのだ?」 「うん。これ、去年と全く同じ行程だね」 の呟きに月子と颯斗が彼女の手元を覗く。 「ああ、本当ですね」 「まったく一緒なのか?」 「うん。お兄ちゃんと郁ちゃんのときは回る順番違ったみたいだけど、今年は去年と全く同じだ」 が言うと翼が嬉しそうに「ホントか?!」と声を弾ませる。 「たぶん、去年僕たちのが学年の副担任で、今年の2年生に副担任になってる先生がいらっしゃらないからでしょうね」 「去年行って今年も行く先生って琥太にぃだけだもんね...」 がしみじみと言う。 「そういえば。その間の、保健室はどうなるのでしょうか。1年のときどうだったのか覚えていませんが...」 「保健係が出るけど、修学旅行中だからたぶん、代替の先生が入るか、一般の先生が留守番するかだろうと思う」 自分たちが1年のときは、代替の保健医の先生が入った。学校の産業医が入っていたのだ。 「お土産、ちゃんと買って帰るからな!」 弾んだ声で翼が言う。 「楽しみ」と月子が言い、翼はご機嫌に頷いた。 |
桜風
13.2.1
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