| 翼が修学旅行から帰って来た翌日、生徒会メンバーが生徒会室に揃っている中、突然ドアが開いた。 「よー!」と入ってきたのは一樹で翼がすぐに彼の元へと嬉しそうに駆けて行った。 「お久しぶりです」と口々に挨拶をしている中、「!」とまた別の人が入ってきてを抱きあげた。 ぽかんと皆が驚く中、「晴秋さん、さんを降ろしてください」と颯斗が果敢に指摘する。 じっと颯斗を見下ろしていた晴秋は溜息をついて、「久しぶりだなー」とを降ろしながらそう話す。 「アキにぃ、恥ずかしすぎ...」 「郁ちゃん?!」 さすがに郁が来ているとは思わなかったも声を上げる。 「久しぶり、。相変わらず..小さいね」 「郁ちゃんは相変わらず胡散臭いね」 も負けずに返す。 「この間、ちゃんと地図まで書いてあげた僕にそんなことを言うの?アキにぃ、の躾、ちゃんとしててよ」 郁の文句に 「オレはを育ててない!文句は琥太に言え」 と胸を張って言う。 「それ、胸を張って言うこと?」 「事実なんだから、仕方ないだろう...」 全く悪びれずに晴秋が言うと郁が盛大な溜息を吐き、一樹は苦笑した。 「んで、融ってガキはどれだ」 そう言って部屋を見渡した晴秋がじっと見つめた少年は確かに融で「あ、コイツだな。兄貴そっくりだ。ちょっと絞めてくる」とひょいと軽く融を小脇に抱えて生徒会室を出て行った。 「え?!ちょ...!」 「あーあー...心配すんな。大丈夫だから。俺もちょっと行ってくるわ」 苦笑しながらそう言って一樹も生徒会室を出て行く。 「郁ちゃん、何でお兄ちゃんと一緒に来たの?」 「正門で偶然。僕は琥太にぃに会いに来ただけ。じゃ、後でね」 そう言って郁は生徒会室を後にした。 「まさか、揃って来てくれるとは思っていませんでした」 偶然かとも思うが、一樹も晴秋も星詠みの力を持っているので日を合わせてきてくれたのかも知れない。 「颯斗君が、一樹会長に連絡したの?」 月子に問われて颯斗は譲を見た。 「ぼくが頼んだんです」 そう言ってに相談した内容を口にした。 最近、融の様子がおかしくて理由を聞くとどうも星詠みの力が強くなってきていて、それに戸惑いがあるようだったのだ。 だから、それをどうにか出来ないかと思って譲がに相談し、その場に一緒にいた颯斗も心配して一樹に声をかけてくれた。 は兄に連絡をしたのだ。 「お兄ちゃんも、最初学園に入るまでは全然力は強くなかったって言ってたから」 「そうなの?」 「うん。まあ、お兄ちゃんの場合。何となく強くなったきっかけは分ってたから突然強くなっても戸惑いは少なかったって言ってたけど...」 きっかけは両親の死。 何であれ、きっかけに心当たりがあれば戸惑いは少なくなる。 夜、食堂に向かうと融と譲がいた。 融の表情はかなり晴れ晴れとしたもので、たちは安心した。 「おー!お前らー!!」 一樹が声をかけて、皆がそちらに向かう。 「郁ちゃんは泊まり?」 「陽日先生のところにね」 「じゃあ、お兄ちゃんが星月先生?」 「ああ、どうせ片付けていないんだろうがな」 肩を竦めて言う。 「前にお邪魔したときは、結構散らかっていましたよ」 颯斗が言うと 「アイツの本気の散らかし具合と比べてどうか、ってところだな」 と晴秋が言い、「確かに」と郁が笑いながら頷く。 「そういえば。ってばこの間模試を受けたんでしょう?どうだったの?」 郁の言葉に「まあまあ」とが答える。 「あんまり良くなかったんだ?」 「悪くはなかった」 の言葉に益々からかいの価値ありと判断した郁だったが、 「水嶋先生、ちゃん凄いんですよ!」 と月子がの模試の結果について誇らしげに話をする。 「あー、合格圏内か」 晴秋が言うと 「今のところは。けど、英語がちょっとね」 とが返す。 「可愛くないなぁ...」 郁の呟きに 「郁ちゃんに可愛いって言われたら絶対に何か裏があるって思っちゃうから言わないでね」 とは返した。 「可愛くないなぁ...」 「あ、郁ちゃんからの『可愛くない』って褒め言葉」 が笑顔で言うと郁はこれ見よがしな溜息を吐いてみせた。 |
桜風
13.2.1
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